生命(いのち)を失った
出典: 勇気一つを友にして/作詞:片岡輝 作曲:越部信義
「堕ち~」に続く上記の歌詞は、イカロスが逝去したことを示しているのでしょう。
しかし、一切「死」という言葉は使われていません。
それは、なぜなのでしょうか。
「生命」とは、生物の根源であり、現世で活動を継続する上で必要不可欠なものです。
生命が失われた時、生活機能も喪失し、生活活動を維持できなくなります。
上記の「生命~」は、人間として生きる力を失ったイカロスの姿が描かれているのかもしれません。
同時に、命の尊さを子どもたちに訴えかけているのでしょう。
子どもは、純真だからこそ、残酷な一面を持っています。
些細なボタンの掛け違いから、心に歪みが生じるリスクを否めません。
作詞した片岡輝さんは、歌の力で生命の大切さや儚さを子ども達に伝えようとしたのではないでしょうか。
イカロスから学ぶもの
イカロスの半生にフォーカスが当てられたAメロ~Cメロ。
Dメロは、曲を聴く子ども達、イカロスの神話を読み終えた少年少女の目線で詞が綴られています。
何者にも恐れず
だけどぼくらはイカロスの
鉄の勇気をうけついで
出典: 勇気一つを友にして/作詞:片岡輝 作曲:越部信義
「だけど~」は、イカロスが死んでも尚という意味合いのフレーズとして捉えることできます。
この世に居なくなったイカロスの意志は、次世代を担う僕たち少年少女が必ず受け継いでいく。
それぞれの意気込みのようなものが滲み出ています。
ただ、なぜ「勇気」の頭に「鉄の」が付いているのでしょうか。
「鉄」は、非常に堅牢な状態の例えとして用いられている漢字なのです。
曲中の「鉄の~」は、何者も恐れない強い勇気を意味しているのでしょう。
イカロスは、強い勇気を持っていたため、窮地に陥りながらも、果敢に新たなフィールドへ旅立ちました。
個性を発揮できる場所へ
先行き不透明な状態が続いている現代社会。
従来の価値観が通用しなくなり、ドロップアウトする人々は少なくありません。
理想や希望を見失い、挫折する場面も多々あります。
それでも、鉄のように強く固い勇気があれば、厳しい状況下を生き抜けるのではないでしょうか。
鉄の勇気をうけついで
明日へ向かい飛びたった
ぼくらは強く生きて行く
勇気一つを友にして
出典: 勇気一つを友にして/作詞:片岡輝 作曲:越部信義
上記の歌詞は、少年たちが何かに縛られることなく個人の意志で羽ばたこうとしている光景を想像させてくれます。
向かおうとしている場所は、「明日」と表現されていて、明るい未来を示唆しているのでしょう。
「明日へ~」の後に続く「ぼくらは~」「勇気一つ~」は、曲中で最も盛り上がる部分。
真っすぐに明るい未来へ突き進もうとする少年たちの勢いが伝わってきます。
オススメのカバー曲
他のアーティストがカバーした曲は、原曲とは異なる魅力を持っています。
以下、2つのカバー曲について独自解釈しました。
心がホッコリ
アニメ「日常」第24話のエンディングテーマに採用された【勇気一つを友にして】。
編曲を伊藤真澄さんが手掛け、ノスタルジックなメロディにブラッシュアップしました。
歌唱は、アニソン歌手として活躍している佐咲紗花さんが担当し、美しい情景を描き出しています。
アニメのエンディングシーンを見ながら聴くと、心がホッコリするでしょう。