石井明美【CHA-CHA-CHA】歌詞を振り返る!ドラマ『男女7人夏物語』を彩った名曲に時代が見えるの画像

石井明美の「CHA-CHA-CHA」がリリースされる直前、1986年5月のこと。

聞き慣れない名前の洋楽アーティストが、日本でシングルをリリースします。

イタリアダンスユニット、Finzy Contini(フィンツィ・コンティーニ)の「CHA-CHA-CHA」。

イタリア、フランス(フランス盤タイトル表記は「Cha Cha Cha」)では、1985年に発売された曲です。

好景気の波に乗り、新たなディスコブームが到来していた日本。

「CHA-CHA-CHA」は1986年9月から9週にわたり、洋楽チャートのトップに君臨し続けました。 

オリジナルの「CHA-CHA-CHA」をプレイするフィンツィ・コンティーニの貴重映像です。ダンスもサウンドも、どこか緩やかで牧歌的。電子音楽の中ににじむアナログ感が、時代を感じさせます。

ユーロビートのルーツ

石井明美【CHA-CHA-CHA】歌詞を振り返る!ドラマ『男女7人夏物語』を彩った名曲に時代が見えるの画像

当時も今も、日本でヒットする洋楽といえば米英発のナンバーが中心。

そうした中、突如として日本の音楽シーンを席巻したのが、イタロ・ディスコというジャンルでした。

1980年代前半に台頭し、のちに日本でもブームとなるユーロビートのルーツを形成した音楽です。

フィンツィ・コンティーニの「CHA-CHA-CHA」は、イタロ・ディスコの代表曲の1つでした。

コンピューターの打ち込みを駆使した、シンプルで歯切れの良いテンポ。

シンセサイザーの演奏で繰り返される、エモーショナルでメロディアスな旋律。

キャッチーなテンポと旋律は、日本に根付いていた歌謡曲に通じるものがありました。

イタロ・ディスコもユーロビートも、日本では抵抗なく受け入れられたのです。

世界のロックシーンの変化

ダンスミュージックの台頭

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1970年代後半のパンク、1980年代初めのニューウェイブ。

これらのムーブメントが一段落した1980年代半ば、世界のロックシーンは大きく変化します。

反体制のシンボルとして、マイノリティーが支持してきたロックという音楽。

この時期を境に、マジョリティーのためのカルチャーとして認知されるようになったのです。

それは、米国を中心に産業ロックが巨大マーケットを形成したことからも明らかでした。

1985年、反骨精神あふれるロックが影を潜めた隙を突くように、あるアルバムが登場します。

英国のバンドDead or Alive(デッド・オア・アライブ)の「Youthquake」

世界的にヒットしたこのアルバムも、ユーロビートの誕生に大きな役割を果たした1枚でした。

ユーロビートは、その後のハウスクラブミュージックへと発展することになります。

自給自足の音楽

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レコードの音楽に合わせて踊るディスコが生まれたのは、第2次世界大戦中のヨーロッパ。

本格的に発展したのは、1960年代の米国です。

1970年代半ばから、世界的なディスコブームが巻き起こります。

ダンスミュージックの需要を満たしたのは、米国発のファンクソウルミュージックでした。

しかし1980年代に入ると、米国でのディスコブームは下火に。

ディスコの隆盛を支えたダンスミュージックの供給も、急速にしぼみます。

イタロ・ディスコは、ヨーロッパが自給自足のために生み出した音源だったのです。

ユーロビートが誕生したばかりの1980年代後半。

日本では原曲が輸入されるとともに、日本人歌手がカバーするという形で浸透していきました。

そうした状況は、1990年代に小室哲哉安室奈美恵らを世に送り出すまで続いたのです。

石井明美に続くカバーも

時代を超えて記憶される曲

石井明美【CHA-CHA-CHA】歌詞を振り返る!ドラマ『男女7人夏物語』を彩った名曲に時代が見えるの画像

「CHA-CHA-CHA」はその後も、さまざまな邦楽アーティストにカバーされます。

「ダンシング・ヒーロー」のカバーシングルでブレイクした荻野目洋子

1986年12月のアルバム「NON-STOPPER」で、日本語詞などを変えて歌いました。

ちなみに、このアルバムは1987年の年間アルバムチャートで1位を獲得。

さらに、カバーは続きます。

世紀を超えた2001年には、「男女7人夏物語」に出演した大竹しのぶがアルバム「Compassion」に収録。

2012年には、チャットモンチーシングル「コンビニエンスハネムーン」のカップリング曲に採用しました。

ベースとコーラス、プロデュースを担当したのは奥田民生です。

「CHA-CHA-CHA」が、いかに強く人々の記憶に刻まれた曲だったか。

時代を超えて歌い継がれている事実が、それを雄弁に物語っています。

まとめ

実はユーロビートのカバー曲

2018年に大ヒットしたDA PUMPのシングル「U.S.A.」

原曲は、1992年にイタリア人歌手、ジョー・イエローがリリースしたユーロビートです。

DA PUMPが初めて挑戦したユーロビートのカバー。

「いいねダンス」の振り付けが「ダサかっこいい」と評判に。

OTOKAKEライターがMVの解説を通し、クセになるダンスの魅力を紹介しています。

ぜひ、読んでみてください!