ポプコンから生まれたヒット曲「愛はかげろう」
アマチュアミュージシャンの憧れ「ヤマハのポプコン」
ヤマハポピュラーソングコンテストとは、ヤマハ音楽振興会の主催で1969年から1986年まで行われたフォーク、ポップス、ロックの音楽コンテストである。略称「ポプコン」(POPCONとも)。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/ヤマハポピュラーソングコンテスト
アマチュアミュージシャンのプロへの登竜門となり、中島みゆきなど多くの才能がここから羽ばたきました。
音楽の道を志す若者にとって大きな目標となっていたのがヤマハのポプコン出場なのです。
雅夢は1980年に「愛はかげろう」でポプコンに出場して優秀曲賞を受賞。
これが彼らのデビュー曲となりました。
雅夢(がむ)は、1980年代前半に活動した日本のフォークデュオ。代表曲に「愛はかげろう」などがある。1984年、解散。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/雅夢
アコースティックギターを弾きながら歌うフォークデュオなのですが、この曲は少しイメージが違います。
悲しげなピアノのイントロから始まるメロディーはフォークソングというよりも歌謡曲です。
作詞作曲とメインボーカルを担当した三浦和人がイメージしていたアレンジとは違っていたのかもしれませんね。
たぶん最初はギター2本で歌うもっとシンプルな曲だったのではないかと思います。
ファースト・シングルとして発売されたこの曲は結果的に大ヒットを記録。
時代を見すえた編曲者のセンスもあったのでしょうね。
優しい声で歌う三浦和人
繊細な感性から生まれた名曲
三浦和人のボーカルは「愛はかげろう」の歌詞や悲しげで切ないメロディーによく合っていますね。
上のジャケット写真の右側で微笑んでいる人です。
いかにも繊細で優しそうに見えますが、だからこそこういう名曲が生まれたのだと思います。
愛がかげろうのように消えていったという発想に彼のセンスや感性が見えるようですね。
曲を書くのはその人の頭の中身をセンスというフィルターを通して表現する作業ではないでしょうか。
経験したことや想像したことを如何に音楽として伝えるかというのがアーティストの腕の見せ所です。
女性の目線で繊細に描く別れの歌
彼が去った部屋にひとり
窓ガラス 流れ落ちてゆく雨を
細い指先で なぞってみる
くもりとかして すべる指先に
伝わる冷たさ 心にしみる
忘れ去られた 部屋の片隅
あなたの影 今もゆれてる
出典: 愛はかげろう/作詞:三浦和人 作曲:三浦和人
窓ガラスが曇っているということは、寒い季節を歌っているのですね。
窓の外では雪ではなくて悲しみを表現するような雨が降っています。
暖かい季節や暑い夏はもちろんこの曲の雰囲気に合わないので、やはり晩秋や冬が相応しいでしょうね。
窓を伝う雨が表すのは流れる涙でもあり、指先がなぞっているのはふたりの思い出かもしれません。
指先が感じる冷たさと雨で悲しい思いはさらに強くなるようですね。
2行目の歌詞から主人公が女性であることが分かります。
彼女がひとりでいる部屋にはまだ彼の思い出が残っていて、悲しみは癒えていないようです。
彼の面影がゆれていると表現したのは、彼女の揺れる心を表しているのではないでしょうか。
もう彼の姿をはっきり思い出すことができないという悲しさと、忘れてしまいたいというふたつの感情です。
彼はこの部屋のことも自分のことも忘れているかもしれないという嘆きも見えるように思います。