ピート・マック・ジュニアはソロ名義
みなさんご存知「ルパン三世」はもともとモンキー・パンチ先生によるハードボイルドな漫画。
双葉社の青年漫画雑誌「漫画アクション」に1967年から1969年まで連載されました。
テレビアニメ化されたのは1971年が最初。2018年には第5シリーズが放送されています。
アニメのほうがギャグは多いわけです。さらに1989年以降は不定期でテレビスペシャルも制作。
2019年1月25日放送のスペシャル第26作が「ルパン三世 グッバイ・パートナー」になります。
また映画も制作されていて「ルパン三世 カリオストロの城」が名作という人も多いでしょう。
大野雄二さんによる音楽もかっこいいですね。
テレビ2期からの主題歌
1977年のテレビ第2シリーズからの主題歌がピート・マック・ジュニア「ルパン三世のテーマ」。
大野雄二さん率いるユー&エクスプロージョン・バンドのインストではなく、歌があるわけです。
長年テレビアニメの主題歌として放送されているので、幅広い世代に浸透していますね。
カラオケでよく歌う人もたくさんいるはずです。最初はインストかと思っていたら歌詞あり!
驚いて世界観にハマる……というパターンは「ルパン三世のテーマ」のあるあるでしょう。
バンド名ではない
「ルパン三世のテーマ」は大野雄二さんが作曲しているわけですが、歌っているのは誰?
どうやらピート・マック・ジュニアというらしい……ここまでは多くの方がご存知でしょう。
しかし、ピート・マック・ジュニアって誰?というところまでは考えていないかもしれません。
バンド名かユニット名?……などと、ぼんやりイメージしていたのではないでしょうか。
ところがピート・マック・ジュニア(Pete Mac, Jr.)は藤原喜久男さんという歌手のソロ名義。
お父様がアメリカ人、お母様が日本人と聞くと、納得しやすいでしょう。
このピート・マック・ジュニアの「ルパン三世のテーマ」は1978年にリリースされました。
年月を経ても色あせない魅力はどこにあるのでしょうか。歌詞の意味を深掘りしてみましょう。
ルパン三世は何者?
タイトルが「ルパン三世のテーマ」ですので、この歌物語の主人公は当然ルパン三世になります。
それではルパン三世とはいったい何者なのでしょうか。そこから?と驚かれたかもしれません。
長年の友達のように親しまれていますが、人物像については深く考えていない人もいるでしょう。
元祖は、モーリス・ルブランの冒険推理小説「怪盗紳士ルパン」シリーズになるわけです。
その主人公アルセーヌ・ルパンの孫がルパン三世という設定。
祖父はクールなのに情にもろいフランス人ですが、孫は日本語を操るお調子者です。
まったくあり得ない話とも限りませんが、設定にも不条理ギャグが入っていると言えるでしょう。
大枠としては冒険推理モノというより、コメディーなのかもしれません。とくにアニメは。
ただし祖父のルパン一世のように怪盗なのに紳士という、一見矛盾する人柄は踏襲しています。
その人柄さえ不条理ギャグに含まれるとしても、なおさら紳士たるべきという話になるでしょう。
真剣にキザなふるまいをするほど哀愁がにじみ出る、見ているほうは泣き笑い……という路線。
この辺りが文字どおり「ルパン三世のテーマ」となっているのではないでしょうか。
その点を踏まえて実際の歌詞を見ていきましょう。
大泥棒ゆえの哀愁
真っ赤な薔薇は あいつの唇
やさしく抱きしめて くれとねだる
瞳の奥に 獲物を映して
淋しく問いかける 愛の在りか
出典: ルパン三世のテーマ/作詞:千家和也 作曲:大野雄二
花の女王として君臨する薔薇。美しい女性にふさわしいたとえでしょう。
ルパン一世も三世も、美しい女性は決して嫌いではありません。むしろルパン三世は女好き。
歌詞に登場するあいつとは基本的に峰不二子(以下、不二子ちゃん)のことを差すでしょう。
しかし女好きといっても、紳士な人柄も持ち合わせているわけです。
本業は世界を股にかける大泥棒なので、一般的な恋愛による幸せは、基本的に望めません。
この辺りは祖父のルパン一世とも共通する話です。そのため哀愁がただようことになります。
本当は愛を求めている……とも言い切れないところが、ルパン三世のテーマになるでしょう。
愛はどこ在るのか?クールに問うだけなんてかなりキザ!ここに泣き笑いのポイントがあります。
男の世界は流れ星?
泥棒稼業ゆえの移動生活
男には 自分の世界がある
たとえるなら
空をかける ひとすじの流れ星
出典: ルパン三世のテーマ/作詞:千家和也 作曲:大野雄二
女性が入り込めない領域、これが男の世界ですね。逆も然りかもしれませんが……。
単純に性別では分けられない側面もあるでしょうが、怪盗紳士の流儀として……という話です。
あらゆる星が動いているとしても、流れ星の動きはものすごく速いことになります。
ルパン三世は世界的な大泥棒なので定住できません。常にあちこち飛び回っているわけです。
その移動生活こそが自分の世界。
スマートな寅さんみたいなイメージでしょうか。
ギャグ混じりのコメディーといっても、哀愁ただようキザな輝きはルパン三世の世界でしょう。