シンデレラは時間制限つきで王子に会いに行く恋物語。
時間がくると王子をお別れをしなければならない切ない事情があります。
ハネムーンとは、日本では新婚旅行を指す言葉です。
しかし、ここでは旅行というよりも”2人で会う時間”という意味合いでしょう。
彼女は「日暮れに始まり真夜中には別れなければならない恋」をしているということです。
シンデレラ・ハネムーンの歌詞を見てみよう
真夜中には別れなければならない恋とはどんな恋でしょうか。
2人の間に別れの時間が差し迫ってくる
いつでも二人は シンデレラ・ハネムーン
時計に追われる シンデレラ・ハネムーン
好みの煙草あと一本になり
あなたはやるせない目をして見てる
肩でもいいわ しっかり抱いてよ
ルージュもいつか乾いた色になり
言葉は一つおやすみ残すだけ
出典: シンデレラ・ハネムーン/作詞:阿久悠 作曲:筒美京平
煙草があと1本になるギリギリまで、一緒の時間を過ごした2人。
限られた時間が、すでに随分と経過したことをうかがわせます。
1本の残りを吸い終わったら「じゃ、もうそろそろ行くよ」と言わざるを得ない…。
そんな切ない状況だということが想像できます。
夕方には潤っていた”つけたてのルージュ”も、時間が経つことで薄れてきてしまっています。
そして「おやすみ」と別れをいう時間は、2人のデートが終わってしまうことを意味しています。
朝まで一緒にいられない2人の関係とは
日ぐれにはじまる シンデレラ・ハネムーン(シンデレラ・ハネムーン)
夜ふけに別れる シンデレラ・ハネムーン(シンデレラ・ハネムーン)
このまま朝が訪れそうだけど
出典: シンデレラ・ハネムーン/作詞:阿久悠 作曲:筒美京平
歌詞からはハッキリと、2人は限られた時間の中でしか会えないことがわかります。
その日ばかりは仕事を早めにきりあげて、夕方に待ち合わせします。
そして真夜中、日が変わる前にさよならをするのでしょう。
深い夜に浸かった静かな時間の経過は、そのまま朝が訪れるような自然な流れを感じさせるはずです。
しかし、2人に朝が訪れることはないのです。
日暮れに会って、必ず夜ふけに別れなければならない…
なぜなら、彼女は本命の女ではないからです。
2番目の女はツラい!彼女の心情が見えてくる
重ねたくちびるがつめたくなって
せつなさなんか 教えてくれるの
シャッターおろすばかりの店先で
花など買ってふざけたふりをする
出典: シンデレラ・ハネムーン/作詞:阿久悠 作曲:筒美京平
キスがつめたいのは、夜になり外が冷え込んでいるせいもあります。
しかしそれだけではありません。
別れる時間が近づくことで、彼の心がすでに違う女性のほうを向いてしまっているのです。
彼は帰宅しなければならない制限時間ばかりが気になり、目の前の彼女に集中できていません。
キスに愛情が入っておらず、つめたく感じてしまうのです…。
ササっと済ませてしまおうとする軽々しい男性の様子が目に浮かびます。
だから彼女は、普段なら買いもしない花なんかを買ってふざけてみたりしてしまうのです。
「花、綺麗だね~」なんて言いながら、その切ない気持ちに封をするように明るく振舞っている様子が見えてきますよね。
1人の時間に切なさがこみあげてくる
いつまでつづくの シンデレラ・ハネムーン
あなたと私は シンデレラ・ハネムーン
シャンプーした髪を夜風にさらし
あなたの口ぐせを思い出してる
しあわせだから いいじゃないかなの
私はひとり爪など切りながら
なぜだか重いためいきついている
出典: シンデレラ・ハネムーン/作詞:阿久悠 作曲:筒美京平
彼と離れて、場面は1人自分の部屋のベランダです。
濡れた髪がつめたい夜に晒されて、シャンプーのいい香りがふんわりと漂ってきそうです。
とりあえずお風呂に入って、寝る用意をしますがうまく寝れないのでしょう。
ベランダに出て夜の景色を眺めながら、彼を思い出しています。
そして「(淋しいけど)しあわせだからいいじゃない」と考えています。
彼に会えるだけでも幸せだという意味でしょう。
でも心は嘘をつけずにため息がでてきてしまうのです。
重いため息の理由は分かっているはずなのに「なぜだか」と言っていますよね。
自分は都合のいい女、所詮は浮気相手…そんな現実から逃げている彼女の心情がわかります。
ルルル…
ルルル…
私はひとり爪など切りながら
なぜだか重いためいきついている
出典: シンデレラ・ハネムーン/作詞:阿久悠 作曲:筒美京平