駅前すれ違う ドラマチックな瞬間
スローになるはずない 現実はつまらない

出典: メランコリック/作詞:aireen 作曲:Daichi Yoshioka

現実ではドラマのようにタイプの男性とすれ違う時に目が合ってたとしても、そこから恋が生まれる訳ではありません。

どこかでドラマのような恋を夢見ながらも、現実はそうならないことに主人公は失望しているようです。

彼女はひととの深い関わりを欲しているのかもしれません。

他者との深い関係を望みながらも上手く周囲に溶け込めないと感じているのでしょうか。

だからこそこうしたレアな展開によって日常から逸脱することを夢見ているのでしょう。

恋に対しての憧れ

恋する人々への妬み

運命だなんてさ 浮かれて
終末みたいにさ 嘆いて
そんな主役になれたら ねえ 変わるのかな

出典: メランコリック/作詞:aireen 作曲:Daichi Yoshioka

ここでは恋をしている女性を斜に構えて見ている主人公の姿が描かれています。

彼氏をまるで運命の相手のように感じ、毎日浮かれている女性に対して良い感情を持っていないのでしょう。

そうかと思えば失恋して急にこの世の終わりのように泣き、悲しむ。

そんな恋を送る女性たちに疎ましさを感じているのかもしれません。

しかしそれと同時にそんな風に恋にのめり込めることに対して羨ましさも感じているのでしょう。

3行目ではそんな風に恋を送ることで自分の孤独も癒されるかもしれないと感じていることが分かります。

恋する女性への主人公の言葉は妬みから生まれたものなのかもしれません。

本当の恋がしたい

まだ まだ 味気ないな 惰性でつないだ手みたいに
衝動、温度、高鳴る鼓動 何もかも知らず 漂ってるんだ

出典: メランコリック/作詞:aireen 作曲:Daichi Yoshioka

1行目の言葉が意味しているのは、好きでもない相手と付き合っている状況を表しているのでしょう。

寂しさからただなんとなく、好きでもない相手と手を繋いでも詰まらなさや満たされなさを感じるに違いありません

暇つぶしに付き合ってみても本気ではなかったから何も感じなかったのでしょう。

彼女は今、本当の恋をしたいと考えているのではないでしょうか。

2行目ではその感情を表現しているのでしょう。

恋をすることによって生まれる感情を知りたいと考えているのかもしれません。

今の自身の孤独な状況から抜け出すためには、恋をするべきだと考えているのでしょう。

前述のパートでは恋する女性たちに対して悪態をついていた主人公。

しかしそんな人々に対しての羨ましさが、ここにきていよいよ表面化してきているのを感じます。

新たな1歩を踏み出す

傷ついても

傷つくのが ちょっと怖くて 観客のフリ拍手をしてた
だけど痛みも知ってみたいの ねえ 変われるかな

出典: メランコリック/作詞:aireen 作曲:Daichi Yoshioka

主人公の孤独の原因がここで言及されていると考えられます。

傷つくことが怖いというのが他者と距離を置いていた理由なのでしょう。

その出来事の当事者ではなく傍観者でいることによって、他人と居心地の良い距離を保っていたのかもしれません。

しかしそうして自分の心の内を見せないと、他者からも信頼されにくくなります。

本心を見せないことも彼女の孤独の原因の1つかもしれません。

それに主人公自身も気づいているのでしょう。

2行目では、周囲との関係を変えようという意思表示がなされています。

1人でいることは気楽でありながらも寂しさを感じているのでしょう。

だからこそ痛みを感じたとしても、もっと他者と距離を縮めたいと考えているのかもしれません。

人生を面白いものに変えようと、自分から1歩踏み出そうと考えているのでしょう。

電車に飛び乗った理由

ただ ただ 流れている 深夜2時の映画みたいに
愛情、友情 憧れてる このままじゃダメだ 電車飛び乗った

出典: メランコリック/作詞:aireen 作曲:Daichi Yoshioka

このパートが「メランコリック」の最後の歌詞パートとなっています。

ここで描かれているのは、傍観者であった自分を変えようと電車に飛び乗る彼女の様子です。

主人公の心が満たされず「憂鬱」を抱えていたのは、他人と境界線を引いていたことが原因だったのではないでしょうか。

周囲の出来事をまるで映画の中の出来事のように捉え、架空の話のように感じていた。

それはそうすることが居心地が良かったというのもありますが、コミュニケーションを取ることが怖かったのでしょう。

他人と関わるということは、自分とは違う人間を受け入れるということでもあります。

そこには必ず意見や性格の相違が生まれ、時にはそこから苦痛が生まれることもあるでしょう。

しかしそれでも、彼女はそうした関係に憧れを持っています。

その1番の理由はやはり、1人では満たされないものがあるからなのでしょう。

だからこそ電車に乗ることで、自分から自分の殻の外側へと飛び出したのです。

これは人間としての成長を表していると考えられます。

人間というのは1人で生きていくことは出来ません。

出来事の裏には必ず他者の存在があるからです。

彼女は孤独を知っていたからこそ、他者が必要であることに気づけたのではないでしょうか。

恋や友情といったものによってもたらされる感情はそれでしか知り得ない。

だからこそ彼女は他者と関わることを選んだのでしょう。