握りしめられたその手に、「僕」の声が届かない理由を知る

まるで僕がいないみたいにさ
君はまたそうやって意地悪するよ
重ねた手を握りしめて
君は けど僕には気づかないよ

出典: https://twitter.com/EGOIST_bot/status/928040569397374977

「僕」の言葉がまるで届かないで泣き続けている「君」の様子に「意地悪」と「僕」は茶化していますが、「重ねた手を握りしめて」という様子からどういうことなのかわかりますよね。

そう、これは祈りのポーズです。

つまり、「まるで僕がいないみたいに」と「僕」は言っていますが、「君」が「僕には気づかない」のは本当に「僕」が死んでしまって「君」の前からはいなくなってしまったからです。

つまり、「君」は「僕」が死んでしまったことに対して見たこともないような顔で怒り、泣いていたのですね。

しかし、自分が死んでしまったということに気がつかない「僕」は、なぜ「君」が反応しないのかを不思議に思い、泣き続ける君のすばでずっと話しかけていたのでした。

もう行かなくちゃ、でもその前に、「君」に伝えておきたいこと

あのさ 僕は
君に伝えなくちゃ
少しくらいの間違いは
生きてればそりゃあるだろう
そんなに気にしなくていい
僕が側にずっといてあげる

だけど
君の気が済まないなら
ほっぺをつねってやるよ
それでおあいこにしたら
もう行くよ
君に言わなくちゃ 少し照れるけど
君を愛してるよ

出典: https://twitter.com/novelcreate_103/status/911742371490029569

冒頭の歌詞で歌われていた通り、「仲直り」できないまま「僕」が死んでしまったことに加えて、きっと「僕」が死んでしまった理由には「君」も関わっているのでしょう。

「僕」が死んでしまったことに対して自分を責め続ける「君」に対して生きていれば間違うことはある、「そんなに気にしなくていい」 「僕が側にずっといてあげる」と伝えるのでした。

そして、もしそれでも「君の気が済まないならほっぺをつねってやる」と言うのでした。

もう生きていないし、触れることも、仲直りすることも、「君」のそばにいることもできない「僕」の言葉が切なく響きます。

「君」のことを全て許して、そして、自分はこの世を離れなければならないということ、残された時間が少ないことを気づき始めている「僕」の心情がわかります。

だからこそ、自分の魂さえも消滅するその前に、「君」には届かなくても、「君を愛してるよ」と伝えたかったのでした。

「僕」が居なくなっても幸せになってほしい

そして僕がいなくなっても
君はきっと一人で生きてゆけよ
涙拭いて 顔を上げて
いつか幸せになれると願おう

僕の分まで笑わなくていい
だから僕の分まで泣かなくていい
時はやがて君を癒し
今を過去のものにしてくれるよ

出典: https://twitter.com/chanson_heureux/status/902580493895458816

愛の言葉に続くのは「僕がいなくなっても 君はきっと一人で生きてゆけよ」と自分は見守って行けない「君」の残りの人生に思いを馳せる言葉です。

自分が「君」を愛しているとともに、たとえ喧嘩別れであっても、どれだけ愛されているかわかっていた「僕」は「君」がこれからもどれだけ哀しみに暮れるかがわかった上で、「幸せ」を祈るのでした。 「僕の分まで笑わなくていい だから僕の分まで泣かなくていい」という歌詞は、「僕」の分まで生きるということを「君」のこれからの生きる理由にしなくていい。

今は悲しくてもいつか、「今を過去のもの」にすることができたその時には、「君」は「君」のために生きて幸せになってくれと言っているのです。

本当は一緒に生きていきたかった、ずっとそばに居たかったはずの「僕」のはずですが、そんな自分を忘れても「君」に「幸せ」になって欲しいと祈る歌詞が悲しいですね。

最期に残ったのは「君に会いたい」という想いだけ

今日はこんなに晴れてるから
君がもしよければ散歩でもしにいこう
君に会いたい
心から思う

出典: https://twitter.com/citrusnightsky/status/793437271709978624

ある晴れた日のこと「僕」は「君」を「散歩」に誘いながら、この世を去っていくのでした。

そんな「僕」の最期の想いは、「君に会いたい 心から思う」ということです。

こんなにも晴れた綺麗な空の下、本当は散歩にでも一緒に出かけて、仲直りできたはずなのに、それは叶わない願いでした。

もしも生まれ変わることができたなら、二人がもう一度出会って、そして、今度は喧嘩したまま離れ離れになんてならないように、ずっと側にいられたらいいと、そんなことを願いたくなる歌詞ですね。

おわりに

「Ghost of a smile」の歌詞を解釈しましたが、いかがでしたか。

愛されながら亡くなった人が、最愛の人のために、この世から消え去るその前に全ての想いを伝えるような歌詞でしたね。

大切な人を失って、それでも生きていかなければならない人にとっては救いのような歌とも言えるでしょう。

そして、そんなこの曲が伝えるメッセージは、この曲の中の「僕」と「君」のことのようであり、親友を失ったことで自分を責め続ける映画「ハーモニー」の主人公と親友のことのようであり、愛され、その作品も評価されながら夭折した伊藤計劃さんのことのようでもあります。

聴けば聴くほど、その歌詞の意味に触れるほど、美しいメロディーに押されるように、涙が溢れてくる歌詞のEGOIST「Ghost of a smile」、ぜひ聴いていただきたい一曲です。

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