日本映画の金字塔!
記録はいまだ破られず
スタジオジブリが2001年に発表したアニメーション映画「千と千尋の神隠し」。
興業収入300億円を超えた唯一の邦画作品として金字塔を打ち立て、その記録はいまだ破られていません。
2016年には同じくアニメーション映画「君の名は。」が大ヒットし、猛追が注目されました。
でも「君の名は。」は250億円で邦画2位。やはり「千と千尋の神隠し」の壁は高く分厚いですね。
日本中の相当数が見たであろうこの映画の主題歌が木村弓さんが歌う「いつも何度でも」でした。
スッと耳に心地よく入って来る綺麗な歌声、繊細ではありますがどこか力強さがある歌い方。
まさに自然を表現したような楽曲が「いつも何度でも」です。
別の映画のために作られた?
あのとき、勇気を出したから……
木村弓さんは高校時代からアメリカに音楽留学し、ピアノや声楽を学んでいました。
しかし体調不良で歌うことを断念してしまいます。
そんなときに竪琴の一種である「ライアー」に出会い、また歌を始めることにしました。
そして木村さんは「風の谷のナウシカ」を見て、宮崎駿監督に共感を覚えます。
「この人の映画に私の声が合うかもしれない」と直感で思ったそうです。
でも木村さんの体調は不安定な状態でした。結局迷ったまま数年が経ってしまいます。
どこかでいつもジブリ映画を意識していた木村さん。
ある日「もののけ姫」を映画館で観て涙が溢れてしまい、思いを宮崎監督に手紙で伝えました。
そのときにはご自身の歌を吹き込んだCDも同封されたそうです。
CDを聞いた宮崎監督から連絡があり、企画途中の「煙突描きのリン」という作品の話を聞かせてくれました。
イメージが膨らんだ木村さんは、まだ依頼されていないのに曲を作って宮崎監督に送ったそうです。
その曲が「いつも何度でも」です。
結局「煙突描きのリン」は形になりませんでしたが、少し後に木村さんに連絡が来ます。
宮崎監督は「前に聞かせてもらった曲を次の映画のEDしたい」というものだったのです。
「作り手と観客」だった2人が木村さんの勇気で繋がりが生まれ、こんなにもいい楽曲が生まれたんですね。
心を揺さぶる歌声
![](https://img.youtube.com/vi/v6VWTSdWmhk/0.jpg)
チャリティライブで美しい歌声を響かせている木村さん。
聴いているだけで映画の名シーンが思い浮かび、その世界観が蘇ってきますね。
心が重いなと思ったら……
木村さんの声は独特な「響きと揺らぎ」を持っていて、唯一無二の歌手だと感じられます。
この歌は「自然に涙が出て来た」「心が軽くなった」という声がたくさん聞かれます。
ただ歌が上手いからではなく、ささくれだった心を柔らかくコーティングしてくれるような……。
魂が浄化されるというと大げさかもしれませんが、それくらい、この歌に救われた方は多いと思うのです。
次は魅力溢れる歌詞を見ていきましょう。
夢を見よう、何度でも……
私を呼ぶのは誰?
呼んでいる 胸のどこか奥で
いつも心踊る 夢を見たい
かなしみは 数えきれないけれど
その向こうできっと あなたに会える
繰り返すあやまちの そのたび ひとは
ただ青い空の 青さを知る
果てしなく 道は続いて見えるけれど
この両手は 光を抱ける
出典: いつも何度でも/作詞:覚和歌子 作曲:木村弓
「いつも心踊る 夢を見たい」
この部分が、木村さんがこの歌で一番伝えたかった部分です。
面白いことなんか何もない毎日。何でこんなに退屈なんだろうと少女は思っています。
身の回りには勝手な大人。上手くいかないことや悲しいことばかり。
だけどいつか自分を変えてくれる「誰か」が現れるんじゃないか……。そんな夢を見ています。
人は間違うことがあります。正しくないと分かっていても、つい弱い自分を許してしまう。
そんなときに空を見上げると、ただどこまでも青くて。
自分がいろいろ難しく考えすぎていたことに気づくのです。
引き返せないところまで来てしまったと思うかもしれませんが、思ったそこからやり直せばいい。
きみの両手は大切なものを掴むためにある。歌がそう励ましてくれています。
物事がうまくいかずヘコんでしまった時は、心が落ち着くまでゆっくりと空を見る。
自然と触れ合うだけでも不思議なことに人の心はスッキリとすることがあります。
「千と千尋の神隠し」も働いていた場所は賑わいのある場所でした。
しかし少し離れると目を見張るような綺麗な自然の風景がたくさんある世界観です。
ただただ広い世界を目の当たりにすると自分が悩んでいたことの小ささに驚くでしょう。
何回も躓いて、立ち止まって自然を見て、気付いて…。
そうやって成長を繰り返していきます。
すると、ずっと先にあるものだとおもっていたものがいつの間にか自分の手の中に入っていたなんてことも。
悲しくなったり悩んでしまうのは決して悪いことではありません。
けど、そのまま歩いていた道を戻ってしまうのはもったいないと優しく諭されているような歌詞です。