MVのストーリーは亡くなった奥さんの誕生日を親子で祝うというもの。
娘が寝静まった後、人知れず涙を流すご主人の姿には胸を締め付けるものがありました。
楽曲のアレンジは原曲を損なわず、クラムボンの3人の個性がそこに表れたようなイメージ。
これぞ楽曲の意図を理解したアレンジといった感じでした。
映像からもこの曲の言わんとすることは存分に伝わってくるのですが、記事の本題は歌詞の解説ですよね。
ここからこの「幸せ願う彼方から」の歌詞の内容を順を追って垣間見ていくこととしましょう!
天国よりも幸せな場所
何も変わったことなどないけれど
心のなかで 生きていたい場所がある
小さな世界
もう届かない過去の日は
そのままの私と そのままのあなたが
いつも笑っていた
出典: 幸せ願う彼方から/作詞:神前暁 作曲:畑亜貴
天国というぐらいですから、天国という場所はきっと幸せに溢れた場所のはずです。
そんな天国においても、この曲の主人公である彼女には他に生きていたい場所があるといいます。
それは自分が残して死んでしまった主人と過ごした日々。
何も変わったことなど一つもなく、飾らないままの二人がそこには居ました。
変わったことなどなくても、ただ笑っていられることが幸せだった。
そんな彼女の想いがこの部分では描かれていますね。
一生分の幸せが詰まっていた彼との日々
忘れない 静かに見守ってるわ
今でも最高に 愛してると
わかってるはずよ
どうしても 会いたくなったら
そっと挨拶に行くわ
遠く 幸せ願う彼方から
出典: 幸せ願う彼方から/作詞:神前暁 作曲:畑亜貴
そんな幸せな日々には戻れるはずもないということは、彼女も重々わかっています。
今自分は彼のことを遠くから見守ることしか出来ません。でもそれで良いんです。
愛していることはこれまでの日々で充分に伝えて来たから、今さら愛を伝えるようなことをしなくても彼はもうわかっているはず。
それは彼女が愛を伝えて来ただけでなく、彼からもたくさん愛を貰ったということの表れでしょう。
見守るだけでいいなんて言っても、会いたくなってしまうことはやっぱりあります。
「そっと挨拶に行く」と表現されていますが、大切な人が亡くなったとき、なんとなくそばに居るような気がするという感覚を覚えることって、きっとあるのでしょうね。
それぐらいの挨拶なら、天国に行った人にだって許されるのではないでしょうか。
今では触れることも叶わないけど
決して忘れることはない
失ってから やっと気付く大切さ
私たちの手
現実では離れても
なつかしく私が なつかしいあなたを
ずっと掴まえている
出典: 幸せ願う彼方から/作詞:神前暁 作曲:畑亜貴
天国に行ってしまった彼女も、離れてみて彼のことを本当に愛していたんだと実感したのでしょうね。
自分は死んでしまったのだから、彼に触れることはもう出来ません。
しかし自分が生きていた頃に感じた彼を決して忘れることはない。
懐かしんでいる彼女は現在の姿ですが、思い描いているのは過去の彼。
そんな描写がもう触れることが出来なくなってしまったということをより如実に感じさせます。
二人はまた巡り合えるから
悪戯な 神様が試してるの?
どこまで続くのか
何世紀も変わりはしないわ
信じてる 帰る胸はひとつだけ
ずっと待ち続けましょう
必ず 巡り合う時を
ねえ、悲しいと言わないで
永遠だから
出典: 幸せ願う彼方から/作詞:神前暁 作曲:畑亜貴
離れても尚変わらない彼女の想い。
彼女は天国でも何年もの間彼を想い続けています。
彼女の想いの強さを考えれば、その時間はさらに長く感じることでしょう。
まるで神様が自分の想いの強さを試しているみたいだと、嘆くような姿がここで描かれていますね。
でもいくら試したところで彼女の気持ちは揺るぎないことも、同時に表しています。
次に生まれ変わって巡り合うそのときまで、彼女は彼を想い続けるというのです。
だから、自分にもう会えないと思って悲しまないでほしい。
自分が永遠に彼を想い続ける限り、必ずまた巡り合えるのだから。
彼女が言いたかったのは自分の想いの強さというよりは、彼を悲しませたくないという想いだったのでしょうね。