モヤモヤとした気持ちも大切

ここからがこの楽曲歌詞の見どころです。

不完全な自分をどのように受け止めるのか、その思考を読み解いていきましょう。

なぜ曇り空の方が好き?

叫びたい
青空なんか
青空なんか好きじゃない
どこまでも雲がないなんて嘘っぽい
誰だって
憂鬱なこと
憂鬱なことあるだろう
少しどんよりした
はっきりとしない空が
好きなんだ

出典: 憂鬱な空が好きなんだ/作詞:秋元康 作曲:早川博隆、村山シベリウス達彦

モヤモヤとした心理状態を雲に例えています。

「雲ひとつない青空」というと、通常良い意味ですね。

でも主人公にとって素晴らしいもの…ではないようです。

これを心理状態に置き換えてみましょう。

一切の曇りがない心。

悩みや不安、疑問がない澄みきった思考。

主人公は逆に「人間味がない」と感じてしまうのです

迷いながらも生きたり、答えを導き出そうともがくことが嫌ではないのでしょう。

全てひっくるめて「これが自分という人間なんだ」と受け入れているのだと思います。

慣れないことをしてみても…

転がる空き缶を蹴飛ばしてみても
思ったより
遠くへ飛ばなくてスカッとしないだろう

出典: 憂鬱な空が好きなんだ/作詞:秋元康 作曲:早川博隆、村山シベリウス達彦

モヤモヤした心を晴らすために空き缶を蹴り飛ばしました。

慣れないストレス発散方法はあえなく失敗。

さほど飛ぶこともなく、空き缶が目の前を虚しくコロコロと転がっているのが想像できます。

逆に自分の不甲斐なさが目立って虚しくなっているのではないでしょうか?

そもそも、深く考えるタイプの主人公に短期的な行動は合わないのだと思います。

未熟さを悔しく思う

主人公にとって今の「青春」は辛い時期のようです。

成長しきれない自分への葛藤、他人との摩擦…。

自分を客観視できる性格だからこその視点に注目していきましょう。

決めつけられた心境

イメージだけで決めつけてる
青春は面倒で厄介なものだ

出典: 憂鬱な空が好きなんだ/作詞:秋元康 作曲:早川博隆、村山シベリウス達彦

主人公は誰かに「先入観」を向けられたのでしょうか?

まだまだ成長途中で結論が導き出せない自分。

上手に受け答えできない未熟さゆえに、誤解や決めつけられることもあるのかもしれません。

でも、どんな年齢であっても本来は対等に見るべきだと思います。

例えば、小さな子供は大人ほど知識や経験がないとしても、しっかりとした自我をもっているでしょう。

子供が分かる言葉で、子供が分かるペースで、対等に扱うべきだと思います。

対等に扱われず理解してもらえなかったとき、「決めつけられてる」という感覚に陥るのではないでしょうか?

プールに自分を重ねてる?

水のないプールはいつから
そこで黙っていたのかな

出典: 憂鬱な空が好きなんだ/作詞:秋元康 作曲:早川博隆、村山シベリウス達彦

水を抜かれたプールはプールとしての意味を為しません。

このプールの状態に自分を重ねているのでしょうか?

本来の能力が発揮されていない自分

本当は水が張られたプールのように、役割や魅力を持っているはずなのに…。

そして主人公自身も、このプールの存在にしばらく気が付いていなかったようです。

身近な存在に孤独を感じる主人公は強い感性を持っていますね。

これが自分らしさ