【愛しい人へ捧ぐ歌/桑田佳祐】アルバムのラストを飾る曲の深い歌詞をフルで紹介！ギターコード譜あり♪

「愛しい人へ捧ぐ歌」は、2012年リリースの桑田佳祐ソロベストアルバム、「I LOVE YOU -now & forever-」に収録されています。

本アルバムは、過去にリリースされたシングル曲を中心にまとめられており、ベスト盤的な構成になっていながらも、「愛しい人へ捧ぐ歌」は当時の新曲として初めてCDに収録されました。

2012年当時は、サザンオールスターズの無期限活動休止時期と重なり、桑田さんのソロ活動も精力的に行われていた頃でした。

1978年のデビュー以来、何度かの活動休止および再開を繰り返してきたサザンオールスターズですが、バンド結成30周年をきっかけとして、2009年に改めて長いお休みに入ることになります。

この時の活動休止宣言は、一部マスコミにて「事実上の解散か」というような拡大解釈につながり、そこから「もう永久にサザンが見れないかも？」といった憶測を呼ぶことになります。

もちろん、その後桑田さん本人から「サザンの解散はない」という訂正が行われるわけですが、当時ファンは少しドキドキしたものです。

それから数年を経て、サザンは2013年に、シングル「ピースとハイライト」のリリースによってめでたく活動を再開させます。

2015年には10年ぶりのオリジナルアルバム「葡萄」をリリースし、全国ツアーも行うことで変わらぬ姿をファンに見せてくれています。

桑田さん自身にも、サザン活動休止の2009年から活動再開の2013年の間にはいろいろなことがありました。

中でも2010年の「食道癌」の発症は大きな出来事で、当時制作中だったアルバムはリリースが延期され、ファンの間では心配の声が広がっていました。

幸いにも癌は早期発見により、手術によって切除することが出来ました。

当時、ラジオにてご本人が語っていたところによると、なんとなく違和感があったため定期検診の時期を前倒しして検査をしたところ癌が見つかったとのこと。

大事に至らず本当に良かったです。

また同年大晦日のNHK紅白歌合戦にも、特別枠にて、桑田佳祐ソロとして参加しています。少し痩せていましたが、元気に歌うご本人の姿を見ることが出来て、胸が熱くなりました。

ソロ活動再開の翌年、2011年3月には東日本大震災が発生します。

こちらも日本中を巻き込んだ大きな出来事で、津波の被災地と同じように、海に近い神奈川県の湘南地域で生まれ育った桑田さんは、この地震に特別な感情を抱いたはずです。

実はその数年前にあたる2008年に、桑田さんは実の姉である「えり子さん」を病気で亡くしています。

えり子さんは音楽面において、少年時代の桑田さんに大きな影響を与えた人物で、桑田さんの曲制作にも英詩のアドバイスで携わるなど、ファンの間でも有名な方です。

大切な人を亡くしてしまう悲しさをご自身でも味わっていた時期、東日本大震災の一連の惨状は桑田さんの目にどのように映っていたのでしょうか。

上記のように、姉のこと、東日本大震災のこと、自身の病のことなど、さまざまなことが重なっていた当時に「愛しい人へ捧ぐ歌」は制作されました。

桑田さんご自身は歌詞の背景について明言を避けていますが、そういった状況を理解したうえで曲を読み解くと、それらがより味わい深いものに感じられます。

冒頭、「夢を見させ続けて…」と願う主人公。亡くなった大切な人を想うのは、海のシーンです。

まるで、震災の津波で愛しい人を亡くしてしまったかのように、ぼんやりと波間を見つめる主人公の横顔が思い浮かべられます。

いくら時が流れても、悲しみは癒えないもの。大切な人と誓い合った未来も、すべて奪い去られてしまいました。

悲しみや怒り、寂しさなどをどこにぶつければいいかもわからず、季節だけが流れていきます。