桑田佳祐さん自身がロックミュージシャン?というと、ポップミュージックの名手でもあります。
この「すべての歌に懺悔しな!!」では自分のことも含めつつ、俯瞰して物申している感じです。
簡潔にまとめると「ダメだな~自分も君も……」くらいの感覚でしょうか。
サザンとして優れたポップソングを世に放ちつつ、ロックな側面とも寄り添いたい印象です。
ちなみにロックミュージシャンにとって「風」といえばボブ・ディランの「風に吹かれて」。
フォークロックの神様ですね。「風と共に行く」とはロックを歌い続けるよ!ということでしょう。
つまり反骨精神をむき出しにするぜ!という前フリ。結果「すべての人に~」につながります。
むき出しの反骨精神!
芝居のセンス?
道化も道化 ウンザリするような
生き様シャウトすりゃ
小粋な仮面でどこかでパクった
小言を連呼する
子供の頃から貧乏で
そのうえ気さくな努力家で
実はすべてが嘘なのに
芝居のセンスにゃたけている
出典: すべての歌に懺悔しな!!/作詞:桑田佳祐 作曲:桑田佳祐
いったい誰のことを歌っているの?と気になるかもしれませんが、特定の誰かではありません。
ご本人がそうおっしゃっておられるので、グッとこらえていきましょう。
道化とはピエロのことですね。ファンを楽しませるために、滑稽な姿を見せているという皮肉。
生き様を語るというとフォークなどのメッセージソングが連想されますが、そうとも限りません。
歌詞の内容がすべて真実である必要はないものの、自分語りっぽいのに嘘だと芝居になります。
例えばすべてのラブソングが実話をもとにしていることもなく、あくまで創作です。
創作した内容をまるで実話のように歌うと、確かに芝居が上手……ということになるでしょう。
テレビに出ない?
皮肉全開!
天才奇才とおだてりゃ
エテ公はいつでも木に登る
儲かる話とクスリにゃ目が無い
バカヤロ様がいる
チンチン電車は走るけど
青春時代は帰らない
TVにゃ出ないと言ったのに
ドラマの主役にゃ燃えている
出典: すべての歌に懺悔しな!!/作詞:桑田佳祐 作曲:桑田佳祐
いくら反骨精神むき出しにするぜ!と言っても、ケジメとか常識も必要だったのでは……?
そうツッコミたくなるほど皮肉全開の部分です。細かく触れると火傷しそうなので控えます。
1点だけ解釈するなら「ミュージシャンがテレビに出る・出ない問題」についてですね。
テレビというメインストリームに対して、ライブやフェスなどのサブカルチャーがあるとします。
個々の方針により、主戦場はライブでテレビには出ない!というミュージシャンもいるわけです。
テレビに出たいのに出られない……ではなく、需要があるのにあえて出演しないということ。
反骨精神の現れという考え方もできるでしょう。そう言っていたのに出演した人もいるんですね。
ミュージシャン兼俳優としてすばらしい才能を発揮されている方はたくさんいます。
前言撤回してテレビに出ることもあるでしょう。ただドラマの主役って……。
いや、ここもスルーです。
歌に懺悔する?
これぞロック魂
今は君のために飲もう
僕も風と共に行こう
すべての歌に 懺悔しな!!
出典: すべての歌に懺悔しな!!/作詞:桑田佳祐 作曲:桑田佳祐
最初は「恋をしな!!」でしたが、とうとうタイトルどおりの「懺悔しな!!」が歌詞に出てきます。
すべてはロック魂と考えるといいでしょう。女性にモテることやお金持ちになること……。
ロックミュージシャンにつきものの夢かもしれませんが、それも音楽があってこその成功です。
音楽と真剣に向き合わず、欲望ばかり膨らますのであれば、音楽に懺悔しなければならない、と。
裏を返すと、本物のロック魂は音楽そのものにある!という前向きな宣言にも受け取れます。
泣いている
今は君のために飲もう
僕も風と共に行こう
憐れ君のために泣こう
僕も同じ夢を見よう
すべての人に 恋をしな!!
出典: すべての歌に懺悔しな!!/作詞:桑田佳祐 作曲:桑田佳祐
最後に、実は桑田佳祐さん自身も泣いていることがわかります。
君も僕も同じ……。
女性が大好きなところも、決して他人事ではないのかもしれません。
単純な他社批判ではなく、自戒の意味も入っているわけですね。
それでもロックを歌う!ポップソングと並行しながら……そこまで含めてカッコイイ歌でした。