行ってはいけない世界に誘われるような
少し不気味にも聴こえるような、和の混ざったメロディー。
淡々とした阿波踊り調のリズム。
サウンドからも歌詞からも醸し出される、この毒々しさがクセになる1曲です。
メジャーデビューから4枚目のアルバム「ゆらゆら帝国のしびれ」に収録。
「夜行性の生き物三匹」についても同様、独自の不可解な世界観が描かれています。
それと同時に、MVもかなり無機質。
そんな謎だらけの「夜行性の生き物三匹」を徹底的に紐解いていきます。
シンプルすぎるほどの映像
まずはその特異なMVからご紹介。
曲名と同様、登場するのはひょっとこ「3人」組。
ストーリー性は全く無く、ひたすらひょっとこ3人が踊り続けるのみです。
真っ白な部屋?の中で、延々阿波踊りを続けるひょっとこたち。
じっと見ていると、なんだか不安にもなってくるような映像です。
そしてこの3人、全く同じ動きをしているようで微妙に異なっています。
基本の動作は同じはずなのに、それぞれの踊り方が少しずつ違う。
この機械的でない部分が、余計に怪しい雰囲気を増幅させています。
しかし、不可解な点はそれだけではありません。
この映像、サウンドそのものには非常にマッチしています。
ただ、歌詞の内容とは真逆と言っていいほど合っていないのです。
では、次からは肝心の歌詞も見ていきましょう。
日常には無い感覚
誰もいない暗闇で活動を始める
頭上で暗い雲 というか真夜中だから真っ暗
夜行性の生き物がおよそ3匹
出典: 夜行性の生き物三匹/作詞:Shitaro Sakamoto 作曲:Yura Yura Teikoku
MVの舞台は「真っ白」でしたが、歌詞では「真っ暗」といっています。
雲行きの怪しいような、もやっとした空。
でもそのもやもや感も、真夜中だからあまり関係ない。
天候の気にならないほど夜が深まった頃、“夜行性の生き物”が動き始めます。
この辺りはただの言葉あそびかもしれませんが、わざわざ“およそ”という表現。
なんとなく曖昧にしているのは、何か意味があるからなのでしょうか。
そもそも、この“3匹”が指すものとはいったい何なのでしょう?
ちょうどこの頃のゆらゆら帝国は3ピースですが、本人たちのこと?
謎は深まるばかりですが、もう少し続きを見ていきます。
人知れずひっそりと……
地上ではむちゃくちゃだ でも悪ガキどもさえ寝床で
楽しそうな夢を見させてくれる
出典: 夜行性の生き物三匹/作詞:Shitaro Sakamoto 作曲:Yura Yura Teikoku
この辺りは、「真夜中の妙なテンション」といったところでしょうか。
ほとんどの人間が眠りについているであろう時間帯。
街中は、ほぼ誰も出歩いていないような状態になります。
その虚無感が非日常的で、なんてことない街もどんどん幻想的に見えてくる。
普段は悪さしているような輩でも、深い眠りの中で楽しい夢を見ている。
この“夜行性の生き物”たちにとっては、この誰も動いていない時間が一番活動的。
一見すれば狂ったかのように、誰も見ていないところでムチャクチャやっている。
誰もが眠っている、誰もが日常活動を止めている頃。
この“夜行性の生き物”たちは非日常を楽しみ、そして何か企んでいるようにも見えます。
“君の感性を錆びつかせる”のは何か
3分間の この曲が
最先端の 君の感性を
3分間で 錆びつかせる
出典: 夜行性の生き物三匹/作詞:Shitaro Sakamoto 作曲:Yura Yura Teikoku
しかしここでも違和感、この曲は3分ではありません。
正確にいうなら、この曲は3分48秒です。
この部分も、ただ「3分48秒」というのがメロディーに乗らなかっただけかもしれません。
もしかしたら、“この曲”が指しているのは、この「夜行性の生き物三匹」ではない?
そんな疑念もありますが、おそらく“この曲”は「夜行性の生き物三匹」のことでしょう。
この辺で、ずっと謎のままだった“夜行性の生き物”を解明してみます。