続けられてきた伝統に向けて

桑田佳祐【SMILE〜晴れ渡る空のように〜】歌詞の意味を考察!笑顔がもたらす素晴らしさを読み解くの画像

本来、2020年に開催される予定だった東京オリンピック。

この「SMILE~晴れ渡る空のように~」は、本来オリンピックイベントのため制作されました。

しかし、その2020年初頭から世界を病魔が襲い、オリンピックは延期に。

結果、この楽曲は制作されたものの、オリンピックと同様に発売が延期されてしまいます。

その後、東京オリンピックは2021年に開催。

また楽曲も、収録アルバムに先駆けて2021年7月に先行リリースされることに。

制作した桑田佳祐は、この楽曲に「応援」という気持ちを込めたと明かしています。

ありきたりの使い古されたような言葉ではない、新しい気持ちで。

勝敗で勝ったアスリートだけではなく、負けた側にも積み上げた物語があるように。

アスリートだけでなく、全てのを頑張る人に向けて制作されたのです。

そしてこの楽曲は、複数のテレビ局でオリンピックテーマソングとして使用されました。

それでは、そのリリックを深く読み解いていきます。

夢を一途に追うことは

始まりの鐘は鳴る

私とあなたが
逢うところ
ここから未来を
始めよう

出典: SMILE~晴れ渡る空のように~/作詞:桑田佳祐 作曲:桑田佳祐

誰かと出会うこと、それはどんなシチュエーションでも「出会い」と呼べるでしょう。

例えば、道の途中ですれ違うとき、喫茶店や電車、学校などで隣の席に座ったときも。

そして、試合で相手と対峙したときもそうです。

出会いには、シチュエーションの違いなんて関係ありません。

このリリックでも、出会いが表現されています。

これまで努力を続けてきた種目で、同じように努力してきた人と逢う。

世界中が見つめる大きな舞台で対峙する2人。

どちらもこの舞台のために、どれだけの努力を積み重ねてきたか。

そんな彼等は、自分達の未来のために闘おうとしています。

欲しくてたまらないゴールドメダル獲得という未来です。

それを手にする未来のための出会いが、今、始まろうとしています。

夢を追い続ける孤独と喜び

栄光に満ちた孤独なHERO
夢追う人達の歌
情熱を消さないで歩みを止めないで
この世に生まれた以上

出典: SMILE~晴れ渡る空のように~/作詞:桑田佳祐 作曲:桑田佳祐

アスリートとして夢を追うのは簡単なことではありません。

幼い頃から抱き続けてきた夢を叶えるために、毎日、誰よりも練習にひたむきに打ち込む。

周囲の同世代は、楽しそうに遊んでいるのに。

身体が辛くて休みたくても、休めば今までの努力が泡となるかもしれない。

そんなふうに自らを追い立て、日々努力した結果、やっと勝利の栄光を掴むのです。

栄光を掴むまで、自分と闘い続けてきた彼らは、HEROと讃えるべき存在。

そして彼らを讃えるには、その見えない苦労や「孤独」をないがしろにできない。

熱い思いこそ、彼らがその栄光を掴むための道標だったはず。

そしてこれはこの世に生まれた私たちも、当てはまります。

アスリート達のように、生きることを、歩みを続けよう。

そんな応援が表現されたリリックかも知れません。

尊敬する友と闘うこと

歓喜を上げる瞬間

街のざわめきが
歓喜の叫びへと変わる
時代(とき)がまたひとつ
動いた事を知る

出典: SMILE~晴れ渡る空のように~/作詞:桑田佳祐 作曲:桑田佳祐

日々、鍛錬を積み重ねたアスリートが、過去の偉業を超えたとき、それは歓喜の瞬間です。

観衆はそんな偉業を目にした時、喜びを爆発させることがあります。

それは、アスリート達の見えない努力を感じ取ったからなのか。

他人でもその努力が実ったことが、我がことのように嬉しく感じる場合もあるでしょう。

同じ地元や同じ境遇で、注目している場合もあります。

テレビやモニターで、その偉業が試される瞬間を固唾をのんで見守る観衆。

「街」が、その瞬間を待って「ざわめいて」います。

そしてその瞬間が訪れます。

祈りが届いたかのような偉業達成に、歓喜する人々。

そうして新たな偉業が為されたとき、それは新しい歴史の始まりでもあります。

今日、このときにアスリートが達成した偉業は、いつかの未来のアスリートの目標となる。

このリリックは、そんな偉業達成の瞬間を待つ人々が感じられます。

また同時に、その記録が未来の人々の歓喜の瞬間にも繋がっている。

そんなシチュエーションまで見えてきそうです。

敬う相手とは

命の限りに幸せに
敬(うやま)いし
友と闘え

出典: SMILE~晴れ渡る空のように~/作詞:桑田佳祐 作曲:桑田佳祐