たばこの箱を無意識で置いていった相手は、他国の人と想像させる歌詞です。
人前でも優しさを最大限に表現する人。誰もがその優しさに心を奪われます。
拙い日本語と片言の英語で盛り上がる会話で、好感度も右肩上がりです。
シャイで外ではつい女子を置き去りにする日本人男子とは違いますね。
目の前のガラスのコップも細い持ち手のグラスに見えた2人の時間。
でもそのグラスは不安定で壊れやすいものだったと、今になって気が付きました。
引きずらない性格だから
おいでイスタンブール
うらまないのがルール
だから愛したことも ひと踊り風の藻屑
飛んでイスタンブール 光る砂漠でロール
夜だけのパラダイス
出典: 飛んでイスタンブール/作詞:ちあき哲也 作曲:筒美京平
あきらめてはいるけれど身体のどこかに残っている恋。
でも引きずって悲しんで凹んでしまうのは自分らしくありません。
楽しいことに夢中になれば立ち直りも早いはず。
あの日の会話に出てきた地名「イスタンブール」を思い出しました。
何もかもが輝いているイスタンブール。砂漠の砂さえもキラキラとしています。
思い切ってイスタンブールに飛び立てばさっぱりキレイに忘れることができる。
今夜はまだ訪れたことの無い異国への憧れで頭の中がいっぱいです。
「踊りながら藻屑(もくず)にしてしまう愛」という表現には切なさと強さがあります。
海の中の雑草のような存在は、地上でも風で形を失くしてしまうのですね。
いまさら電話をもらっても
この時代ですから当然スマホどころか普通の携帯電話もありません。
リ~ンリ~ンもしくはジリジリと鳴る家電に電話がかかってきました。
声すらも覚えていない…
胸にかすかにしみた 低い電話のさよなら
かすり傷のひとつ 残せもしないひと
出典: 飛んでイスタンブール/作詞:ちあき哲也 作曲:筒美京平
電話から聞こえてきた声はかろうじて聞き取れる大きさです。
声を聞いたと同時に思ったのは「こんな声をしていた?」と半分は心が拒否。
ぼそぼそとした口調で言われたのは「さようなら」でした。
そのまま狭まった愛の中をすり抜けた別れの言葉。心に残ることはありません。
そんな人だった…と今更ながら思う自分に少し嫌気がさします。
独りの部屋は電話を切れば音も無く、あるのはシーンとした空気だけ。
切り替えられる?と自問自答すれば、答えは1つ。今日はもうコレで終わりにします。
飛ぶためには、今日よりも先のこと
そしてしょうこりもなく
すぐにいたみもぼやけて
今日は今日の顔で 描(か)きあきためぐり逢い
描(えが)いてる…
出典: 飛んでイスタンブール/作詞:ちあき哲也 作曲:筒美京平
恋をすればすべてが上手くいくとは限りません。
こちらから別れを告げることもあれば、相手から告げられることもあります。
以前にも経験があったのでしょう。向こうから別れを言われたことが。
まだ何となく相手に思いを残していたのに告げられた突然の別れ。
こちらが優位に立っていると思ったのに何故かダメになる恋。
エキゾチックに始まった恋は過去の痛みを忘れさせてくれました。
好きになることを止められない時間を作ってくれた人。
あの日の優しさだけは今でも嘘では無いと思っているのかも。
でも今回も別れを告げられて恋が終わりました。
別れが決まる前にこちらから捨てたつもりの恋だったのに…。
残されのは目視もできないほどの痛みだけでした。
明日になれば痛みはもう恋と一緒に消えると信じています。
今日はもう終わります。めぐる日々の中でまた新しい出会いがあるでしょう。
机の上にはトルコ旅行のガイドブック。気持ちはもう大空を飛んでいます。
幸せがあるの?イスタンブールには
ガイドブックを見ているだけで現地に行った気分になります。
旅は計画をしているときが1番楽しいのかもしれません。
現実逃避なら…
おいでイスタンブール
人の気持はシュール
だからであったことも 蜃気楼 真昼の夢
好きよイスタンブール
出典: 飛んでイスタンブール/作詞:ちあき哲也 作曲:筒美京平