なぜヒロインは働いている工場をクビになったのでしょうか。
実は当時のフランスではシングルマザーに対する差別がありました。
そんな中で彼女はシングルマザーということを隠して働いていたのです。
しかし、娘を預けている宿屋の夫婦から養育費として金銭要求の手紙が来ました。
それを同じ場所で働いている女工に見られ、クビになったのです。
クビになったとはいえ、娘を育ててもらうにはお金を払わなければいけません。
そこで、彼女は売春婦になることを決意しました。
歌詞に出てくる狼は悪意に満ちた宿屋の夫婦や、何もかもをバラした女工仲間。
そして、先ほどまで自分の身体を買って弄んだ男性のことでしょう。
娘を思うために身体を売った彼女の想像もできないくらい大きな絶望を感じます。
幸せだったあの頃
娘の父親
夏 あの人来て
喜びに あふれた
私抱いたけど
秋にはもういない
待ち続けてるわ
あの人の帰りを
愚かな幻
木枯らしが吹き消し
出典: 夢やぶれて-I DREAMED A DREAM-/作詞:Herbert Kretzmer 訳詞:岩谷時子 作曲:Claude-Michel Schonberg
これまでヒロインは1つだけ希望を持っていました。
それは、娘の父親と再会すること。
彼女は若い頃フェリックスという男性に出会い、娘コゼットを妊娠。
しかし、妊娠が発覚した途端に彼は彼女の元から去ってしまったのです。
夏から秋は彼女と彼が過ごした短い期間を表しています。
遊びだったのだろうとどこかで分かっていても、彼女は彼の帰りを待っていました。
そんな健気な彼女の若かりし頃の姿に胸が締め付けられます。
地獄のような人生
夢も希望も
夢見た人生
今地獄に
落ちて二度と私には
夢は かえらない
出典: 夢やぶれて-I DREAMED A DREAM-/作詞:Herbert Kretzmer 訳詞:岩谷時子 作曲:Claude-Michel Schonberg
ここでは、ヒロインのある決意が込められています。
それは二度と希望も夢も持たないということです。
これまで幾度となく人に騙され、傷つけられてきた彼女。
その度に彼女は立ち上がってきました。
それはまだ心の中で神を信じていたからなのでしょう。
しかし、女性にとって好きでもない相手に身体を売るのは屈辱。
どんなに娘のためだといっても、簡単に覚悟できるものでもありません。
彼女にとってはまさに地獄のような時間だったのです。
そして、一度絶望の底を見てしまった彼女は無邪気に神を信じることはできなくなりました。
この楽曲はただ聴いているだけだと、とても美しい作品です。
しかし、こうやって歌詞を見てみると非常に哀しい楽曲だということがわかるでしょう。
実はこの物語の中盤、彼女は娘に会えないまま命を落とします。
そんな物語を知っていると余計に染み入る作品なのです。
オーケストラが豪華なMV
抜群の歌唱力に涙
それでは、【夢やぶれて-I DREAMED A DREAM-】のMVをチェックしましょう。
大勢のオーケストラに囲まれた豪華な舞台で華原朋美が歌います。
ミュージカルのような壮大さと抜群の歌唱力に思わず涙が溢れるはず。
また、彼女の感情のこもった表情にも注目です。
彼女は歌手活動休止中、過酷な療養生活を送っていました。
家族や周りの人たちに支えられた復帰できたものの、それまではきっと絶望の中にいたのでしょう。
そんな時期があったからこそ、この歌がより聴く人の心に深く届くのです。
華原朋美の関連記事
デビューから2枚目のシングル【I BELIEVE】
それでは、最後に華原朋美の関連記事をご紹介します。
まずは華原朋美のデビューから2枚目のシングル【I BELIEVE】の記事です。
復帰後の2014年に発売されたアルバム『MEMORIES -Kahara Covers-』。
この中でも【I BELIEVE】はセルフカバーされ、ファンの間で話題となりました。
この曲で踊っているダンサーの振り付けをしたのは、何とあのKABA.ちゃんこと椛島一華。
若い世代の方だとKABA.ちゃんが振り付け師をしていたことを知らない方もいるのではないでしょうか。
さて、この楽曲はノリのいいダンスポップですが、実は片思いの切ないラブソング。
以下の記事で丁寧に歌詞が解説されているので、ぜひ一度ご覧になってください。
華原朋美「I BELIEVE」で流行したダンスが気になる!切ない歌詞の意味もお届け!【PVあり】 - 音楽メディアOTOKAKE(オトカケ)
日本テレビ系列で放送されていた『PON』に、今年9月までレギュラー出演していた華原朋美さん。彼女が小室ファミリーだったってご存知ですか?あなたが知っているのは、21年前にリリースされた『I BELIEVE』?それとも2013年のセルカバーバージョン?