1970年に発売された曲のカバー

オリジナルについて

Mr. Big【Wild World】歌詞の意味を考察!本当に望むこととは?女性を案じる優しさに迫るの画像

【Wild World】は、1993年に発売されたMr.BigのサードアルバムBump Aheadからのシングルカットです。

実はカバー曲で、オリジナルは遡ること約20年前の1970年に、英国のシンガーソングライターCat Stevensによりリリースされていました。

カバー曲でありながら、古さを全く感じさせない旋律と歌詞

因みにオリジナルはStevensのアルバムTea for the Tillermanで初めて発表されました。

何ともホッコリする絵柄のアルバムジャケットは、童謡ソング集?と勘違いしそうです。

ハードロックバンドのMr.Bigが、カバー曲として選んだ曲が収録されているなんて想像できませんね。

歌と作者の背景

本曲はStevensの恋人であった女優との別れを題材にしています。

彼の実体験に基づいた歌だったのですね。

また彼は音楽家でありながら教育家、慈善活動家など色んな顔を持つシンガーです。

そのため歌詞内容も彼女へのラブソングでありながら、どこか父性を感じさせる道徳的な印象も受けます

そんな作者のバックグラウンドを頭の隅に置きながら、本曲を聴いてみるのもおもしろいですよ。

Mr.Bigはなぜこの曲をカバーすることになったのか

ハードロックバンドのはずなのに...

Mr. Big【Wild World】歌詞の意味を考察!本当に望むこととは?女性を案じる優しさに迫るの画像

どちらかというとハードロックバンドといったイメージが強いMr.Big。

ではなぜ彼らがフォークロックの色調が強いこの曲をカバー曲として選んだのでしょうか。

実は本曲をリリースする2年前の1991年に、全米でNo.1を獲得した【To be with you】をリリースしました。

ハードロックバンドが歌うソフトロックの大ヒットに味をしめたレコード会社は、再度バラード曲でのヒットを目論見ます。

その要求に応じる形で【Wild World】が選曲され、リリースすることになったというわけです。

日本での売り上げは良かったが

日本ではオリコン洋楽シングルチャートで1位を獲得しています。

しかし残念ながら全米英では【To be with you】ほどのヒットとはなりませんでした。

もしかしたら歌詞内容が要因のひとつだったのかもしれません。

というのが、女性蔑視を感じさせる歌詞であると批評する人たちがいるからです。

そんな社会問題的視点を意識しながら、歌詞の考察をスタートさせましょう。

歌詞の意味を考察

悲しい幕開け

Now that I've lost everything to you
You say you wanna start something new
And it's breaking my heart you're leaving
Baby I'm grieving

出典: Wild World/作詞:Cat Stevens 作曲:Cat Stevens

どうやら彼女が彼のもとを去ってしまったようです。

どういう状況か、和訳してみましょう。

君のために僕は今すべてを失ったさ
新しい何かをスタートさせたいと君は言うんだね
そして君は去ってしまうなんて、僕の心はもうズタズタだ
愛しい君、僕は途方もなく悲しみに暮れているんだよ

出典: Wild World/作詞:Cat Stevens 作曲:Cat Stevens

残念ですが、彼女の心はすっかり彼から離れてしまっているようです。

新しい何かをスタートしたい。

別れをきり出すときの常套句です。

彼との生活にもう飽き飽きしてしまったのでしょう。

そして2人の未来に夢も希望も描くことができない状況なのかもしれません。

嫌いになったわけではないけれど、この人とこのまま一緒にいても仕方無い、そう思わせてしまった彼が多分悪いのでしょう。

気が付くのが遅かった、そのひと言に尽きます。

今頃、心はズタズタだし悲しみに暮れているんだよ、と伝えたところで、もうどうにもなりません。

気持ちとは裏腹に