なぜ耳を塞いだ?
何者なのかとかもういらないかな
君もそうかそれもそうか
今ではケロイドだらけのべいべ
そんな目であたしを下さないで
笑えない冗談ばっか聞いていた
block 耳を塞いだ
出典: 超破滅的思考/作詞:4s4ki 作曲:4s4ki,ANIMAL HACK
1行目の言葉が引っかかります。
「自分は何者なのか探していた」とう過去が読み取れるのではないでしょうか?
我慢を重ねすぎて自分自身を見失ってしまった。
悲しみや痛みに支配されて、本来の自分の意思が埋もれてしまった。
そんな見るに堪えない状態が考えられます。
そしてもう一人、君という存在が登場しました。
「ケロイド」は怪我や火傷のあとに皮膚にできる隆起です。
君は今まで無数の傷を負ってきたのでしょう。
君も主人公のようにボロボロになって生きています。
でも、主人公と君の関係性は…単純に「良好」といえないようです。
君の視線や言葉には、主人公を傷つける要素が含まれています。
傷だらけになった君は、自ら人を傷つけるようになってしまったのかもしれません。
もしくは、同じ状況下の人の言葉だからこそ、主人公の心の傷が反応して暴れるのかもしれません。
そして、主人公は心を守るため周囲にバリアを作ってしまいました。
主人公が抱える苦痛とは?
雨降っても地は固まらないや
不貞寝したあたし カス オブザイヤー
全然まともじゃないからさ
まともなふりが難関
雨降っても血は流せなかった
冷え切った体を撃ち抜いた
全然平気じゃないけどさ
平気なふりは簡単
出典: 超破滅的思考/作詞:4s4ki 作曲:4s4ki,ANIMAL HACK
「不貞寝」という表現は、問題と向き合わずに先送りする、という意味が読み取れます。
先ほどのように苦痛から逃げてしまう自分を歌っているのかもしれません。
もう向き合う気力すら残っていないのでしょう。
でも自分の弱さは悔やんでいる。
ループし続けるこの感情は、永遠と心を蝕んでもっと苦痛を増幅します。
先ほどは「平気なふり」はできると言っていました。
でも「まともなふり」はできないようです。
この2つには大きな違いがありますね。
周囲に溶け込むことはできないけど、辛そうには見せない。
結局は自分自身に無理が集中してしまう選択です。
揺れ動く心に目を向ける
歌詞は次第に核心へと迫ります。
主人公がどうしてこれほどまでに傷を重ねてしまったのか、紐解いていきましょう。
一筋の光が見える
視界からも曲がりまくる
切ってぶち抜いたハート
壊れまくるこの身体中
継ぎ接ぎだらけハート
けど本当だよ今大切だよ
それだけで動くハート
また可笑しいこと歌にしてるよ
出典: 超破滅的思考/作詞:4s4ki 作曲:4s4ki,ANIMAL HACK
歪んでいく心。
ついには視覚までにも影響が現れました。
限界を迎えていることが分かります。
ハート…つまり心はズタズタに引き裂かれ、体も至る所が大破して言う事をききません。
傷ついた心は自分自身で縫い上げたのでしょう。
まるで切り傷を縫うように。
素人の応急処置で施した縫い目は脆く、見るからに痛々しい惨状が目に浮かびます。
ここまでとにかく苦痛を生々しく表現していました。
でも、後半では少し変わります。
こんなに辛い人生であっても、「大切」といえるものに出会えた。
そう語る言葉には温かい心が通っています。
苦痛ばかりの人生だったけど、その中でも一筋の光を見つけ出したのです。
なぜ君を嫌う?
何者なのかとかもういらないかな
かわいそうで仕方ないや
今ではケロイドだらけのべいべ
そんな目であたしを下さないで
うざいくらい騒いでる君が嫌いだ
block 耳を塞いだ
出典: 超破滅的思考/作詞:4s4ki 作曲:4s4ki,ANIMAL HACK
ここでまた君が登場しました。
5行目の歌詞が変わっています。
君を嫌う理由を考えてみましょう。
主人公は苦痛を口に出せず溜め込んでしまう性格と思われます。
それに対して君は自分の気持ちを外に吐き出す性格なのかもしれません。
我慢をしている自分と、我慢せずに周囲にまき散らしている君。
自分に対する厳しさの反動で、君の対応に苛立ちを感じているのではないでしょうか?
心の深いところでは、君みたいに口に出せたら楽なのにと思っているかもしれません。
でも、それをしないのは「周囲に迷惑をかけないように」という義務感や自立心があるから。
主人公にとって君は、自立心に欠ける存在に映るのかもしれません。
もう一つ考えられる思考があります。
それは素直に人を「好き」といえない、という思考。
今まで幸せとは程遠い生き方をしてきたがために、愛情を回避してしまうのかもしれません。
無理を重ねる理由
※繰り返し
雨降っても地は固まらないや
不貞寝したあたし カス オブザイヤー
全然まともじゃないからさ
まともなふりが難関
雨降っても血は流せなかった
冷え切った体を撃ち抜いた
全然平気じゃないけどさ
平気なふりは簡単
出典: 超破滅的思考/作詞:4s4ki 作曲:4s4ki,ANIMAL HACK
主人公は自分の内面と逆の行動をとって、本心を悟られないよう生きています。
なぜここまで無理をするのでしょうか?
「まとも」や「平気」に見せないといけない。
そうしないと、周囲に迷惑をかけたり、オカシイ人扱いをされてしまう。
そんな概念が読み取れる気がします。
これ以上傷ついたら生きていけないくらいに、傷ついているからかもしれません。
守ってくれる存在がいないから、簡単にぺしゃんこになってしまうのかもしれません。