LUNA SEA【宇宙の詩 〜Higher and Higher 〜】MV解説！ガンダム世界と融合？

MVが進むごとに、戦争や火の映像が多くなっていきます。

ザビ家であるドズル・ザビや、「圧倒的ではないか、我が軍は」の名言でおなじみのギレン・ザビが登場。

ここでは、大人になったシャアが出会った人々が映し出されていきます。

そしてこのシーンで描かれているのは、シャア・アズナブルの内に秘めた、複雑な心情。

地球にやってきたシャア・アズナブルは、セイラ・マスとともに学校へ通い、士官学校に入学。

この頃の本名であるエドワウ・マスからシャア・アズナブルとして生活します。

若くして故郷を離れ、名前を変え暮らす生活と戦争が身近にあるという環境。

普通の10代とは違う心情が出てくるのも、納得しますね。

そしてシャア・アズナブルは若くして、母の死を経験しています。

ラル家から「ザビ家が父ジオンを暗殺した」を吹き込まれ、母を亡くして一層ザビ家への憎悪を募らせていきます。

ただしここでは、ザビ家はラル家のライバルであり、ザビ家を非難する時のラル家の常套句でもある言葉。

それが事実とはまだわからない状況です。

ですが自分を保護してくれたラル家の言葉、そしてシャア・アズナブル自身もザビ家のことを警戒していました。

そして母の死の経験をきっかけに、「ザビ家への復讐」そして「愛するものを守る」ことを決意します。

ここでMVでは、シャア・アズナブルと妹のセイラ・マスをジオン共和国から追放したとされるデギン・ソド・ザビが登場。

さらにデギンの長女であり、学生時代のシャア・アズナブルを暗殺しようとしたキシリア・ザビなどもでてきます。

時系列としては、士官学校卒業し数年後の「一年戦争」時代。

この戦争は、のちの物語で登場するガンダムの主人公アムロ・レイ所属の地球連邦政府と、ザビ家統率後のジオン軍との戦いです。

実はシャアは、敵としてザビ家への復讐をするのではなく、先ほどでたドズル・ザビが率いる軍へ入隊。

そこで新型兵器として登場しているモビルスーツのエースパイロットとして活躍します。

その後高い実績を買われ、おなじみの"赤い彗星"と呼ばれるようになりました。

一見、矛盾しているかのように思われるシャア・アズナブルの行動。

歌詞と照らし合わせることで、強い信念と心の奥底の悲しみが透けてみることができます。

ここでは"赤い彗星"となったシャア・アズナブルが、戦争で活躍するシーンを主に描いています。

またシャア・アズナブルとともに戦った仲間達の勇士が描かれています。

歌詞では「殺戮」「儚さの螺旋」「救えない痛み」と歌われている様子からもわかる通り。

戦争によって命を絶たれた者やその悲しみが物語とリンクしていきます。

そしてすべてを包み込んでしまう広大な空間、宇宙。

命とは何なのか、シャア・アズナブルの復讐の裏に潜む悲しみが窺えます。

次第に悲惨さを増す、戦火。

シャア・アズナブルの戦闘力も上がり、強さを見せる一方、歌詞ではシャア・アズナブルの心情が歌われています。

どれだけ赤い彗星として名をあげていても、本当のシャア・アズナブルはそれを望んでいない。

現実と気持ちとの狭間の揺れが、映像と歌を合わせることで表現されています。

「本当の声はかき消されて」など、世間の悪役のイメージをくつがえす内容ともなっています。

今回の「宇宙そらの詩うた ∼Higher and Higher∼」は、機動戦士ガンダム THE ORIGIN 前夜 赤い彗星の第1弾。

MVでは、シャア・アズナブルとセイラ・マスの幼少期からエースパイロットとして活躍するまでが描かれていました。

シャア・アズナブルがエースパイロットとして、活躍すればするほど戦火は増していく。

そしてシャアの復讐、セイラの運命が第2弾へと受け継がれます。

ガンダムははまり込むほど、その物語の複雑さに魅了される、まさに子供から大人まで楽しめる作品。

ガンダムファンを公言するSUGIZOだからこそ、複雑である作品の本質とリンクする楽曲が作られたのですね。

また長年愛された作品と、常にトップを走り続けるLUNA SEAだからこそ生み出されるMVは、両者のファンならずとも引き込まれる仕上がりに。

第2弾ではカップリング曲である、「悲壮美」にオープニング曲が変わり、第1弾の流れを引き継いでいきます。

ぜひ「宇宙そらの詩うた ∼Higher and Higher∼/悲壮美」ともに見て、聞いてみてはいかがでしょう。