④雨だけにとどまらない

明日を呼べば雲垂れ籠めて
甘い夢を見れば雷光る
濁り河流れ、水面に揺れる
拙い歌はゆっくりと沈みゆく

出典: 夏の日の午後/作詞:吉野寿 作曲:吉野寿

引用部分1行目にある「垂れ籠める」という単語は、あまり聞きなれない方も多いでしょう。

これは雲が低い位置で広がり、空一面を覆っている状態のことを表しています。

続けて歌詞を見てみると、自然が猛威を振るっている様子が描かれていますね。

これでは主人公が追い付きたい誰かにも、なかなか手が届きません。

違う角度から捉えると

これはもちろん現実に起こっていることと捉えることもできますが、おそらく比喩でしょう。

一言でまとめてしまえば、人生山あり谷あり…うまくいかないことを表現しています。

人生、全てがうまくいくなんてことはありません。

希望に満ちた未来を想像すれば、そこには暗闇が広がっていることもある。

手にしたい理想を描けば、それを打ち砕くような逆境にぶつかることもある。

そんな濁流のような人生の中で、主人公がぽろっと吐いた想いは簡単に飲み込まれて消えてしまうのです。

雨はやんだけれど…

⑤声をかけてきた誰か

日暮れる街 風凪ぐ道
灯も遠く誘えども
『振り返るな』
どこかで低い声

出典: 夏の日の午後/作詞:吉野寿 作曲:吉野寿

先ほどのシーンとは打って変わって、雨上がりの街並みが思い浮かびます。

日も傾いてきて、どこか寂しさを感じさせるような時間帯ですね。

そんな雰囲気の中でほっと一息ついたのか、心穏やかな主人公。

…と思いきや、引用部分後半にご注目ください。

誰かに低い声で諭され、雰囲気がガラッと変わっています。

この声はいったい誰が発したの…?答えは最後に明かしますので、まずは先に進みましょう。

⑥どこまでいっても闇の中

月の明かり 縺れる足
酔い痴れて帰る帰り道
感じている永遠に続く闇を

出典: 夏の日の午後/作詞:吉野寿 作曲:吉野寿

先ほどの場面は夕暮れ時。

ここではさらに時間が進み、あたりは真っ暗になってしまったようです。

どこかでお酒を飲んできたのでしょうか…。酔っぱらっているようですね。

酔った勢いで何でも楽しく思えてしまいそうな状況ですが、どうやら歌詞を見ると正反対で…?

お酒の影響で判断力が鈍っているはずなのに、将来に対する不安だけはハッキリと感じているのです。

謎を解き明かす

この楽曲を時系列で並べると…

この先謎を解き明かしていくにあたって、まずはこの歌詞を時系列で並べなおしてみましょう。

並べると、④→③→①→②→⑤→⑥と考えられます。

ここから謎を解いていきますが、全ての謎が解けた後にこの順で歌詞を読めば、すっきりとストーリーが繋がりますよ。

それではさっそく、残された謎を順に見ていきましょう。

かけられた声の謎