「2019年は平日しかライブをしません」宣言をしたハンバート ハンバート

2018年結成20周年を迎えた夫婦デュオ

ハンバート ハンバート【おなじ話】歌詞の意味を考察!君はどこにいるの?ほのぼのとした物語…ではない?の画像

2018年に結成20周年を迎えたハンバート ハンバート(以下ハンバート)

佐藤良成さんと佐野遊穂さんによる夫婦デュオです。

英国産トラッド音楽をベースにカントリー、アイリッシュ音楽、民謡まで取り入れたサウンド

男女ツインボーカルで歌われる中毒性の高いポップソングが魅力のグループです。

米国ではNYのアートシーンを中心にサイケデリックなネオ・フォークというジャンルが確立。

日本でも奇妙礼太郎七尾旅人を中心に新たなフォークムーブメントが勃発しています。

ハンバートはそれらのどこにも属さず独自の音楽性を拡張している稀有なグループ。

その唯一無二の存在感で変わらぬ人気を保っているのです。

記念アルバム「FOLK 2」を発表

ハンバート ハンバート【おなじ話】歌詞の意味を考察!君はどこにいるの?ほのぼのとした物語…ではない?の画像

2018年7月25日には結成20周年記念盤「FOLK 2」をリリース

新曲「永遠の夕日」を含む12曲を収録しています。

「FOLK 2」は比較的ライブに近いアレンジに仕上げた牧歌的な作品集です。

収録曲は「渡良瀬橋」「小さな恋のうた」などのカバー曲が半分。

残り半分は人気曲のリテイクという構成になっています。

「2019年は平日しかライブをしません」宣言を行ったことでも話題のハンバート。

お二人の間には3人のお子様がいます。

そのため1年間は家族の時間を大切にしたいということなのでしょう。

詳細は「サラリーマン山崎シゲル」でおなじみの太田光さんが書いた漫画でご覧ください

今回は「FOLK 2」に再録された人気「おなじ話」の深い歌詞の世界に迫ってみようと思います。

マンガ「2019年 ハンバート ハンバートは平日しかライブをしません」 (作画・田中 光)

「おなじ話」の不思議な世界

おなじ話/ハンバート ハンバート

「FOLK 2」には盟友キセルをフィーチャーしたバージョンが収録されている「同じ話」。

普段は2人だけで静かに歌われています。

「おなじ話」の特徴は佐藤さんと佐野さんが交互に歌うことです。

実際に歌詞を見ると会話形式の構造になっているのが分かります。

ここに「おなじ話」の味わい深さがあります。

一見男女の何気ない日常会話を歌っているように聴くこともできるのですが...。

曲が進むにつれ聴き手は徐々に違和感を感じ始めます

どこにいるの?

仲睦まじい2人の会話

どこにいるの? 窓のそばにいるよ
何をしてるの? 何にもしてないよ
そばにおいでよ 今行くから待って
話をしよう いいよ、まず君から

出典: おなじ話/作詞:佐藤良成 作曲:佐藤良成

しっとりとしたアルペジオで始まる「おなじ話」のイントロ。

素敵なお話が始まりそうな予感がします。

男女の会話劇のように感じるのはハンバートが夫婦デュオのためでしょう。

歌詞を紐解く前提としてまずは「おなじ話」の登場人物をイメージしたいところです

しかしこの曲、主語は「僕」と「君」の2つしか出てきません。

つまり性別や年齢設定が非常に曖昧なのです。

仮にハンバートの音楽性をフォークソングと定義するとしましょう。

異議がある方もいらっしゃることは重々承知です。あくまでも仮定です。

彼らのルーツは70年代初期のURCレーベルであるという説が濃厚

URCに所属した歌手は聴き手に解釈を委ねる傾向が強いのでこちらで勝手に解釈してみましょう。

「僕」と「君」は恋人・もしくは夫婦関係にあると考えます

いつも一緒にいて「おなじ話」をしているからです。

最初の歌詞を見ると非常に仲睦まじい様子が浮かびます。

「僕」の一瞬の沈黙

どこにいるの? 君のそばにいるよ
何を見てるの? 君のこと見てるよ
どこへ行くの? どこへも行かないよ
・・・・・・ ずっとそばにいるよ

出典: おなじ話/作詞:佐藤良成 作曲:佐藤良成

続く小節は翌日のことでしょうか?

確かにおなじ会話を繰り返しています。

しかしここで1つの違和感を発見

なぜ「僕」は自分のことを見ている「君」に何を見ているのか尋ねるのでしょう?

会話がかみ合っていないのかな?

そして「僕」に一瞬の沈黙が訪れます。

不思議な2人です。