シルエットシャドーという表現もおもしろいですね。
どちらも影という意味。
なので単なる影の強調ということになります。
ただ言葉の響きがしゃれていると思いませんか?
何かとカタカナ語を使いかっこつけていた時代の言葉遊びです。
Oh Beautiful and Free
唇で語れ 明日を
出典: 唇よ、熱く君を語れ/作詞:東海林良 作曲:渡辺真知子
1行目の英語詞も同様で、自由よりFreeとするほうがスマートな感じだったのでしょう。
街はセクシー・ブルー 溜息が漏れる
出典: 唇よ、熱く君を語れ/作詞:東海林良 作曲:渡辺真知子
ここの歌詞にいたっては一体何ぞやという声まで聞こえてきそうです。
世の中が輝いていたからこそ、魅惑的でキラキラしたワードがヒット曲を生む要因にもなったのかもしれません。
描かれている女性像
風のように気まぐれ
南風は女神 絹づれの魔術
素肌に絡んだ かげりを連れ去る
去年越しの人は シルエット シャドー
女は気まぐれ 燃える陽炎
出典: 唇よ、熱く君を語れ/作詞:東海林良 作曲:渡辺真知子
さて、ここで少し歌詞に描かれた女性像を解説しておきましょう。
南風は暖かく開放的な気分をもたらします。
女神はもちろん女性全般を表現。
女性は風なのです。
1か所に留まることをせず、そよそよするりとするりと通り抜けていく。
上質な絹の衣装をまとい、包み込むような暖かさで男たちを惑わすといったところでしょうか。
そうそれはまるで魔術のように。
暗い過去をきれいさっぱり消し去るなんて簡単なこと。
去年出会った人なんてその姿形さえも、もう思い出せないわ、と言わんばかりです。
今日はイエスだけど明日になればノーかもしれない。
女性は気まぐれな生き物なのです。
自由奔放にそしてメラメラと立ち昇る熱い女心をコントロールするのは、なかなか至難の業のようですね。
愛に真剣さはいらない?
街はセクシー・ブルー 溜息が漏れる
ウインドーに映る 孤独な狼
誘いかけたつもりが 深追いをされて
女は気まぐれ 沈む黄昏
出典: 唇よ、熱く君を語れ/作詞:東海林良 作曲:渡辺真知子
続くフレーズでも目一杯奔放な女性像が歌われています。
主人公の女は今宵もひとり街に繰り出したのでしょう。
ひとときの遊び相手を求めてあやしくも魅惑的な光に包まれた街中をあてどもなくドライブ。
話し相手になってくれそうな恰好のターゲットが見つかりました。
気分転換にほんの軽い気持ちで声をかけたのに、相手はそうではなかったようです。
そんなに重たい関係はまっぴらごめんよ。
主人公の女性からはそんな声が聞こえてきそうです。
女性への応援ソング
気まぐれな女ってかっこいいの?
さて、ここまで気まぐれな女性像にスポットをあててきました。
ただこの歌が表したかったのはそれだけでしょうか。
いいえ違います。
気まぐれな女性は歌詞後半から変容していきます。
何となく流されその時の気分で気ままに生きていく。
男性に振り回されるのではなく、女性の気の向くままにコントロールする。
そんな自由さがかっこよくいい女だと思っていました。
でもそれは勘違いであったことに気が付きます。
それってただその時を何となく生きているだけじゃないかと。
そしてその一瞬は楽しいけれど、後には何も残らないことを知りました。
それではいけない。
いまこそ変わるときだ、そう思い始めたのでしょう。