オリジナルアルバムは意外に少ない竹内まりや
1978年にデビュー、今年2018年11月にミュージシャン生活40周年を迎える竹内まりや。
発表した公式アルバム数は、2018年現在17作。そのうち完全オリジナルアルバムは11作になります。
40年という月日を思うと少ない気がしますよね。
しかしそれは「シンガーソング専業主婦」と自称する彼女のスタンスからくるものです。
音楽性の見直しや子育てによる休業、楽曲提供を中心とするなど、表舞台に立たない期間も長くありました。
一人の人間としての生活、夫である山下達郎と築く家庭、夫の音楽サポート。
それらが彼女にとって最も大事であり、しかも自身の音楽活動を豊かにすることだったのでしょう。
一見ゆるりとしたスタンスでも、常に日本ポップス界に影響を与え続ける彼女の才能には驚嘆します。
第10位 『Denim』
いぶし銀のような大人のポップス集
2007年5月23日発売。10枚目のオリジナルアルバム。
前作『Bon Appetit!』から、約6年ぶりに発売した完全オリジナルアルバムです。
最初にご紹介する段階で既に、アルバム発売間隔の広さに驚かされます。
もちろんその間に楽曲提供やカバーアルバム、シングル発売はしていたのですが、それにしてもびっくり。
収録曲は全体的に渋く、落ち着いた大人のポップスという印象を強く受けるものです。
ガツンと目(耳)を惹くような、キャッチーでキラーチューン的な楽曲はありません。
初めて竹内まりやのアルバムを聴くという方にはちょっと不向きかも?
売り上げ的には結構良かったのにもかかわらず10位にしたのは、そういう理由からです。
でも、このアルバムの核ともいえる「人生の扉」が好きだという方には、絶対おすすめですよ。
第9位 『TRAD』
シングルとセルフカバー曲を集めた、ベスト盤の色合いが濃いアルバム
2014年9月10日発売。11枚目のオリジナルアルバム。
2018年8月現在、彼女のアルバムすべての中での最新作です。もう4年も経つとは!
前作『Denim』の渋さから少し離れて、聴く人を選ばず親しみやすいアルバムになっています。
初出曲は「深秋」のみで、あとはすべてシングルリリースとカバー。
他のアーティストに提供した楽曲のセルフカバーが4曲もあるので、聴き比べる楽しみもあります。
「ウイスキーが、お好きでしょ」はセルフではないカバー。石川さゆりが歌って有名になったCMタイアップ曲ですね。
竹内まりやバージョンもCMで使われていましたが、筆者はちょっと意外なカバーだなと思っていました。
しかし作曲が大学時代からの盟友である杉真理ということを知って、納得したのでした。
第8位 『BEGINNING』
デビューアルバムとは思えぬ完成度と豪華制作陣!!
1978年11月25日発売。記念すべきデビューアルバム。
とにかく制作メンバーがすごい!! とても新人とは思えません!!
山下達郎はもちろん細野晴臣、大貫妙子、鈴木茂といった、現在の大御所が名前を連ねています。
日本のジャズ好きならぶっ飛んでしまうような面々が、スタジオミュージシャンとして参加しているし…。
海外録音も行われ、そこには世界的フュージョンギタリストであるリー・リトナーの名前も!!
当然のごとく、その完成度も激高。一流作家陣に引けを取らない彼女の自作曲もばっちりです。
もちろん、デビューシングル「戻っておいで・私の時間」も収録されていますよ。
これを聴かずして竹内まりやは語れないと断言したい!!
第7位 『Miss M』
上質なAORが堪能できる、不遇の名盤
1980年12月5日発売。4枚目のオリジナルアルバム。
竹内まりやのアルバムとしては、残念ながらあまり良い売れ行きではありませんでした。
AOR(アダルト・オリエンテッド・ロック=大人向けの渋いロック)色が強い、格好良い作品です。
当時の世間が求める竹内まりやのイメージとはちょっと違ったのかもしれません。
彼女の声質や雰囲気を十分に生かした楽曲やアレンジになっているのに…。
ぜひ多くの方に聴いていただきたい、個人的一押しの名盤です。