哀愁ただよう泣き笑い
孤独な笑みを 夕陽にさらして
背中で泣いてる 男の美学
出典: ルパン三世のテーマ/作詞:千家和也 作曲:大野雄二
ルパン三世の世界は根本的にハードボイルドです。世を欺く泥棒なので、仕方ありません。
男性の背中にはなぜか人柄がにじみ出やすいイメージです。顔で笑って背中で泣くという哀愁。
泥棒は悪い行為なのに、ルパン三世は悪い人には思えないわけです。そこも美学なのでしょう。
突き放す愛もある?
泥棒稼業ゆえの孤独
真珠の色は あいつのまなざし
遥かな幸せを 夢に描く
いためることを 恐れるあまりに
冷たく突き放す 愛もあるさ
出典: ルパン三世のテーマ/作詞:千家和也 作曲:大野雄二
あいつは不二子ちゃんに限らないかもしれません。ルパン三世は各地で恋に落ちますので……。
しかし泥棒は世間的な仕事ではなく定住もできません。幸せを望まれても応えられないわけです。
それでも一緒にいようとすると傷つけるだけ。突き放すしかありません。これこそ愛でしょう。
もちろん泥棒でなければ、一緒にいるほうが幸せ。しかし泥棒こそがルパン三世の世界です。
愛ゆえの孤独も男の美学でしょう。
男の世界は稲光?
本当は愛情深い
男には 自分の世界がある
たとえるなら
風をはらい 荒くるう稲光
出典: ルパン三世のテーマ/作詞:千家和也 作曲:大野雄二
1番では男の世界を流れ星にたとえていたわけですが、2番では稲光。強烈な光を放っています。
これは突き放す愛についての比喩でしょう。本当はものすごく愛情深いのに、態度は逆。
自分の世界を貫き通すこと、一般的な男女の幸せ……この2つは残念ながら両立できません。
男の世界を優先すると、たとえ愛する女性でも突き放すしかありません。
女性との愛を選ぶと、世界的な泥棒というルパン三世にとっての本業は成り立たないでしょう。
優先順位は常にはっきりしています。ルパン三世は自分の世界で生きているわけです。
女性への深い愛情は決して叶うことがないので、強烈な光を放ったまま行き場を失います。
荒れるのも無理はないでしょう。
男の美学にハマる理由
ひょうひょうとしている
都会の闇に 体を溶かして
口笛吹いている 男の美学
出典: ルパン三世のテーマ/作詞:千家和也 作曲:大野雄二
ルパン三世は何者?というところから振り返ると、ハードな生き様が浮き彫りになりました。
顔で笑って背中で泣くしかない泥棒稼業、そのため女好きなのに突き放す愛しか表現できません。
それもこれも男の美学!
しかも銭形平次の子孫という、銭形のとっつあんこと銭形警部には常に追われる身……。
アクションと冒険のオンパレードです。ところがルパン三世には軽やかなイメージがあります。
サル顔で細身のスタイルといった見た目の印象もありますが、それだけではないでしょう。
お調子者を気取って、ひょうひょうとしているわけですね。立ち居振る舞いが軽やかなわけです。
象徴的なのが口笛かもしれません。確かにことあるごとに口笛を吹いている気がします。
ハードボイルドなのにユーモラス、女好きなのに愛は実らない、キザなのにコメディー……。
実はルパン三世という人物についてのテーマであるとともに、作品テーマでもあったのでしょう。
相反するものを兼ね備えることこそ愛そのもの!たとえ女性とは毎度別れることになっても……。
そんな大きな愛に包まれた男の美学だからこそ、老若男女問わず惚れ込むのでしょう。