歌だけを聴くと日本人にしか聞こえないジェロの演歌
第50回日本レコード大賞・最優秀新人賞も受賞。
2008年12月31日の第59回NHK紅白歌合戦でこの曲が歌われた。当日はジェロの母親もスタジオ観覧に来ており、涙を流しながらステージの息子を温かく見守っていた。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/海雪
日本人の祖母を持つジェロ。
祖母が演歌を聴いていたため、子供の時から演歌に触れていました。
ジェロの歌う演歌の奥には、やはり日本人の魂が宿っているのです。
容姿と彼の歌う演歌のギャップが話題となり、日本の音楽界に彗星のように現れました。
あっという間に、大きな賞の受賞や記録を打ち立てたのです。
記録や実績を出しながらも無期限活動休止へ
しかし、ジェロは2018年5月に無期限活動休止を発表しました。
元々彼は大学でIT関係の専攻をしていて、エンジニアを目指していたのです。
歌手としての活動をしながら、ボストン大学大学院で学び続けました。
技術者として世の中に貢献したいという思いが強まったようです。
そして、大学院の卒業を機に無期限活動休止という選択にいたりました。
エンジニアと歌手の活動の両立は出来ないと決断したようです。
思わず笑ってしまうくらいに驚きを与えるジェロの歌声
初めてジェロの歌を聴いた時、私は笑った。
その、こぶしの効いた本格的な演歌は、
誰が見てもHIPHOPアーティストとしか思えない外見の
若者から出てくるはずのない歌声だった。
信じられない思いで、私はジェロの歌を聴いた。
出典: http://jero.jp/pc/bio.jsp
放送作家である倉本美津留さんが、ジェロの公式ホームページに言葉を添えています。
見るからにアメリカ人である彼の口から、心を打つ演歌が飛び出すのです。
最初は誰もがそのギャップに戸惑います。
戸惑いすぎて、笑うしかないリアクションになると思うのです。
わたし自身も、最初のジェロの歌を聴いた時に思わずテレビを二度見しました。
何故、黒人の彼が日本人よりも日本人らしく演歌を歌えるのか?
日本で生まれ育ったのか?
日本人でもこんなに想いを込めて演歌を歌える歌手を、最近見ないと思いました。
頭の中で「?」がいっぱいになったのは、わたしだけではなかったようです。
海に消える雪に重ねているものは
凍える空から
海に降る雪は
波間にのまれて
跡形もなくなる
出典: 海雪/作詞:秋元康 作曲:宇崎竜童
ここからは「海雪」の歌詞の世界を紐解いていきましょう。
この歌のヒロインの女性は冬の荒ぶる日本海を見つめています。
苦しい愛を追いかけて、一人で旅に出ました。
演歌では定番の状況です。
この女性は、雪が降りしきる中で岸壁から激しく波が打ち付ける海を眺めています。
愛する人を追いかけて来たけれど、単純に会いに行けない理由がありました。
応援されない愛
この愛は人から応援されません。
わかってもらうことはできないのです。
愛すれば愛するほど、孤独になってしまう辛さ、悲しさ。
「いっそここから飛び込んでしまったら、楽になるだろうか?」
そんなことが頭に浮かんでは、消え、また浮かんでは消えていきます。
この詩の部分では、世間で打ちのめされて愛の全てを失った心情を表しているのです。
空から舞い落ちて、海面に消えていく雪。
それは、結末を知ることなく出逢った愛が消えてゆく状況に重なります。