メリーゴーランドみたいに回る
僕の頭ん中はもうグルグルさ

出典: 天ノ弱/作詞:164 作曲:164

言葉には力があります。

言葉の形で行われる思考も力を持ちますが、口に出された言葉の方が強力です。

どんな言葉を口に出すかは、自分がどんな人間になるかすら決めてしまいます。

天邪鬼な僕は、これまでたくさんのささやかな嘘と否定を積み重ねてきたのでしょう。

本音を告げようとしてねじ曲げたり、すぐに否定を重ねたり……。

その結果、自分でも自分の本音が分からなくなってしまったのではないでしょうか。

本音を否定し、ねじ曲げて伝える思考形態が、すっかり身についてしまっているのです。

結果的に本音と否定が再現なく繰り返され、僕の思考は同じところを回ります。

絡まった思考の糸は、僕自身にしか解くことができません。

愛を捨てたい?

この両手から零れそうなほど
君に貰った愛はどこに捨てよう?

出典: 天ノ弱/作詞:164 作曲:164

そんな僕にも、「君」はたくさんの愛情を与えてくれたようです。

ところが僕は、その愛情を捨てたいと思っています。

そこにある本音は、愛が不要だというわけではないのでしょう。

もらいすぎた愛が重くなってしまったのではないでしょうか。

自分に嘘をつき続けていると、自分自身のことさえ信じられなくなっていきます。

本音がどこにあるか分からない人を信じるのが難しいのは、自分でも他人でも変わりません。

自分を信じられなくなると、自分に自信が持てなくなります。

ひいては「自分に愛される価値なんてない」とまでも。

僕もそんな心理状態に陥っていると考えられます。

僕にとっては、「君」からのまっすぐな愛が重すぎるのです。

負担というよりも、無言のプレッシャーのようなものでしょう。

「君」に悪気はなく、僕の捉え方の問題です。

今の僕には、「君」からのまっすぐな愛と信頼を受け容れる準備ができていません。

僕の心理的成長が促されている局面ですが、その心の準備もまだです。

そこで、逃げるように「捨てる」という選択肢が生まれていると思われます。

限りのある消耗品なんて僕は
要らないよ

出典: 天ノ弱/作詞:164 作曲:164

僕なりの愛の定義が垣間見られる一節です。

僕は、愛をすり減っていくものととらえています。

確かに、「愛が冷めたので別れます」とは、よく聞くフレーズです。

今までたくさん聞いてきた言葉が、僕の中で愛のイメージを形作っているのでしょう。

また言葉を変えれば、僕は永遠の愛を求めている、という見方も可能です。

すり減る愛は不要。

逆に、変わらない愛情が欲しいというわけです。

僕が「君」との別れを願う背景にも、この愛の観念があるのでしょうか。

「君」を信じ切れない

疑心暗鬼になる僕

僕がずっと前から思ってる事を話そうか
姿は見えないのに言葉だけ見えちゃってるんだ

出典: 天ノ弱/作詞:164 作曲:164

僕は、「君」に対して疑いを抱いているようです。

ここでも、2行目の歌詞を2つの意味に捉えることができます。

1つ目は、SNSの暗示。

2つ目は、メールでやりとりしている故の「行間を読む」ことです。

両者に共通して言えるのは、僕が「君」の本音をはかりかねているということ。

遠距離恋愛であるがゆえに、気軽に「君」に会うことはできません。

「君」の顔を見ることができないということです。

ですが、現代には携帯電話という便利なツールがあります。

1対1のやりとりには、メール。

そして気軽な発信媒体として、SNSが普及しています。

SNSの形態にもよりますが、文字情報がとても重要になるものが多いです。

文字は発信前に見直しをすることができ、ある意味、嘘をつきやすい面もあります。

天邪鬼な僕は、自分のことさえ信用できていません。

そういう人間が他人を疑うのは、ある意味自然なことです。

僕は「君」と文面でのやりとりをしながら、「君」を信頼できずにいるのかもしれません。

仮にメールに「好きだよ」と書かれていても、「本当に?」と疑ったり。

SNSで友達と出かけたという投稿を見て「それ、恋人じゃないよね?」と勘ぐる可能性も。

僕は僕自身のせいで、気が休まりません。

すべてを知りたくて

僕が知らないことがあるだけで気が狂いそうだ

出典: 天ノ弱/作詞:164 作曲:164

疑う気持ちが、僕をさらに苦しめます。

究極的に言えば、人間が他人のことを完璧に理解するのは不可能に近いです。

人は1日に6万回以上の物事を考えているといわれています。

相手のすべてを知るということは、何を考えているかまで理解しきることです。

見た目、生き方、心の中身、思考まで。

そんなことをし続けるのは現実的ではありません。

とはいえ、自分も他人も信用できない僕は「君」のことを知っておきたいのでしょう。

そうしないと、僕は安心できないからです。

「君」が、実は浮気をしているかもしれない。

そこまではいかなくても、誰かと親密になっているかも……。

果てしない疑いが僕を苦しめています。

ぶら下がった感情が綺麗なのか汚いのか
僕にはまだわからず捨てる宛てもないんだ

出典: 天ノ弱/作詞:164 作曲:164

「君」の真意、「君」への不安とは、一体どういう思いの結果なのでしょうか。

僕自身にも、それがまだ分かっていません。

「君」の行動、思いのすべてを把握しておきたい。

それは、良くいえば「相手をもっと知りたい」という愛情や興味です。

悪くいえば嫉妬になってしまいます。

僕の決断