時を刻むビート
あの場所を探すんだ
自らを落としても
また本気になって探せよ
本気になって探せば
後悔は遅れない
出典: Candy or Whip/作詞:YU 作曲:S&R,UTA,AKIRA
この曲の恐らく軸である「時の流れ」みたいなものをドラムのビートが語っているようです。
特に過去のシーンなど感情移入して観ることができます。
“感性が豊か”というのはこういうことをいうのではないでしょうか。
彼らはきっと「今の」彼らのビートや歌やピック弾きをしているだけかもしれないです。
しかし聴いているこちらの感性と相まって、特別な音になる。
そしてMVという映像で観ることで、よりその感覚が鮮明になるのです。
MVにはそんな魅力もあるのだと思います。
軌跡を描いていくシーン、1つ1つが美しい
それまではお預けで
お前らと会うために
また笑い話にしてさ
馬鹿と笑って酔おうぜ
いつになる?分からない…
出典: Candy or Whip/作詞:YU 作曲:S&R,UTA,AKIRA
MVの中盤、正に白い箱の蓋が開いたように彼らの過去の映像が流れてきます。
「0」から新しい時間を生きていくというこの曲に相応しいシーンです。
ファンなら知っている映像が沢山あり、嬉しいような懐かしいような感覚を覚えます。
MVに彼らの昔の映像が流れてくると、子供の成長を観るような気分になりますね。
レイダースであることを知らない方でも彼らのこれまでの歩みを知ることができるのではないでしょうか。
大切なことは、この映像の彼らが「零」に立って、また「酔う」と決意していることです。
過去映像と、実際に何も飾らない等身大で歌う今の姿は確実に違っています。
彼らの過去は、まだ未来を知らないからです。
そんな彼らを見ていると、愛おしさが込み上げてくるようです。
本当は大好きで、本当はこのままで
本当は大好きで
本当はこのままで
あぁまた思い出しちゃうな
馬鹿と笑って諦めてよ
この歌に残させて
出典: Candy or Whip/作詞:YU 作曲:S&R,UTA,AKIRA
曲中出てくるこの歌詞、このまま読めば「大人になりたくない」って思える歌詞ですね。
ですがMVを観ていて思うのは、ものすごく客観的な言葉だということ。
彼らは元々が他人と違う道を選んでいます。
YouTubeチャンネルを作って、不特定多数の人たちに自分たちの存在を「教える」。
これって簡単に思えることかもしれないけれど、実は不確かで怖いことだと思うのです。
何故って、それは「他人が創る自分が生まれる」から。
「本当は大好きで、本当はこのままで」居てもいいはずです。
でも彼らは自分たちで今の道を選んだのです。
本物になるために探すものとは?
レイダースでは仕掛けばかりをしてきた彼ら。
仕掛けるのを止めた時、残ったのは剥き出しの自分です。
当然、そんなこと理解したうえで選んだ道だったのでしょう。
それがMVの色のない世界が表現するものだったのかもしれません。
ガチで向き合う音楽に仕掛けはない?それこそが彼らの仕掛けかも
いつも悪いな
なぁ
急に振り回してさ
すでに少し後悔してる
まあ
それでもさ俺は進むよ
また騒ごうぜ
俺がいつか
生きた時に
出典: Candy or Whip/作詞:YU 作曲:S&R,UTA,AKIRA
この曲の歌詞は、過去形を良く使っています。
色のないMVの世界は暗いのですが、それは過去の暗さではありません。
まだ見ぬ未来への期待のように感じられるのです。
「生きた時」はもっと先の未来からみた自分に投げかけた言葉のように感じます。
YUが白い箱を開かないのは、まだ「生きた時」のその先に到達してないからかもしれません。
いつだって大騒ぎしたい。
嬉しいこと、悲しいこと、頭にきたこと、なんでも。
それが生きている証拠だと彼が宣言しているようでもあります。
やみくもに駆け出したって、良いんだ!って背中を押してもらいたい!
レイダースの頃からの彼のファン達はこのMVをどんな想いで見るのでしょうか。
あの頃の、ハチャメチャで楽しい彼らが大人になっていく今のプロセス。
同じ年代を生きていくファン達は、彼らの生き様をどんな風に受け止めているのでしょうか。