雨のパレートという芸術
2013年に東京にて結成され、その多彩かつ唯一無二の音楽性で、多くのファンを惹き付けてやまない雨のパレード。
ニューアルバム「Reason of Black Color」では、芸術的とも言えるその音楽性にさらに磨きがかかり、名盤と確信できる仕上がりになっています。
アルバムに収録された、3rdシングル「Shoes」が、ドラマのタイアップ曲になっているので、テレビで耳にされた方もいるでしょう。
知名度も上がり、着々と活動を続ける雨のパレードですが、個人的に満足していません。
「お前の満足度なんて知らねぇ。」と思った方、どうか聞いてください。
雨のパレードというバンドは、もっと知られ、もっと売れなければおかしいのです。
この記事では、雨のパレード初心者から上級者、さらにまだ雨パを知らない不幸な方まで、全ての人に向けて全力でライブ情報やアーティスト情報、アルバムの所感を紹介しますので、どうかお付き合い下さい。
雨のパレードの魅力
押し付けがましい導入部を飛ばさずに、ここを読んで下さっているみなさま、ありがとうございます。
まだ一言も語っていない内から、まずはこれを見てください。
雨のパレード「Shoes」
この、時間が止まってしまいそうな美しい曲が、3rdシングル「Shoes」です。
淡い水彩画のような音の感触と、一歩一歩足を進める前向きなメッセージのコントラストがとても鮮やかな名曲です。
そもそも、雨のパレードの魅力とはなんでしょうか?
雨パに和の真髄を見る
例えば、カレーライスやラーメンを想像してみて下さい。
・・お腹がすいてきましたね。
本場インドや中国から海を越えて渡ってきた食文化を、日本人は抵抗なく受け入れ、あまつさえ自分たちなりのアレンジを施し、今では立派に食卓に根付いています。
「自分たちなりのアレンジ」という部分がとても大切で、このフィルターを通さない文化は、「贋作」です。パクリです。
雨のパレードの魅力の一つが、とてもたくさんの音楽文化の背景を感じさせてくれることです。
和洋中の食材を惜しみなく投入し、下手をすれば崩れかねないバランスを、ぎりぎりで見切る正に職人のように。
雨のパレードの楽曲では、エレクトロハウスの上で歌謡曲が踊り、リズム&ブルースの中でフォークソングが跳ねます。
味付けはもちろん、雨のパレードだけの調味料。
芸術的な多彩さこそ、雨のパレードの魅力です。
Reason of Black Color
2018年3月にリリースされた雨のパレードのアルバム「Reason of Black Color」。
どんな意味がこめられているのでしょうか?
和訳すると、「黒色の理由」です。
「黒」は、雨のパレードのイメージカラーでもあります。
黒色と聞くと、単一のべったりした色をイメージしがちですが、絵の具で全ての色を混ぜると、「黒」が出来上がります。
ボーカルであり、作詞作曲を手がける、福永浩平はそう話しました。
アルバムの持つイメージを、これほど雄弁に語るタイトルもないでしょう。
雨のパレード感がすごい
「雨のパレード感がすごい」のは、Reason of Black Colorが雨のパレードらしいアルバムである。という意味だけではありません。
「雨」は、悲しみや寂しさ、またはそれを洗い流してくれる象徴として用いられることが多いでしょう。
一方で「パレード」は、明るさや楽しさ、決して暴力的ではない可愛らしい高揚感をイメージします。
Reason of Black Colorでは、「雨」と「パレード」の対比するコントラストを、見事に描ききっています。
悲しみと楽しさが交差する点、そこに現れるさまざまな感情の色が一体となり、混ざり合い、そして一見静かな「黒」に収束します。
それはまるで、暗い夜空を望遠鏡で覗き込み、色とりどりの星を探す旅のようです。
そして、タイトル曲でもある「Reason of Black Color」から、静かな雨音で始まった風景は、霧雨や豪雨を経て少しづつ晴れ渡り、やがて「MARCH」で射し込む光へと情景を移します。
静かで強く、優しいアルバムです。