最初に~「All Along the Watchtower」について

Bob Dylan【All Along the Watchtower】歌詞を和訳して意味を解説!の画像

この曲はボブ・ディランの8作目のアルバム「John Wesley Harding」に収められています。

1941年生まれのボブ・ディランの26歳の時の作品で多くのカバーバージョンもある人気曲です。

聖書を基に作られた、教訓的内容の強い歌詞になっています。

ボブ・ディランはユダヤ系アメリカ人で元々はユダヤ教徒でしたが後にキリスト教に改宗したということです。

聖書は古典的設定の物なので少しわかりにくいかもしれません。

ですので今の私達の時代に置き換えて内容を想像できるように少しアレンジしてみました。

タイトルは通称「ワッチタワー」と言われていますが「見張り台」のことのようです。

その昔奴隷達を監視したり国を警備するためのものでした。

聖書を通した原文の解説も添えましたので読み比べてみてください。

ノーベル文学賞受賞のボブ・ディランの真髄に迫ってみましょう!

MVで聴く「All Along the Watchtower」

和訳の前にオリジナル曲をお聞きください。

郷愁をそそりますね!

「All Along the Watchtower」和訳

崩壊への危機感

Bob Dylan【All Along the Watchtower】歌詞を和訳して意味を解説!の画像

“There must be some way out of here”
Said the joker to the thief
“There’s too much confusion
I can’t get no relief

出典: All Along the Watchtower/作詞:Bob Dylan 作曲:Bob Dylan

「この場所から抜け出すことを考えないといけないんだ」

うぬぼれ屋はペテン師に話かけていた。

「ここはもう収拾がつかなくなっている、気が休まる時がない」

(解釈)

ここに登場する「うぬぼれ屋」というのはボブ・ディラン本人のことだと思います。

彼はこの作品を書く前大きなバイク事故を起こし、しばらく活動を休んでいました。

それ以前は歌手としての絶頂期を過ごしていましたので、少し傲慢な道化師といった意味でしょうか。

そのうぬぼれ屋が胡散臭い詐欺師のような男と話をしています。

ショウビジネス界の大きな渦に巻き込まれ、かなり精神的に疲弊しているようです。

現実との葛藤

Bob Dylan【All Along the Watchtower】歌詞を和訳して意味を解説!の画像

Businessmen, they drink my wine
Plowmen dig my earth
None of them along the line
Know what any of it is worth”

出典: All Along the Watchtower/作詞:Bob Dylan 作曲:Bob Dylan

「やつらは汚く稼いだ金で飲んだくれてばかりだ

俺の田舎じゃあ、皆一生働きどうしだ

その違いにどんな意味があるんだ」

(解釈)

道理の通らないことに不満と怒りを持っているようです。

卑劣なやり方で富を得て堕落していく人達を見ながら、故郷を思い出しているのでしょうか。

ボブ・ディランはミネソタ州の出身ですが移民の多いところとしても知られています。

どこまでも続くような広大な土地をひたすら耕し続ける人達を思い浮かべているようです。

解決策はあるのか?

Bob Dylan【All Along the Watchtower】歌詞を和訳して意味を解説!の画像

“No reason to get excited”
The thief, he kindly spoke
“There are many here among us
Who feel that life is but a joke

出典: All Along the Watchtower/作詞:Bob Dylan 作曲:Bob Dylan

「なあ、そんなに熱くなるなよ」ペテン師は彼を優しくなだめた

「我々の周りには考えなければいけないことが沢山あるが

人生なんてただの冗談だ」

 (解釈)

うぬぼれ屋は熱くなっていますが、話し相手は居心地が悪そうですね。

お酒の席でよくありそうな場面ですが、この話相手の素性が気になります。

話相手をペテン師と言っていたのは人間性を見抜いた上でのニックネームなのかもしれません。

なのか味方なのかわかりませんが、全うな人間ではなさそうです。

そして何かを決めるためにある相談をしています。

「誤った考え」とは?