かもめが表すもの
かもめはかもめ 孔雀や鳩や
ましてや女にはなれない
出典: かもめはかもめ/作詞:中島みゆき 作曲:中島みゆき
ここでタイトルのフレーズが出てきました。
かもめはどうしたってかもめなんだよというこのフレーズは、何を意味しているのでしょうか。
引き合いに出されている孔雀は気高く美しい鳥、つまり美人で品のある女性を表しています。
次の鳩は町中でよく見かける親しみ易い鳥です。
そのことから、誰にでも愛される可愛らしい女性といったところでしょう。
かもめについては冒頭でも触れたとおり、一匹狼で自由奔放な女性をイメージします。
それは従順さを女性に求めるような男性にとっては、受け入れられない女性像なのかもしれません。
自分の本質とは違う女性であることを求められても、容易く変えることはできないという葛藤を表しているのですね。
素直な女とはどういう女?
あなたの望む 素直な女には
はじめからなれない
出典: かもめはかもめ/作詞:中島みゆき 作曲:中島みゆき
ところでこのふたりは、どういう間柄なのでしょう。
恋人同士?それとも彼女の一方的な片思いなのでしょうか。
恐らく恋人同士ではないが一方的でもない、というのが正解でしょう。
"あなた"は彼女を好きになり、告白をしたのかもしれません。
ただ、どうしても譲れないことがありました。
それは自分に黙ってついてきてくれる女性であってほしい、ということです。
それなのに、彼女は素直に彼に従うことができませんでした。
事あるごとに、彼に意見をしてしまい、ついつい余計なことを言ったり口答えをしてしまったり...。
或いは、自分を殺してまで誰かに尽くすようなことが苦手だったのかもしれません。
なにせ彼女はかもめタイプ、自由奔放な女性ですから。
それでも彼の望みに合わせようと、無理矢理自分を変えようとした時期もあったようです。
でもやはり、自分にはウソをつけないことに気が付いてしまったのでしょう。
どんなに頑張っても、変えられないものは初めから変えられないのです。
ドラマチックなサビ
青空を渡るよりも
見たい夢はあるけれど
かもめはかもめ ひとりで空を
ゆくのがお似合い
出典: かもめはかもめ/作詞:中島みゆき 作曲:中島みゆき
自分を変えることはできない。
そう言っておきながら、本当は彼と一緒にいたいのです。
できることならば、彼との幸せな未来を築いていきたいと思っています。
でもやはりどうしても、自分の信念と引き換えにすることはできません。
だからといって、彼が折れてくれる気配もないのです。
それならば残された道はひとつだけ、独りで我が道を行くしかありません。
所詮、その程度の生き方が自分には似合ってるんだよと、自嘲するような薄笑いを浮かべた彼女が目に浮かびます。
想いを断つ
想いのすべてを消し去りたい
あきらめました あなたのことは
もうゆくえも知らない
出典: かもめはかもめ/作詞:中島みゆき 作曲:中島みゆき
曲の1番では電話をかけるのをやめることにしました。
それはつまり、電話はかけないけれど、まだ彼の居場所はわかっていたということです。
でも2番では、何処にいるのかさえ知らないといっています。
彼が黙って彼女の前から姿を消してしまったのでしょうか。
それとも彼に対する興味が無くなってしまったのでしょうか。
いいえ、そうではありません。
彼女の強い意志で、自ら彼の所在を追うことをやめたのです。
そうでもしないと、彼の面影をずっと追い続けてしまうと思ったからでしょう。
辛すぎる現実
あなたがどこで 何をしても
何ひとつ私では合わない
出典: かもめはかもめ/作詞:中島みゆき 作曲:中島みゆき