まず第一に流れてくるのは楽曲の核となる憂いを帯びたピアノフレーズ。
サビまでのメロ部分は、このピアノを中心にサウンドが組み立てられていきます。
森の歌声もピアノの音色に呼応するような凛とした雰囲気を湛えています。
温かなサビ
サビではそれまで静まり返っていたリズム隊が一気に躍動。
切ないメロディの中に息を吹き込んだかのような温かみを感じさせます。
そんな感動的なサビの終盤にも「ハッ」とさせられる仕掛けが。
音が消える劇的なアレンジで演出される「もう一度会いたい」という言葉がズシンと胸に響きます。
光が溢れ出すMV
死後の気持ちを歌う歌詞を紐解く
死んだ人にとって幸せなこと
聞こえていますか 僕の声が
大切な人はもういますか
遠いようで案外そばにいるよ
君には僕が見えないんだろうけど
出典: 愛を教えてくれた君へ/作詞:内田旭彦、森綾乃 作曲:内田旭彦
死後の世界がもしもあるのなら、生前自分を大切に想ってくれた人はきっと近くで見守っていてくれることでしょう。
そして自分に新しく大切な人が出来ることが、見守ってくれている人にとっても幸せなことだとはよく言われますね。
忘れないで なんて言えば君は困るだろうから
忘れていいよ なんて最後まで強がった
気付いてほしいよ って今さら伝えたら
やっぱり困った顔して笑うかな
出典: 愛を教えてくれた君へ/作詞:内田旭彦、森綾乃 作曲:内田旭彦
この曲の主人公も生前は「自分のことは早く忘れて」と大切な人に伝えていたようですね。
しかしそれは相手を想ってのこと。
本音を言えば、忘れてほしいわけなんてありません。
人は誰かから想われていたいもの。
例え死んでしまったとしても、そのことに変わりはないのです。
幸せだなんて思わないで
今の日々を愛さないで
そこには僕はいないんだよ
何気ないことが幸せだったって
当たり前でしょ
もしも願い叶うのなら
となりで笑ってくれるのなら
愛を教えてくれた君とまた
もう一度会いたい
出典: 愛を教えてくれた君へ/作詞:内田旭彦、森綾乃 作曲:内田旭彦
ここで登場するのは、大切な人に幸せになってほしいという想いとは真逆の気持ち。
それは「自分が居ない日々を幸せだなんて思わないでほしい」というもの。
自分と過ごした日々よりも幸せなことなんてあるわけがないという想いが描かれます。
この想いは相手を困らせるものかもしれません。
しかし、困らせることも含めて、奇麗事を並べるよりずっと人間らしいとは言えないでしょうか。
そんな本音をぶちまけながらも、「となりで笑ってくれるのなら」という無理強いしない優しさが目を引きます。