2つのアレンジが楽しめる「瞳がほほえむから」
「瞳がほほえむから」は当初アルバム「Ivory」の収録曲として発表されました。
その後テレビドラマ「水曜グランドロマン」の主題歌となりました。
その際コーラス部分をカットしたリミックスバージョンでシングルカットされています。
優しく包み込むような雰囲気は変わりませんが、アルバムとシングルでアレンジが異なり、また違った表情を楽しむことができます。
アルバムバージョンとシングルバージョンを動画で比較
アルバムバージョン
アルバムバージョンとシングルバージョンの大きな違いは曲の終盤のコーラス部分の有無です。
アルバムバージョンでは、子どもたちのコーラスが入っています。
コーラスが入ることにより曲のメッセージの対象が限定されず、大衆に向けて歌われている印象になります。
また、包容力のある歌詞と子供のコーラスから母性を感じ取ることができます。
シングルバージョン
シングルバージョンはコーラスが無くなったことで、よりボーカルが際立っています。
アルバムバージョンで多くの人に向けて歌われていたのとは対照的に、聴き手と一対一の対話をしているような世界観を作り上げています。
「あなた」のいる幸福
「ねえ」の持つ引力
ねえこの世に生まれて最初の朝に何が見えたの?
今その輝きであなただけを見つめている
出典: 瞳がほほえむから/作詞:岩里祐穂 作曲:上田知華
しっとりとしたイントロから始まり、静かに囁くように「ねえ」と語りかけるところから曲が始まります。
静かな中に優しさを秘めた「ねえ」に一気に心を掴まれ、曲の世界に引き込まれていきます。
「ねえ」の一言で聴き手の心を鷲掴みにする今井美樹の音楽の強い引力の表れです。
「この世に生まれて最初の朝」とは、実際にこの世に生まれた瞬間ではないかもしれません。
物心ついた時や自分の意志で物事を考え始めた時など、その人が本当の意味で自分の足で人生を歩き始めた日、という意味ではないでしょうか?
過去や偏見から隔絶されたまっさらな心に、世界はどう映るのでしょう。
「その輝き」とは、まっさらでありのままの心です。
その純粋な心であなたを見つめていると受け取ることができます。
「あなた」が主人公にとってどのような存在なのか、色々な解釈があると思います。
恋人や家族、自分の子供と捉えることもできます。
世界の祝福
一面に咲いた菜の花の色
ほら拍手のように揺れてる
出典: 瞳がほほえむから/作詞:岩里祐穂 作曲:上田知華
同じものを見ても、そこから何を感じるかは様々です。
悲しい気分の時に菜の花を見たら、悲しげに見えるかも知れません。
美しい一面の菜の花の黄色が揺れるささやかな音を拍手と表現し、自分を祝福していると感じています。
菜の花が咲いているということは、季節はおそらく春でしょう。
穏やかな気候の中、一面に咲いた菜の花を見て、祝福されているように感じる。
主人公は世界から祝福されているような大きな幸福の中にいます。
また、「ほら」と誰かに語りかけているのは、誰かと一緒にこの景色を見ているのかも知れません。