天才?鬼才?中島みゆき

中島みゆき1975年にシングル「アザミ嬢のララバイ」でデビュー。圧倒的としかいえない歌唱力と、独特の歌詞センスによって、現在まで活躍を続けるアーティストです。

代表曲は「地上の星」で、オリコンのウィークリーチャートにて174週の間100以内に入るという偉業も成し遂げています。

NHKの番組のテーマソングとして採用され、紅白歌合戦では黒部第4ダムから中継を行ない、大きな話題となりました。

また、活動期間が長い上に、人気の高いアーティストなので、デビューした1970年から2000年代の間全てにおいて、シングルが1位を獲得

さらに楽曲提供を含めると2010年までシングルチャート1位を獲得しているので、5世代にわたってヒット曲を作るアーティストになります。

デビューの前から歌唱力に定評があり、コンテストを総なめすることから「コンテスト荒らし」とも呼ばれていました。

鬼気迫る歌詞センス

『命の別名/中島みゆき』は○○事件を元に作られた!? ドラマ主題歌にもなった今作の歌詞の意味を紐解くの画像

中島みゆきといえば、その素晴らしい歌唱力と独特な雰囲気をもつ作詞センスです。

単純でストレートな歌詞だけではなく、文学的ともいえる比喩表現をもちいた抽象的な歌詞も得意としており、聞く人によってイメージが180度変わります。

その歌詞の素晴らしさから、1991年に発売されたアルバム「歌でしかいえない」の収録曲「永久欠番」が国語の教科書にも採用されました。(東京書籍の新しい国語3)

また、中島みゆきの歌詞センスは日本だけに留まらず、アジアを中心として海外にも広く知られており、台湾や香港ではかなりの知名度となっています。

学生時代には論文として谷川俊太郎を扱っており、現代文学に精通しているため、素晴らしい作詞を行えるのかもしれません。

35枚目のシングル『命の別名』

『命の別名/中島みゆき』は○○事件を元に作られた!? ドラマ主題歌にもなった今作の歌詞の意味を紐解くの画像

それではここから本題に入っていきましょう。『命の別名』は、中島みゆき35枚目のシングルとして1998年に発売されました。

ドラマ『聖者の行進』の主題歌として有名ですよね。

オリコンランキングでは週間12位とそこまで良い成績を残していません(中島みゆきの曲の中限定)が、20万枚以上出荷されゴールドディスクを獲得しています。

ドラマ専用の書き下ろし曲ということで、『聖者の行進』をイメージして作成され、内容もそれに添ったものとなっているのですが、

当初ドラマに採用されたのはカップリング曲「糸」となっており、『命の別名』は5話以降からの採用です。

ドラマ『聖者の行進』の主題歌

『命の別名/中島みゆき』は○○事件を元に作られた!? ドラマ主題歌にもなった今作の歌詞の意味を紐解くの画像

ドラマ『聖者の行進』は、1998年にTBS系列で放映されたドラマです。

主演にいしだ壱成、酒井法子、広末涼子という3大スターを迎えて作られました。脚本は「高校教師」や「家なき子」の野島伸司。

脚本家からも分かるようにテーマは社会派的なもので、知的障碍者を搾取し暴行する人間と、それに対抗できない人たちを書いています。

上記の内容からわかるように作品内では極度の暴力描写などが多く含まれ、視聴者からの苦情によりスポンサーが提供降りるなどの、騒動がありました。

とてもリアルに作られており、見るものを選ぶ作品となるのですが、それらは全て実際に起こったことです。

見てみようと思った人は覚悟して視聴してください。

カップリング曲『糸』

『命の別名/中島みゆき』は○○事件を元に作られた!? ドラマ主題歌にもなった今作の歌詞の意味を紐解くの画像

『命の別名』のカップリング「」は、結婚式の定番ソングとしても有名です。

とても人気のある曲となっており、現在まで多数のアーティストがカバー。

Mr.Childrenの櫻井和寿と音楽プロデューサーの小林武史によるチャリティーバンドBank Bandをはじめ、福山雅治EXILEのATUSHI、柴崎コウ、平原綾香などが、CMなどで披露しています。

「糸」のテーマとなっているのは、「」や「出会い」で、中島みゆきが信奉している宗教の教祖の結婚祝いに作られました。

『命の別名』の歌詞も素晴らしいですが、「糸」の歌詞も凄くよいので、1度ご覧ください。

モデルとなったのは水戸事件

『命の別名』のモデルとなったのは、『聖者の行進』の元となった水戸事件です。

事件の内幕はドラマの内容通りとなっており、当時ニュースなどで大きく取り上げられました。

非常に有名な事件なので、まだ鮮明に記憶している人も多いかもしれません。

なお、『命の別名』のモデルとして神戸連続児童殺傷事件を挙げる人もいますが、こちらには接点が一切ないので誤認だと思われます。

『命の別名』は『聖者の行進』の主題歌であり、『聖者の行進』のモデルは「水戸事件」。これに尽きるのではないでしょうか?

歌詞を紐解いていきましょう

それでは、ここから『命の別名』の歌詞について、筆者の解釈をみていってください。

まず、テーマとなるのがドラマ『聖者の行進』です。書き下ろしということで、ほぼそのままの内容だと思います。

なので、この歌の主語はドラマに登場した知的障碍のキャラクターたちです。彼等の気持ちを歌っていると考えて正解ではないでしょうか?

では、それぞれのフレーズから、何を意味しているのか考えていきましょう。

メインとなるのは命

知らない言葉を覚えるたびに
僕らは大人に近くなる
けれど最後まで覚えられない
言葉もきっとある

出典: http://lyrics.wikia.com/wiki/%E4%B8%AD%E5%B3%B6%E3%81%BF%E3%82%86%E3%81%8D:%E5%91%BD%E3%81%AE%E5%88%A5%E5%90%8D