ふと夜中にコンビニに行くと買ってしまうもの。
お菓子、ジュース、カップ麺……いろいろありますが、主人公はビールとアイスを手に取ります。
これに関してはいろんな解釈の仕方があると思います。
単にお酒を飲むのが好きなだけでしょうか。
お酒を飲んで嫌なことを忘れて寝てしまいたかったのでしょうか。
それとも夜中にお酒を買うという行為で、ちょっと背伸びをしてみたかったのかもしれません。
お酒を飲んだ後のアイスはいいシメになります。
単にサッパリしたいから買っただけなのでしょうか。
夜中にビールというちょっと大人びた買い物が恥ずかしくて、照れ隠しに買ったのでしょうか。
チョコやストロベリーではなく、あえてバニラという所もポイントですね。
単にバニラ好きという可能性もありますが、やはりお酒のシメにはバニラです。
夜更けにお酒を飲んでアイスも食べてしまう……非常に背徳感のある行為です。
チョコレートは
無料交換チケット
手に入れたのはチョコレート
でも食べる気ないからっと
ポケットに入れた
手の温度で溶けた ah
出典: 缶ビール/作詞:みゆな 作曲:みゆな
コンビニあるあるですね。
クジ引きで貰えた商品は何かと忘れがちです。
ポケットやカバンに入れたまま忘れるなんていうことも……。
ここは最後の「手の温度で溶けた」というところがポイントです。
「食べる気ない」と言いながら、ポケットの中に手を入れて存在を確かめている。
無意識にチョコレートが貰えたことを嬉しいと思っているのではないでしょうか。
「ビールのシメにはバニラだよね~」と大人ぶりながら、本当はチョコレートも嬉しい。
ポケットの中で溶けたチョコレート、想像するだけで悲惨です。
「本当は嬉しいけど、素直に喜ぶと子どもみたいに見えてしまう。」
だからこそ悲惨な状態を強調しているわけです。
悲惨な状況を強調しながら、貰ったことは伝えたいのです。
背伸びした主人公の心理を端的に表した秀逸な表現です。
嫌な世界は甘いもので……
世の中のモラルに嫌気
いつもいつも… 同じ話
浅はかにまとめられた子供の思い出
大人になってしない人 多くない?
信号無視する人 死にたいの?
出典: 缶ビール/作詞:みゆな 作曲:みゆな
いつも同じ話ばかりしてくる人にはウンザリします。
昔の自慢話が多い人も多いですね。
主人公はそういう「大人」に辟易しています。
「十で神童、十五で才子、二十歳過ぎれば只の人」とはよく言ったものです。
「自分は子どもの頃こんなに優秀だった」と言う「大人」。
そんな「大人」たちに「じゃあ今何でそうじゃないの?」とモヤモヤしています。
「自分が得意だったジャンルで活躍しないのは何故?」と……。
信号無視をする人に対しても「死にたいの?」と悪態をつきます。
「信号無視をすると事故に遭って死んじゃうよ」と言うはずの大人たちが信号を守らない。
そんなモラルの無さに腹を立てているわけです。
「現実は厳しい」「大人になれば分かる」
そんな風に言い訳している「大人」達はハッとさせられるかもしれません。
甘いもので忘れてしまえ
こんな嫌な生活
こんな嫌な世界
全部 全部
甘いもので
忘れちゃえよ
出典: 缶ビール/作詞:みゆな 作曲:みゆな
1番では自分の自堕落な生活に嫌気が差していました。
つい夜更かしをしてしまったり、部屋中お菓子だったりと、かなりだらしないですね。
追っかけや流行に乗ることしか楽しみの無い自分も嫌なのです。
もしくはそういう人たちを冷めた目で見る自分が嫌なのかもしれません。
そして2番では周囲に嫌気が差しています。
過去の栄光ばかり語る「大人」や最低限のモラルも守れない「大人」。
ここまでの歌詞を「嫌な生活」「嫌な世界」とまとめています。
そしてそういう「嫌なこと」たちを甘いものを食べて忘れてしまえと言っているのでしょう。
おや?
ここでおかしな点が出てきます。
甘いもので嫌なことを忘れる……缶ビールはどこにいったのでしょうか。
タイトル「缶ビール」を深読み
結局、最終的に主人公が心の拠り所にしたのは「甘いもの」でした。
では結局「缶ビール」は何だったのでしょう。
お酒に酔って「嫌なこと」を忘れるのではないのでしょうか。
ここで少し深読みしてみると、「缶ビール」をメタファーだと捉えることが出来ます。
子どもにとって、ビールは「大人の飲み物」という憧れの対象です。
子どもの頃に親が飲んでいるビールを見て「美味しそう」と思った人もいると思います。
しかし、初めて飲んだ時に「美味しくない」と感じた人も多かったのではないでしょうか。
子どもから見ると素敵に映った大人の世界は、実際に足を踏み入れると嫌なことばかり。
美味しそうに見えていたのに、いざ飲んでみると苦いだけだったビールと似ています。
苦いビールの味を消してくれるアイスのように、嫌なことも甘いもので消してしまいたい。
そんな気持ちがこの曲には含まれているのかもしれません。