「零」は何もないってことじゃない。「0」から始まる歌。
タイトルの「零はまた酔う」。
このタイトル、まだ10代の若者が選んだ言葉とは思えない古典的な表現だと思いませんか。
歌詞を読むと「0が始まる」が最初の言葉となっています。
やっぱり「ゼロ」からの話?と思いつつ、MVを観たところで完全にノックアウト。
逆に10代の彼らが選んだからこそ「零」だったんだと、納得させられます。
そんな彼らの未来への意思が感じられる本楽曲をMVの解釈と共に紹介しましょう。
読み終わる頃には、きっと10代に戻りたい!と思えるはずです。
「零」という言葉の意味を知る
なぜ「0」ではなく、「零」なのでしょうか。しかも、1番最初の歌詞はなぜ「0」なのでしょう。
「零」という漢字の元々の由来は「お辞儀をして神様にお願いする様子」です。
『雨』と組み合わせ、神様に願いが通じて『静かに雨が降り始める』様子を表すのだそうです。
どこまでその意味合いが組まれていたかはわかりません。
しかし「零」は全く何もない「0」ではないということがタイトルに「零」を選んだヒントになりそうです。
「本物になるために、零はまた酔う」。そのサイクルが始まるのだと思いました。
四角い白い箱に何が入っているのか。蓋はいつ開くのか
おもちゃ箱なのか、手品の箱なのか、開けてみないとわからない
0が始まる
さあ
“本物”になるために
多分いつか後悔するし
まあ
その時は遺伝子たちを
いくらか出して
たまにあえて
逃げていけよ
出典: 零からまた酔う/作詞:YU 作曲:S&R,UTA,AKIRA
「箱」と一口にいっても、色々なイメージができるかと思います。
おもちゃ箱、お菓子の箱、本箱や手品の箱、プレゼントの箱、びっくり箱など。
ありとあらゆる贈り物には箱がついていますよね。
そして、秘密にも。
YUが座っている白い箱には一体なにが入っているのでしょうか。
YU或いはレイダース、これからのCandy or Whipの色んな出来事が秘められているのかもしれません。
そしてその蓋を開けるのを躊躇しているかのように、YUが座っているように感じます。
かめむしの歌はクラウンの涙
YouTubeでは「おふざけ動画」で人気だった、レイダーズの「かめむし」ことYU。
Candy or Whipでは作詞とボーカルを担当しています。
彼の歌声に魅力を感じているリスナーも多いのではないでしょうか。
澄んだ声ではないけれど、どこまでもほとばしるエネルギーを持っています。
そして、この「零にまた酔う」のボーカルは切なさに溢れているように感じられるのです。
YUが今、何を感じて何を思って白い箱に座っているのかを考えさせられるようです。
彼の歌を聴いていると、人を笑わせる道化師がほっぺたに書いている涙の一滴を感じてしまうのです。
きっと、思春期を通り過ぎようとしている彼らの迷いや怒り、期待や喜びが交じり合っているのでしょう。
何を目指しているかわからないような感じがあるのかもしれません。
走り続けるしかない今だから。
スティックが止まらない。S&Rが叩き続ける時のリズム
全編、ほとんど色のないMVですがその中でひたすらパンチを浴びせ続けているものがあります。
それががS&Rの叩き続けるドラムのビート。
ロックテイストの曲であれば当然ドラムのビートが欠かせません。
とにかく最初から最後まで「正確」にリズムが刻まれる凄さみたいなものも感じました。
S&Rのドラマーとしての力量が試された
彼らのデビューアルバムのインタビューで、S&Rが語っていたのはドラムの難しさです。
今回のMVではバンド全体のパフォーマンスは観られません。
しかしこのバンドの技術レベルが相当高いのは、聴けばわかります。
特にベースとドラムは秀逸ではないでしょうか。
その中でも、永遠に続くかと思わせるドラムの技に彼の努力を感じずにはいられません。