ぼくらのオービット

キラキラして清涼感のあるポップロック

ポップでキャッチーな作風が特徴のボカロP・ジグさん作品。 キラキラしたシンセのサウンドと軽やかな初音ミクのボーカルが合わさった、まるでサイダーがはじけるような爽やかな曲です。 そこに水色を基調としたかわいらしい絵柄のPVも相まって、これ以上ないほどの清涼感を生み出しています。聴いていて涼しい気持ちになります。 「オービット(orbit)」とは、天体などの軌道を意味する単語です。少しSFチックでファンタジーな世界観の歌詞では、二人の恋の巡り合わせがこの軌道の周回に例えられて歌われています。 メロディやサウンドは爽やかで輝いていて、でも歌詞に着目すると少し甘酸っぱい気持ちになれる、そんな名曲です。

ヘウリスコーの愛し方

激しいバンドサウンドと切ないボーカルが合わさったポストロックな1曲

作曲者はメルさん。すんなりと入ってきて耳に残るメロディと彩り豊かな曲調の中に少しの毒を混ぜたような、ただ優しいだけでは終わらない味わい深い作風が特徴的なボカロPです。


この「ヘウリスコーの愛し方」もそんな1曲です。ある恋人同士の愛と別れを歌っている曲だと思われますが、その表現はところどころに秘密や棘を忍ばせたような、良い意味で一癖あるものになっています。


このストレートじゃない世界観はサウンドの面にも表れています。綺麗なギターサウンドを中心に据えながらも複雑な音の構成や変拍子など癖の強い演奏が特徴的なサウンド(「ポストロック」と呼ばれるジャンルです)は、楽曲の世界観を見事に体現しています。


「ヘウリスコー」とは古代ギリシャ語で「見つける」という意味。この語の活用を変化させて「見つけた」という意味にすると、アニメのタイトルなどで耳にしたことのある人も多い「エウレカ」という単語になるそうです。


タイトルにはどんな意味が含まれているのでしょうか。難解な歌詞と合わせてじっくり読み込んでみると何か発見があるかもしれません。

ボカロPが選ぶボカロの隠れた名曲6選の画像

ひまわりの記憶

夏休みを思い出すノスタルジックな曲

二人チームでボカロPとして活動されているフタリさんの曲です。 タイトルにも「ひまわり」とあるように、夏がテーマですが、決して楽しいだけではない思い出など、夏のノスタルジックで切ない一面を歌った曲になっています。 柔らかくて穏やかなギターの音や静かな初音ミクのボーカルもそんな曲の世界観の演出に一役買っていますね。 子どもの頃の夏休みやその思い出を思い返して少し寂しくなるような、そんな名曲です。

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ラブ&デストロイ

SF小説のような不思議な世界観のロックソング

ここまで紹介した曲とは方向性が少し違いますね。


今年投稿した「もぬけのからだ」がスマッシュヒット中のみやけさんの作品です。


歌詞は力を手にして正義と悪の間で心が揺れ動く勇者の物語でしょうか?言葉選びが独特でどこか無機質で、ロック調ながらどこかデジタルなサウンドも合わさってファンタジーともSFともつかない不思議な世界観を演出しています。


動画で使われているシャンハイ出身のデザイナー・Shang Jangさんのまるで海外SF小説の表紙のようなイラストも独特の空気感を生み出しています。


ストレートにかっこいい名曲です。

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ハルシオン

淡々としてもの悲しさを感じさせる曲

バンドサウンドへのこだわりが見られる曲を数多く公開しつづけているなぎささんの作品です。


抽象的な歌詞と作りこまれたギターフレーズ、もの悲しげに呟くように歌う初音ミクの声が組み合わさって、「悲しさ」という感情が耳で聴ける形に具現化されたような曲になっています。


生演奏で録音したと思われるジャキジャキしたギターサウンドやサビとそれ以外の部分の緩急など、サウンド面でも注目したいポイントが多い曲です。

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車窓の彼女へ