悠木碧【Logicania distance】
名刺のようなアルバム「ボイスサンプル」
幼少期から子役として活躍、2008年からは声優として様々な役を演じてきた悠木碧。
そんな彼女は2019年6月にアルバム「ボイスサンプル」を発売。
このタイトルになったきっかけは、彼女の「自分の“名刺替わり”となるように」という想いからです。
その名の通り、役を声で使い分ける声優としての能力を発揮しています。
それぞれまるで違う人が歌っているかのような名曲揃いです。
この記事では、そんなアルバムの中からリード曲でもある【Logicania distance】をご紹介します。
また、こちらの作品は彼女自身が作詞を担当。
彼女が描いた歌詞の世界と、その意味を中心に今回は解説していきます。
ファンも気づかなかった?新たな歌声の魅力
みなさんは、悠木碧の【永遠ラビリンス】を聴いたことはありますか?
この楽曲はテレビアニメ『僕の彼女がマジメ過ぎるしょびっちな件』の主題歌に起用されました。
彼女自身が演じるヒロインの女の子をイメージした楽曲で、多くの人が“萌える”ような声で歌い上げています。
しかし、その楽曲のイメージを強く持っていたファンは驚いたはず。
なぜなら【Logicania distance】では全く違う歌声見せているからです。
そのため、楽曲のMVがあげられているYouTubeのコメントには「誰だか分からなかった」という声が多く寄せられています。
霞がかかったようなウイスパーボイスが、この楽曲の世界観を作り上げているのです。
歌詞とリンクしたMVに注目
弱肉強食の世界
こちらの楽曲は歌詞を紹介する前に、映像を先にチェックしておきましょう。
なぜなら、映像でも歌詞でも同じ物語がそこには描かれているからです。
映像は異国の地にいる幼い少年が、古い書斎から一つの本を取り出す場面から始まります。
その題名は『Logicania distance』。楽曲のタイトルと同じですね。
少年はその作品を見て、心の痛みを感じ、落ち込んでいる様子です。
しかし、映像のラストには大きな剣を見つめ何かを決心したかのような少年の姿が…。
そこには一体、どのような物語が綴られていたのでしょうか。
互いが互いに憎み合う
憎しみの連鎖
ある国の王は言った
生かすため殺すべきと
僕は命の光を見てた
ある村の少女は言った
殺すため産むべきだと
僕は命が光るのをただ 見てた
出典: Logicania distance/作詞:悠木碧 作曲:川田瑠夏
楽曲はある悲しい物語を想定して描かれています。
これから子供が産まれるであろう若い夫婦の幸せそうな姿。
そこに国の王様が背後から近づき、青年の背中を斬りつけます。
その青年はきっと、国の体制に対して不満を持ち、何とか国を変えようとしていたのでしょう。
王様はその動きに気づき、自らと自分の同志たちの命を守るために青年の命を奪ったのです。
これが憎しみの連鎖が生まれるきっかけになるとは知らずに…。
青年との子供を身籠っている若い女性は悲しみに暮れた生活を送っています。
その心は王様への憎悪で満たされ、一種のたくらみがそこで生まれるのです。
「生まれてくる子供が、いつかきっと仇討ちしてくれるはずだ」と。
全ては王様への復讐のために、女性は新たな命を誕生させました。
時は経ち、復讐の時
壁を作り法を定めた
子は民へと育ち
同じ理由抱え武器をとった
出典: Logicania distance/作詞:悠木碧 作曲:川田瑠夏
あの悲しい出来事からから時は経ちー。
相変わらず、国では青年の命を奪った王様の政権は続いています。
時代はまさに戦乱の世。
王様を支援する側と、王様に反発している側は住む場所も隔てられることに…。
攻防はますます酷くなり、反発側の民たちは次々に命を奪われていきます。
そんな様子を見ていたのは立派な民へと成長した、あの時に若い夫婦から生まれた少年。
彼は、町に暮らす民の命を守るために復讐を決行するのです。
命の光が途切れた王様。
王様を斬った少年は町のみんなから感謝され、勇者として崇め奉られることに。
よくある復讐劇の物語。そこで、その本の内容は終わっていました。