「パプリカ」の中の「Parade」

平沢進【Parade】歌詞の意味を徹底解釈!パレードが恐ろしいのはなぜ?やって来るものの正体とはの画像

「Parade」は映画「パプリカ」のために書き下ろされた曲です。

原作は筒井康隆、今敏監督による長編アニメーションの話題作でした。

簡単にあらすじを説明しておきます。

精神科医であるヒロインは患者の脳内の夢の中に入ることのできる「DCミニ」という装置を発明します。

一方でこのヒロインは患者のトラウマを解決するために「パプリカ」という分身となって奮闘するのです。

そしてこの「DCミニ」はノーベル賞の候補になるほどの世紀の大発明でした。

そのために嫉妬や憎しみ、欲望などが渦巻き命を賭けた取り合いが始まります。

「Parade」のはじまり

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そしてついにノーベル賞が決まりその授賞式がまさに始まろうとしたその時です。

誰も見たことのない恐怖の「Parade」が始まります。

魑魅魍魎(ちみもうりょう)と化した混沌の「Parade」は人間の夢の廃棄物です。

行き場をなくしたおぞましい数の怪物が出現して来ます。

果たせなかった夢の意識の残りかすが徘徊をしているのです。

ではそろそろ歌詞の内容に迫ってみたいと思います。

その前にMVもどうぞ!

「Parade」MV

「Parade」のシーンは映画のハイライトシーンです。

映画「パプリカ」のサウンドトラックには14曲ほど収録されています。

今敏監督は元々平沢進さんの大ファンで平沢ワールドありきの映画制作だったようです。

アニメーション制作は独特なタッチと色彩で人気のマッドハウスが手掛けています。

歌詞考察~めくるめく「パレード」の世界

栄華

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胸にエナジー ケミカルの泡立ち
ハイヤーや古タイヤや血や肉の通りを行き
あれがリバティ ユートピアのパロディ
ハイヤーやギガ・ムービーの絢爛(けんらん)の並木は晴れ

出典: Parade/作詞:平沢進 作曲:平沢進

贅沢に加工された衣服を身にまとい、全身にみなぎる傲慢な自信。

VIPの香り漂う送迎車を横付けし、酒池肉林の日々。

これが自由を手にした市民の理想の楽園だったのでしょうか。

まるで巨大画面に映し出される娯楽映画の世界のようでした。

これは異常な景気に沸いたバブルの時代を彷彿とさせます。

そのような時代もあったのです。

バブルという言葉自体が泡という意味ですから跡形もなく消えてしまいます。

その先の不安などどこ吹く風のように、晴れ渡る空を見上げる人達。

大通りは高笑いの人達で溢れかえっていたはずです。

幻惑

マイナーな欝(うつ)は戯言 バラ色は廉価
いわく幸せと知れ 持ちきれぬほど

出典: Parade/作詞:平沢進 作曲:平沢進

あの時代には不安やネガティブな気持ちなど「根暗」などといわれ軽蔑されたのかもしれません。

幸せの意味もわからず、すべては簡単に手に入ると豪語する人達。

両手に抱えきれないほどの美しいバラの花束が幸せの象徴だというのでしょうか。

バラ色の日々など安っぽい幸せだと皮肉っています。

倒錯

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瀕死のリテラシー メカニカルに殺す
売人や吊るワイヤーやホルムアルデヒドの通り
乾くシナジー 合成スイートで湿し
高層のメガ神殿に狂乱のファンドの雨

出典: Parade/作詞:平沢進 作曲:平沢進