ベイビーみたいな寝顔と狭すぎた木造四畳半
愛してた愛していた
「裏切った私を忘れてね」と、置手紙を書いている途中で
「いつか結婚」君は夢裡の中
出典: 夢裡/作詞:ほのかりん 作曲:ほのかりん
”寝顔”と”狭すぎた木造四畳半”ということからおそらく一緒に暮らしていたということがわかります。
ここでの「ベイビーみたいな寝顔と」という歌詞を歌う時のギターの弾き方と、歌い方が魅力的。
ミュージックビデオでも惹きつける部分の入り方だと思いますが、ここが頭から離れません(笑)
男性を「ベイビーみたいな寝顔」と例えるのは、彼との仲の良さが垣間見えてきますね。
「愛してた」を「愛していた」と変えて言い直す表現になったのは、”本当に伝えたいこと”だからだと思われます。
そしてここで、”約束したのに” が何だったのかが判明します。
それは「結婚」。
「結婚しようね」って、実際はどのくらいの本気度で二人で話していたのかはわかりません。
しかし、「裏切った私を忘れてね」という点から、約束を果たせなかったのは「ほのかりん」の方だとわかります。
「いつか結婚しよう」という約束を、なぜ果たせなかったのでしょうか。
そして「君」が眠っているうちに置手紙で別れを告げようとしています。
この眠っているうちにというのがまさにタイトルの『夢裡』に掛かっているのです。
「結婚」に対する覚悟ができなかった主人公
寒い日は何時も恨んだなぁ、コートのポッケが狭い事
ふたつ分絡めた幸せ
好きだったことは何処かなぁ、私は我儘ばかりでさ
下手くそに守った嘘
約束してたのに
出典: 夢裡/作詞:ほのかりん 作曲:ほのかりん
この部分の歌詞を読んであなたは何を感じましたか?
”私は我儘ばかりでさ”と”下手くそに守った嘘”です。
ここから察するに、おそらく彼女は一方的に別れを告げていますよね。
しかも付き合っている時は我儘ばかりだった。
きっと彼はその我儘も受け入れての「結婚しようね」だったはず。
”下手くそに守った嘘”とはどういうことでしょうか?
勢いやその時の感情で「結婚しようね」と約束してしまった。
いざ「結婚」に向き合ってみると・・・「私にはできない」。
そんな感情が見え隠れするのは私だけでしょうか。
「約束したのにごめん」。
そんな後悔と申し訳なさが感じ取れます。
これ以上一緒にいられない
ベイビーみたいな寝顔と狭すぎた木造四畳半
愛してた、それだけは信じてね
「裏切った君でも愛してるよ」、なんて馬鹿な事言わないでね
冬の季節、君は夢裡の中
出典: 夢裡/作詞:ほのかりん 作曲:ほのかりん
「愛していた、それだけは信じてね」という一文から、前向きな別れではなくつらい別れである事がわかります。
きっと悩んで悩んで出した「別れる」という決断だったのではないでしょうか。
私たちにも経験がありますよね。
"好きなのに、別れなきゃいけない状況"って。
そしてもう一つここで読み取れるのは「彼」についてです。
”「裏切った君でも愛してるよ」なんて言わないでね”
ここからわかるのは「彼」がものすごく優しかったであろうこと。
きっと主人公に尽くしてくれる人だったのではないでしょうか。
彼女の喜ぶことをして喜ぶことを言ってくれるような、そんな存在。
そこに甘えて、軽々しく「結婚しようね」と約束してしまった「私」。
※あえてここでは軽々しくと表現してみました
一方的な別れ
この雪が積もるように私なんか忘れるわ
愛していた証に指輪を置いていくわ
出典: 夢裡/作詞:ほのかりん 作曲:ほのかりん
「愛していた証に指輪を置いていく」って、ちょっとズルい気さえしますね。
独り部屋に残された彼はどう思うでしょうか。
こんな別れ方をして、主人公が「私なんか忘れるわ」というように、果たして忘れられるでしょうか?
一方的な別れ、最後の最後まで主人公が我儘であったことがわかります。
『夢裡』に持たせた二つの意味
ベイビーみたいな寝顔と狭すぎた木造四畳半
愛してた愛していたのに
裏切った私はもういないの、強がりを言っている手前で
「いつか結婚」君と夢裡の中
「いつか結婚」君は夢の中
出典: 夢裡/作詞:ほのかりん 作曲:ほのかりん
「強がりを言っている手前で」とありますよね。
ここでは、後悔している気持ちが前面に出ていると思われます。
”愛していたのに”裏切ってしまった。彼との約束を破ってしまった。
そんな感情があったのだと思います。
”裏切った私はもういないから、早く忘れてね”
そんな強がりですよね。
ここで注目したいのは、「ほのかりん」の言葉選びのセンスです。
『夢裡』のタイトルは2つの意味に掛かっていることに気が付きましたか?
一つ目は「彼が夢の中にいるうちに黙って部屋をでる」という別れ方に対して。
二つ目は「いつか結婚」が夢のうちに終わってしまったということ。
もう結婚はできない。だから別れを選ぶ。
それがこの『夢裡』で表現したかったのではないでしょうか。
オチまでがとても美しくまとまっていて、ほのかりんの作詞能力が高いとも言えますね。