デビュー10周年を迎えて

LiSAの「Letters to ME」は2021年5月19日に公開されたシングル曲です。
そしてミニアルバム「LADYBUG」に収録され、同日に発売されています。
LiSAといえばアニメ「鬼滅の刃」で「紅蓮華」や「炎」の主題歌を担当して大ヒットを記録しましたね。
そこで彼女を初めて知り、ファンになった方も多いのではないしょうか。
2021年はLiSAがデビューしてから10周年に当たります。
2011年にデビューしたきっかけとなるアルバムの名前は「Letters to U」。
U=Youと考えると、今回の曲の題名と10年間の想いをかけ合わせていることが分かります。
LiSAはソロアーティストの歌手として活動しているため、特定のバンドには所属していません。
個人でデビューするのは、かなりの困難に直面したと想像できます。
10年経って感じたことや、ME=自分自身に伝えたい言葉は何でしょうか。
歌詞を読み解いていきましょう。
こだわりが詰まった曲構成
歩み続ける
ミュージッククリップを見ると分かるように、始まって8、9秒間は音がありません。
LiSAが手紙を書く様子が映っています。
それから音楽がアップテンポなリズムとともに始まります。
自分を振り返るような映像ですが気持ちは前向きであるように感じられますね。
これがもしゆっくりとした曲調だったら、手紙を書くことで1回ストップして気持ちを新たに始めます。
しかし、刻む速いビートとそれに次々と乗っていく和音やギターの音色が休む暇を与えません。
まるでLiSAはこれまでと同様に止まらず歩み、進んでいくんだと決心しているかのようです。
素直な音
音楽は数秒間の空白の後にいきなり始まり、終わりも突然訪れます。
最後まで響きが残るのは高いピアノのドの音ですね。
「ド」の音はハ長調の主音で、素直なイメージを持つ人が多い音。
気付いていたでしょうか。
始まりの音もボーカルはドの音程から始まっていたのです。
きっとわざとドの音から始めて終わりもドの音を響かせ、印象付けるようにしていたのでしょう。
LiSAは「Letters to ME」を書く中で、自分の素直な気持ちを音楽で伝えているのかもしれません。
変わらない信念
先の見えない中でも
ねえ、ずっと長く感じてた夜を超え きっと遠くまできたよ
もう今は音の出ないウォークマンを抱きしめ ここで歌ってる
ああ、ちゃんと自分の足で立ってるよ たくさんの"ありがとう"の上で
出典: Letters to ME/作詞:LiSA 作曲:LiSA
夜は「暗くて怖いもの」というイメージがありますよね。
家の中にいれば話は別ですが、外は灯りがあっても空が見えません。
行先数メートルも分からず、闇に包まれています。
孤独で寂しく、静かで怖い。
このように、夜は得体の知れない恐怖があります。
一説では夜は鬱や不安障害を発症しやすい時間帯だといわれています。
その長い闇の中を走り続け、ようやく遠くに来れたのですね。
喜びというよりも達成感や生きているという実感がこもった詩のよう。
続けること
ウォークマンと聞いて懐かしさを感じる方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
これは1990年代から2000年代まで大流行したポータブル音楽プレイヤーです。
現在はスマホで音楽を簡単に聴くことが出来る時代ですね。
使い古してもう使えなくなっていると想像できるウォークマン。
それを遠くに来て、時代も変わっている今も持っているのです。
大好きなものや信念がずっと変わらない。
そして夢を見続けてやっと今まで成長出来たんだ、と噛み締めているように感じられます。
LiSAは名前にも表れているようにLiVEなども小文字で「i」を使います。
このように音楽のみならず自分のスタイルにこだわりがあるそうですよ。
まだ無名だった頃から同じ信念を持っていくのは大変なこと。
しかしそれが人々の心を打ち、多くの人に支えられて曲を生み出してこれたのですね。
夢
赤いてんとう虫
太陽へ羽を広げたてんとう虫 行方を眺めていた
離さないように強く掴んできたもの 涙の河に置いてきたもの
行き先はいつか走り出した夜の向こう
なにかになりたかったあの日から なにもかもが少しずつ違うけど
また生まれ変わっても 私はわたしでいたい
出典: Letters to ME/作詞:LiSA 作曲:LiSA