カバー作品に込められた意図とは

クラムボン【幸せ願う彼方から】歌詞を独自解説!泣ける…巡り会う時を信じて…何世紀でも待ち続けましょうの画像

カバーというのは、アーティストが原曲の良さをさらに多くの人に知ってもらいたいという想いから行われるものではないでしょうか。

もちろん原曲から全くアレンジが変わったものもたくさんあるのですが、そうであってもそのアレンジも元の楽曲があってこそ生まれるものです。

その部分さえ変わらなければ、原曲の意図というのは受け継がれていくものだと感じます。

名曲がいつまでも名曲として残り続けることには、そうやってカバーをするアーティストの存在というのも一役買っていることは間違いありませんね。

あらゆる楽曲のカバーを行って来たクラムボン

今回紹介するのは2018年現在、もうじきデビューから20年を迎えるクラムボンが手掛けたカバー作品。

クラムボンはカバーアルバムもこれまでに2枚リリースしており、名曲を世に広めていきたい、残していきたいという想いを一層強く感じさせるバンドですね。

そして往年の歌謡曲からビートルズやジャズ、アニメのキャラクターソングなんかもカバーしてしまうのが、彼女たちの興味深いところだったりします。

クラムボンが「らき☆すた」のキャラクターソング「幸せ願う彼方から」をカバー

クラムボン【幸せ願う彼方から】歌詞を独自解説!泣ける…巡り会う時を信じて…何世紀でも待ち続けましょうの画像

そう、今回紹介する「幸せ願う彼方から」の原曲はアニメのキャラクターソングなんです。

収録されたアルバムは2013年5月22日リリースの「LOVER ALBUM 2」。

2007年に放送されたアニメ「らき☆すた」で使われたキャラクターソングで、ファンの間では特に根強い人気のある曲となっています。

「らき☆すた」をご存知でない方のために簡単にどんな作品かにも触れておきましょう。

元は4コマ漫画だった

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『らき☆すた』は、美水かがみによる4コマ漫画作品、小柄でアニメやゲームが大好きな、オタクな女子高生泉こなたと、その友人でゆったりした性格の柊つかさ、つかさの双子の姉でしっかり者でツッコミ役の柊かがみ、容姿端麗で博識ながら天然な所がある高良みゆきの4人を中心として、その周囲の人々も含めたまったりとした普段の生活を描いている。

出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/らき☆すた

4コマ漫画というと4コマで1話が完結するという性質上、ギャグ要素のあるゆるい作品が大半ですよね。

「らき☆すた」も案の定そういった作風なのですが、その中でも登場人物に細かい設定があるのが人気の理由になっています。

そして気になるのは「幸せ願う彼方から」が登場人物のうち誰のキャラクターソングなのかということ。

それはここに描かれている主要人物四人のうちの誰でもありません。

この曲は主人公泉こなたの母、泉かなたのキャラクターソング。

どうして主要人物以外のキャラクターソングが人気を博しているのか。

その理由はまさにこの、泉かなたの設定にあるのではないでしょうか。

泉かなたは天国から見守っていた

こなたを出産した直後はまだ存命だったが、その数年後のこなたがまだ歩けるかどうか位の幼い頃(アニメ版ではかなたの仏壇の前で項垂れるそうじろうの横に、おしゃぶりをくわえているこなたがいる)に亡くなった様子。

出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/らき☆すたの登場人物

引用部分にもあるように、泉かなたはこなたがまだ物心つく前に亡くなっています。

そう、「幸せ願う彼方から」には、文字通り残された人の幸せを願う彼女の想いが込められているんです。

感動の連鎖が生んだ名作MV

カバーするにあたってのプレッシャーが後押しになった?

この楽曲をカバーするにあたって正直プレッシャーのようなことも感じていたと、バンドのリーダーであるミトは語っていました。

アニメのファンにとって、自分たちがカバーすることは余計なお世話になってしまうのではないか。

これは人気アニメだからという以上に、この曲が生まれたキャラクターの背景もあって感じた想いではないでしょうか。

自身もこの作品のファンだというミトだからこそ、よりそのプレッシャーも強かったのでしょう。

でもだからこそ、原曲の意図ときちんと向き合った上で演奏されたものだということがこのカバーからも伝わってきます。

そしてMVでも、原曲の意図が彼らの演奏から伝わったからこそ出来上がった物語が繰り広げられていました。

手掛けたのは映画「世界の中心で愛を叫ぶ」の監督も務めた行定勲。

名曲に感動したクラムボンがそれを演奏し、さらにそれに感動した名監督が作品を綴っていく。

そんな感動の連鎖が生んだ名作MVとなっています。