さて、気になる歌入りはどんな感じなのでしょうか。

Aメロに入ると、弾むようなピアノアレンジに合わせて晴れやかなメロディを囁くように歌うTERU。

実に穏やかな印象です。

彼の後ろに見えるのは、廃線になった列車でしょうか。

風化したその古めかしさが楽曲の深みに寄り添っていますね。

0:48~サビと聴き間違えるようなグッドメロディ

続くBメロで聴かせるのは、感情の高ぶりを表すかのようなメロディ。

絡み合うツインギターがその切ないイメージに華を添えます。

高揚感と、ここがサビでも楽曲として十分通用するのではと思うほどのグッドメロディ。

サビ以外でもメロディの出し惜しみをしないのもTAKURO節ですね。

1:20~TERUならではの立ち居振る舞い

楽曲は再びAメロへ戻りますが、今度は先程とはまた違った印象です。

サウンドを彩るのは、小気味の良いギターと踊るようなベースフレーズ。

軽快なサウンドを受けて、TERUもその広大な大地を歩きながら歌う演出を見せます。

両手を広げて歌うポーズはもはやお馴染み。これもTERUほど板に付く人は居ませんよね!

2:00~サビはさらに予想を超えてくる!

そしてクライマックスはお待ちかねのサビ。

Bメロであれだけの高ぶりを見せてしまっているんです。

「ここからどうするんだろう?」と思っていると、なんとも大胆な転調が繰り広げられます。

展開されるのは、さらに高く羽ばたくような突き抜けたメロディ。

いやいや…本当にAメロとBメロだけでも十分に曲が成立しているんですよ。

そこからさらに予想を超えてくるとは、思わず「TAKUROすげぇ!」と声を漏らしてしまいます。

そして、この曲に対するコメントでTAKUROが「GLAYを広い空の下に連れていきたい」という想いを語っていました。

4人並んでの演奏シーンはやはり壮観。

20年以上にも渡ってこの4人でステージに立ち続けて来たのだな…と感慨深い気持ちにさせられますね。

「Prisoner」という言葉に込められた意味を歌詞から読み解く

MVの解説はここまで。

楽曲に存分に触れたところで、曲の中でどんなことが歌われていたかも気になります。

特に「愁いのPrisoner」というタイトルには謎が残りますよね。

「Prisoner」は「囚人」を表す単語。

一体どうしてこんなタイトルになっているのでしょうか。

ここで、その歌詞の内容を少しだけ覗いてしまいましょう!

運命は容赦なく
お互いを傷つけてく
心無い素振りのまま 揺れる揺れる

出逢ったあの頃なら
簡単に許し合えた
何気ない言葉でさえ 言えぬから

出典: 愁いのPrisoner/作詞:TAKURO 作曲:TAKURO

出逢った頃は相手を大事にしようという気持ちも強く、お互いに許し合えたと語る主人公。

そこからだんだんと相手を思いやるような言葉も言えなくなっていくというのは、多くの人が身に覚えのある話ではないでしょうか。

ずっと一緒に居ると、相手が居てくれることが当たり前になってしまうんですよね。

時間の流れというのは、人やその関係性まで変えてしまうものです。

小さな恋の終わりに聞こえたのは
慰めによく似た旋律(しらべ)
風を纏う
こんなにもあなたを遠く
感じてる時にさえ
Ah 誰より愛おしい人

出典: 愁いのPrisoner/作詞:TAKURO 作曲:TAKURO

よほど彼女と別れたことが響いていたのでしょう。

「慰めによく似た」という言葉が「気休めにしかならない」という様子を物語っています。

彼女は遠く離れていってしまいました。

しかし、距離は離れていても相変わらず彼女のことばかり考えてしまう主人公。

当たり前になっていた存在には特に、離れて気付く大切さってありますよね。

「囚人」という言葉が表していたのは

抱き寄せても うわの空
それは愛が 辿り着いた幻
追いかけても 掴めない
きっと時が 連れてきた
愁いのprisoner

出典: 愁いのPrisoner/作詞:TAKURO 作曲:TAKURO

主人公がここで抱き寄せたのは彼女ではなくて、彼女を想うがあまりに目の前に現れた幻でした。

「追いかけても掴めない」という歌詞の通り、幻に触れることは叶いませんね。

「愁いのPrisoner」というタイトルは、主人公が去ってしまった彼女との過去に囚われていることを表しているのですね。

TAKUROの話していた以前の自分たちを振り返る気持ちも、確かにこの言葉に表れています。