スカートとPUNPEEのコラボレーション「ODDTAXI」

シンガーソングライター澤部渡さんのソロプロジェクト、スカート。

ラッパー、トラックメーカーとして活躍するPUNPEEさん。

2人のアーティストによるコラボレーション楽曲「ODDTAXI」は2021年4月7日に配信リリースされました。

TVアニメ「オッドタクシー」の主題歌として制作され、作品の世界観を反映させた楽曲となっています。

澤部さんの伸びやかな歌声、PUNPEEさんの心地よいラップ。

夜の都会の街を思わせる洗練された空気感をまとった楽曲です。

ミュージックビデオではアニメーションと実際の映像が絡み合う構成がとられています。

夜の渋谷の街をタクシーで走り、トンネルを抜けた先は夜を越え、朝であろう穏やかな川の土手。

せつないラストのサックスの音色も、穏やかかつエモーショナルなムードで余韻が残されて素敵です。

去りゆくタクシーから流れるラジオではアニメ作品内容と繋がるニュースが流れて、MVは締めくくられています。

この曲が主題歌のTVアニメ「オッドタクシー」とは?

スカートとPUNPEE【ODDTAXI】歌詞の意味を考察!記憶を掛け違えるとは?足りないものに迫るの画像

アニメ作品「オッドタクシー」は、2021年4月から6月までテレビ東京系列で放送されました。

物語の主人公は、41歳のタクシー運転手小戸川。

小戸川がセイウチなのに対し、他の登場キャラクターもすべて動物です。

動物のキャラクターということで、ほのぼのとした作品かと思うとそういう訳でもありません。

変わり者の主人公と、個性の強い友人たちやタクシー客ら。

彼らが織りなすストーリーは、とある行方不明事件へと繋がっていきます。

女子高生の行方不明事件にまつわる伏線とその回収が見事で、優れたサスペンスの要素が色濃いです。

何度も見返したくなる、最終回まで考察を重ねるのもとても魅力的な作品となっています。

「ODD(オッド)」とはどういう意味?

スカートとPUNPEE【ODDTAXI】歌詞の意味を考察!記憶を掛け違えるとは?足りないものに迫るの画像

楽曲、アニメ作品のタイトルに使われているのは「ODD(オッド)」という英単語です。

「奇妙な」という意味のほか、「ペアの片方」「不揃いの」「残りの」など複数の意味があります。

なにかチグハグで、奇妙、足りない、そんなニュアンスも感じられる言葉です。

楽曲やアニメ作品のストーリーを追う際に、よかったらこちらの言葉も念頭においてみてください。

 

心の奥底

底流に寄り添って
カーブを曲がればまた
暗渠に落ちていくようだ
何が見える? 何が響いてる? こたえてよ

出典: ODDTAXI/作詞:スカートとPUNPEE 作曲:スカートとPUNPEE

底流というのは、川などのを流れる水流のことです。

また、表面には現れない心や物事の根底にある考えや感情のことも意味します。

タクシー運転手の主人公。

仕事でタクシーを走らせカーブを曲がった時にとある感覚が思い出されます。

暗渠(あんきょ)とは、蓋をするなど手が加えられて水面が見えなくなった水路のことです。

カーブを曲がると、この暗渠に落ちていくような奇妙な感覚が蘇ってきます。

蓋をしたけれど、無意識下に存在する得体のしれない感情。

道に沿って車を走らせるように、感情に身を任せても実態を掴むことはできません。

底流と暗渠という言葉が、思い起こせない記憶や自分で知ることができない感情を想起させています。

こたえを求めても返事はありません。

自分の奥にある感情は、記憶を辿れなくても自分自身でしか見つけることができないのです。

街で暮らす自分について

日々ノイズが起きている

街はレコードで
日々を乗せた針が晒してるノイズ
僕は背景になって 君にとっちゃ
所詮ゴミ処理

出典: ODDTAXI/作詞:スカートとPUNPEE 作曲:スカートとPUNPEE

アナログレコードでは、レコード盤に記録した音溝の振動を針ですくって音を出します。

デジタルは、すべて数値化して0か1に置き換えます。

デジタルの語源は、ギリシャ語で数をカウントする指からきていてバラバラの数という意味です。

アナログの語源は、ギリシャ語で比例、英語で相似や比喩という意味に由来します。

アナログは似ているもの、関連性連続性がある概念なのです。

日々滞りなく日々が刻まれる街。

レコードの針が起こすようにノイズが日々街から聞こえてきます。

また、住む街はどこかアナログで、使い勝手のよいものではないのかもしれません。

ノイズという表現から、何か不吉な混乱や乱れが起きている印象を感じます。

ゴミ処理とは自分を自虐した表現でしょう。

君にとって僕は背景のように注目に値しないと自分で宣言しているようなものです。

日々生じるゴミを適切に処理するのはとても大事なことです。

日常をスムーズに進ませるために不可欠なことをしている。

だけれど、あまり自分で自身の存在意義を感じられていないのかもしれません。

街によって決めつけられてる