幼少期に抱いていたあの真っ直ぐで率直な感情。

それは、大人になるにつれて、段々と失われていくのです。

歌詞にもあるように、私たちが生きている時間は有限であり、留まることはありません。

ここで述べられている「旅路の終わり」とは自ら死を選ぶことを形容しているのではないでしょうか。

1度きりの人生で、時には絶望の淵に立ってしまうこともあるかもしれません。

しかしながら、そんな時にこそ、これまでの純粋に生きてきた日々を思い返して欲しいというメッセージ。

人生は、自分に問いかけることを止めてしまったら最後だと考えます。

大人になった自分の心に何度だって見つからない答えをひたすらに問いかけていくのです。

想うほどにこみ上げる複雑な感情

あなたと同じ景色を

明日足が 動かなくなったら
あなたとの道のりを
どれだけ歩けたことになるだろう

出典: EVEN/作詞:茂木洋晃 作曲:G-FREAK FACTORY

そしてここからは、また1番Aメロと同じ構成で綴られている歌詞です。

これまでにあなたと共に歩いていた道を振り返っている主人公の様子が映し出されています。

その道の長さは計り知れず、何にも形容することが出来ないほどに長く美しいものだったのでしょう。

その中に飽和する心情は、喜び後悔が入り混じっている複雑な状態だと捉えることが出来ます。

  • いつだってあなたと歩いてくることが出来た喜び
  • もっと何かをしてあげられたのではないかという自責の念

それらは、あなたのことを強く想い続けているからこそ、湧いてくる感情の数々。

決して、明日本当に自分が動けなくなるわけではありません。

しかしながら、いつかは、いつの日かは、あなたと同じ景色を見れなくなってしまう日が来てしまうのです。

自分の声が届かない

それに例えば明日
この声が出なくなっちまったら
あなたに何を
どれだけ伝えられたんだろう

出典: EVEN/作詞:茂木洋晃 作曲:G-FREAK FACTORY

もう2度と、あなたの心に自分の想いが伝わることがない状況が綴られている歌詞

このフレーズは、バンドマンが謳い上げることで、より一層感情が込められているように感じます。

誰かに想いを届けること、それが自分の愛する人ならどれだけ重要な行為であるか。

好き」などの愛情を届けることも出来ず、「ごめん」などの正直な想いを届けることも出来ない。

あなたの気持ちを推し量ることが出来ても、それに対して何かレスポンスをすることは叶わないのです。

その中で、「現状の自分はあなたに何か届けられているか?」と自問自答している主人公。

どんな想いをどのぐらいの大きさであなたに伝えることが出来たのだろうか。

本当は届いている想いさえにも、不安焦りに飲み込まれてしまっている様子が感じられます。

自分と向き合って

いつまでも想い続ける

不器用な唄 口ずさんで
限られた時間の中を
しわの増えた手のひらを
合わせて願い続けた

出典: EVEN/作詞:茂木洋晃 作曲:G-FREAK FACTORY

ここでは、時間の流れを連想させる「しわ」というワードが使用されている点に注目です。

あなたと過ごしてきた時間が、何十年単位であることが読み取れます。

その間にも、あなたに向けて多くの想いを募らせてきた主人公。

主人公が願い続けているものは、真っ直ぐに「あなたの幸せ」ではないでしょうか。

時間は有限であり、いつ自分がこれまでのように生きられるかも分からない。

それを知った上で、必死にあなたのことを想い続けることの奥ゆかしさといったらなりません。

あなたに向けた自分の想いを「不器用」と表現している点も魅力的です。

その不器用な愛だからこそ、誰かの心に強く響くのだと思います。

自分を肯定していく

がむしゃらなこどもの頃のように
もしも俺がもう少し強くなれたら

愛想笑い繰り返す無表情な毎日を
受け入れたままで 咲き誇るあの花のように

心に咲いた大切が戸惑いを追い越して
始まりに満ちた晴れた日が 必ず来るから

出典: EVEN/作詞:茂木洋晃 作曲:G-FREAK FACTORY

ここの歌詞で述べられているのは「ありのままの自分」を肯定してあげられること。

更に、注目すべきは、「咲き誇るあの花」という表現です。

主人公が、そう魅力的かつ神秘的に捉えている花の正体は、「あなた」なのではないでしょうか。

そんなあなたの隣にいることで、段々と、自己肯定感を高めていく主人公の姿。

そして、いつか笑顔で過ごせる毎日がやってくるといっているのです。

絶望感に塗れた現実と、眩しく輝く未来のコントラストがどこか美しく感じられます。

自分自身を信じた先で、希望に満ち溢れた日々を心待ちにしているのでしょう。

自分を愛し、人を愛して