[A]ddicionの曲調
[A]ddictionは広義ではJ-Popに分類されます。
とはいえラップ、ダンスミュージックともいえる曲調です。
そのため、ダンスポップに近い曲調といえるでしょう。
しかもサビの盛り上がりにかけてテクノポップのような打ち込みも聞こえます。
はっきりと聞こえる歌詞にどこかノスタルジックなシンセの音。
どことなくバブル末期ごろのテクノポップに似ています。
しかし中盤以降のラップは2000年代以降のポップスに似た曲調になるのです。
退廃的な感傷と現代のテクノポップが合わさったこの曲。
ある意味、新しい音楽といえるでしょう。
「わたし」と「あなた」の駆け引き
「あなた」を溺れさせる「わたし」
また鳴り出した表示はあなた
「今いそがしいの」
出典: [A]ddiction/作詞:Reol 作曲:Giga
この曲には2人の登場人物がいます。
「わたし」と、その恋人であろう「あなた」です。
1番の歌詞は、冷たい「わたし」の仕草から始まります。
これは恋の駆け引き。
あえて突き放すような行動をすることで相手を翻弄します。
そしてもっと自分自身に夢中になるようにするのです。
当然相手はそんな「わたし」の行動に不安になるでしょう。
それこそが「わたし」の狙い。
「あなた」が「わたし」に溺れてくれることが望ましいのです。
「わたし」はあえて「あなた」に愛情で絡めとられることを期待しているのでしょう。
「わたし」の余裕
突き返す捻くれた可愛気ないセリフ
こんなので拗ねるなんてまだガキね
出典: [A]ddiction/作詞:Reol 作曲:Giga
ここでわかるのが、「わたし」は相手の恋人よりも恋愛経験が豊富ということ。
もしかすると「わたし」の方が年上なのかもしれません。
本音を隠すことで、結局相手は自分をさらに知りたくなるのです。
あえて突き放すことでもっともっと相手は自分を好きになる。
それが、「わたし」の狙いなのです。
「ガキ」という言葉遣いからもわかるように、「わたし」はかなり余裕があります。
今回の獲物である「あなた」が順当に「わたし」に夢中になっていることがうかがえるのです。
捕食するのはどちら?
捕食したい「わたし」
Predilection あなたを手にかけて
lnfatuation 呼吸さえしとめて
出典: [A]ddiction/作詞:Reol 作曲:Giga
「Predilection」は、偏愛、特に異質なものへの執着を表す単語です。
つまり、ここでは「あなた」の命を欲しがっているといえます。
また、infatuationとは心酔という意味です。
ただこの場合の心酔は感覚的で、なおかつすぐに激情が冷めるものを指すのです。
この心情は、オスカー・ワイルドの演劇、「サロメ」にどことなく似ています。
「サロメ」でも主人公の女性は思いを寄せる聖職者の生首を求めます。
愛しているからこそ、相手の命まで咀嚼したい。
それは、最高の愛情表現なのではないでしょうか。
捕食されたい「わたし」
Dedication すぐさま
Addiction してほら たった一口「死ぬほど」
愛したいから
出典: [A]ddiction/作詞:Reol 作曲:Giga
Dedicationとは献身の意味です。
それも特に行動的な献身を指します。
さらに、Addictionとは中毒の意味です。
止めようにも自分では止められないという現象こそ「Addiction」なのです。
ここでの「わたし」の願いは「あなた」に食べてもらうことです。
その後「わたし」に中毒になった「あなた」がもういない「わたし」を求めること。
「わたし」はそれを愛することだ、と思っているのです。