ちゃんと会って
同じ時間を過ごしたいの…
ちょっとめんどくさくって、ごめんね
君の悪いクセだよ
スケジュール帳作りで一番の
イイ時期を費やさないで
誰彼みんなから
妬まれ そねまれちゃうような
恋をしようよ すべきよ
今が、その時
出典: 愛おしくってごめんね/作詞:児玉雨子 作曲:加藤裕介
付き合い始めの嬉しい時期。
逢ったばかりなのにもう逢いたいと、そう思ってしまうほど、一緒の時を過ごしたい幸せなときです。
しかし予定が合わない。一番楽しいときなのに、なかなか一緒の時間が作れません。
その切ない恋心が、不満となって吹き出します。
メールで話をするよりも、一緒の時間が欲しいのに。
気持ちがもっとも燃え盛るときなのだから、もっと私を見て欲しいと不満も感じてしまうのです。
つれない素振りの本当の理由は?
ごめんね 明日会おう
無理をしたって 新しい靴で
「忙しい」だなんて
絶対に言えなくしちゃって
ごめんね わがままな理由
君の我慢も 知ってしまえば
どうしたって離れられなくなる
無我夢中 愛させて
ごめんなさいね
出典: 愛おしくってごめんね/作詞:児玉雨子 作曲:加藤裕介
君が無理をして会ってくれるのも、無理にでも予定や都合を合わせてくれるのもわかっています。
でもそれは聞きたくない。知ってしまえばもっと好きになって、どんどんと逢いたいと我儘を言ってしまいそうだから。
というわけなんですよね。新しい靴は精一杯のおめかし。一番綺麗な私で逢いに行くから、気持ちをわかって欲しいと言っているのです。
勝手かもしれないけど、純粋で美しい気持ちです。恋する少女の純情は、単なる我儘ではないのです。
最後は気持ちのリフレイン。大好きだから複雑になる
逢うためなら何だってするよ。だってもう離れられないから。
繰り返されるこのラストシーンは、そんな気持ちを強調しているように思えます。
好きだからこそ複雑になる態度。そして意地悪な言葉と物腰。
そのどれもが本心では好きだよと、そう語っているのだと気づいて欲しい。
そんな揺れる恋心を綴っているからこそ、聴くものの胸に共感を芽生えさせるのです。
誰もの心に真っ直ぐ届く
「愛おしくってごめんね」は青春真っ只中の人も、多感な頃の想い出にキュンとくる人も心が重なる曲です。
初々しく可愛らしい新生カントリー・ガールズにぴったりな、ピュアな恋心を綴った名曲ですね。
ファンによっては捉え方も様々
ストレートな言い回しの少ない歌詞であることもあって、「愛おしくってごめんね」は人によって受け止め方が違います。
作詞した児玉雨子が嗣永桃子へ送った私信だとする人もいえれば、脱退したメンバーへのレクイエムだと感じるファンも少なくありません。
「愛おしくってごめんね」はデビューシングルなのですから、その時点で脱退した元メンバーを思っての詩を書くはずなどありえません。
しかしそう考えてしまうほどファンの心には、再結成翌年の突然の島村嬉唄脱退は大きな出来事だったのです。
島村嬉唄脱退の衝撃。歌詞の意味が変わってしまった
遠くへ行ってしまった人が、別れの理由を何も語ってくれない。
「愛おしくってごめんね」は、歌詞の多くの部分でもう会うことのできない相手への想いが詰まったものだと読むこともできます。
それだけに悲しみが募り、切ない歌詞になっていると受け止めるファンも多いのです。
詳しい理由を発表せずに脱退した島村嬉唄。しかも秘密(脱退の真相)は教えてもらっていません。
会見もなければSNSなどでも語られていないのですから、本人の言葉はどこにもありません。
つまりファンにとっては、何も言わずにサヨナラ、という状態だったのです。
「愛おしくってごめんね」の歌詞そのものだったといえないでしょうか。
そのため多くのファンがこの曲に事実を重ね、歌詞に綴られているように、グループ再結成時からの「運命」だったと思うのです。
いなくなったとしても、ファンであることに変わりはない
それでも歌詞にある「それが運命」に、ファンは慰めを見出します。
この切なさは最初から決まっていたのだと、彼女たちはそう歌っているじゃないかと自分に言い聞かせるのです。
再結成からわずか1年での脱退を予期していたかのように、デビュー曲の歌詞は「ごめんね」を繰り返します。
もちろんそれは、ファンへの謝罪ではありません。
しかしこの曲でもセンターをつとめ、中心的なメンバーだった島村嬉唄の脱退を機にこの曲は、悲しみにくれるファンへの鎮魂歌ともなったのです。
ファンであること、カントリー・ガールズを好きな気持ちは変わらない。メンバーが変わったとしても、ファンの想いは続くのです。