純粋な心で思いあう2人

この気持ちはほろ苦くて、時には胸が痛むのに、
甘い香りに魅せられて、また独り夢で咲く。
誰よりあなたにとっての一番でいたいと想うこと。
それこそが、恋が生まれる瞬間だってこと。
ふたりは、まだ気づかないままで。

出典: チェルシー/作詞:奏音69 作曲:奏音69

恋をするということは、時に辛い気持ちを味わうことにもなります。

一緒にいたいのにいられない。会いたいのに会えない。

相手を好きだからこそ味わうことになる、その感覚。

好きすぎて苦しい。好きすぎて辛い。1行目ではそんな感情を表現しています。

しかしその辛さを味わってもなお、2行目にある通り人は愛することをやめられません。

人を好きになることで味わう辛さより、幸せ、喜び、楽しさ、嬉しさの方がよっぽど大きいのです。

ただ不思議なことに、ここでの2人はまだ互いに、自分が恋に落ちていると気がついていません。

その様子を見ているこちらとしては、なんとももどかしく、じれったい気持ちになりますね。

突然訪れる悲しい瞬間

神様のいたずらは、何も言わずに突然来る。
恋の花も、その笑顔も、100年後も咲いてたはずなのに……。

出典: チェルシー/作詞:奏音69 作曲:奏音69

あたたかい時間が流れていた世界に、突然訪れた大きな異変

神様は残酷です。人々に幸せを与えてくれるかのように見えて、時にその希望を裏切るのです。

2人が大切にしていた桜の木は、突如としてその美しい姿を失ってしまいました。

どうして?ずっと咲き続けると信じていたのに…。

2人にとって大切な場所を失ったあの人は寂しそうで、その顔からは以前のような笑顔など感じられません。

美しかった桜の木だけでなく、愛していた彼の笑顔まで失うことになってしまった主人公。

ずっと続くと信じていた未来に裏切られ、気持ちの整理など簡単につくはずがありませんね。

呆然とその場に立ち尽くしているかのような、そんな胸の詰まるような想いが感じとれます。

約束は忘れない

いつかあなたに気がついてもらえますように…

あの花は恋のように咲いて、夢のように果敢なく散った。
神様は時計の針を戻してはくれないけど。
だから、まだ手の中にある夢だけは放さないように。
いつの日か舞台で花を咲かせる日が来たら、
「チェルシー」って名前で、歌わせて

出典: チェルシー/作詞:奏音69 作曲:奏音69

2人が出逢うきっかけになった、大きな大きな桜の木。

神様の気まぐれで突然現れたそれは、再び神様の気まぐれによって失われてしまいました。

あそこで過ごした2人の時間も。そもそもあなたと出逢ったことも。

もしかするとすべて夢を見ていただけなのかもしれない。

そう疑ってしまうほどに、2人の大切な場所はあっけなく消え去ってしまったのです。

しかしいくら悔やんだって、もうそれが戻ってくることはありません。

それなら消えてしまった物をいつまでも追い続けずに、いまある物を大切にしよう

そう考えなおした主人公は、自分が誓った夢を叶えようと決意を固めました。

そして消えた桜の木の前で、愛するあの人を前ににこう誓うのです。

次はわたしが舞台で輝いてみせる。そして咲かせるんだ。チェルシーという名の、美しい花を。

そう。これが後の歌姫、「チェルシー」誕生の物語です。

こうして誕生した歌姫チェルシー

ふとしたきっかけで出逢った、愛らしい桜の木と愛しいあの人。

幸せな時間を過ごす2人は、どんな未来が待ち受けているかなんて考えるつもりはありません。

神のみぞ知る未来に希望だけを抱き、ずっと幸せな時間が続くと無条件に信じてやまないのです。

そんな2人に訪れた突然の悲劇。神は2人をあざ笑うかのように過酷な運命を突きつけました。

しかしこれは裏を返せば、遠い未来に夢をつなげるための非常に重要なポイントにもなったのです。

この出来事がなければ、主人公は歌姫チェルシーにならなかったかもしれません。

これまで同様、2人で桜の木の下に集い、日々の幸せに溺れ続けていたかもしれないのです。

次のステップに踏み出す時には、誰しも少なからず痛みを伴うもの。

主人公にとってはそれが、桜の木を失ったことでした。

それを乗り越えて前を向き、広がる未来の可能性を見つめられるようになることで、人は成長します。

『チェルシー』は物語の中で、そんな大切なことを教えてくれているのかもしれませんね。

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愛しているが故に苦しい…

今回紹介した『チェルシー』より先に発表されたこの楽曲

Royal Scandalの第6章である『ファントムペイン』は、痛みや苦しみの強い愛の形が描かれています。

同じくBarマスカレイドで活躍するもう1人の歌姫。

この楽曲は、彼女の家族による愛の物語なのです。

『チェルシー』とは違って胸をナイフで突き刺されるような、苦しいストーリーをお楽しみください。

Royal Scandalが紡ぎ出す物語の第六章『ファントムペイン』は、Vo.luzの悲痛な歌声に乗った歌詞が胸に突き刺さります。一見すると娘を守る母のストーリー。しかしひとつひとつ足を止めて読み解いてみると、別の側面が浮かび上がりました。『ファントムペイン』の歌詞を解説します!