「探偵物語」と薬師丸ひろ子
異質なアイドル・薬師丸ひろ子
「探偵物語」は薬師丸ひろ子2枚目のシングル。1983年5月25日にリリースされました。
ちなみにファーストシングルは「セーラー服と機関銃」で、こちらの発売は1981年11月。次作「探偵物語」のリリースまで1年半も間が空いています。
売れっ子アイドルとしては異例のスローペースですが、それもそのはず。当時の薬師丸ひろ子は女優業に主軸を置いており、歌手活動は副業という位置づけでした。
角川三人娘の長女・薬師丸ひろ子
というのも薬師丸ひろ子は、歌手である以前に角川映画のトップスターでした。スクリーンデビューは1978年2月の「野性の証明」にまでさかのぼります。
映画第3作の「セーラー服と機関銃」で主演を務め、以降主演映画の主題歌を同名でリリースする形が定着します。
次いでデビューした原田知世と渡辺典子も、映画と主題歌のタイアップでヒットを連発。薬師丸・原田・渡辺の3人は「角川三人娘」と呼ばれ、80年代角川映画の屋台骨を支える孝行娘でした。
タイアップ効果もあって大ヒット!
7月の映画公開に2ヶ月先立ってリリースされた「探偵物語」。予約枚数だけで50万枚以上、累計売上は84.1万枚と大ヒットを記録。
オリコンチャートでは7週連続1位。1983年の年間チャートでも4位にランクイン。この年の代表曲となりました。
評論家の評価も高く、「レコード・コレクターズ」2014年11月号の「80年代女性アイドル・ソング・ベスト100」では、堂々13位に名を連ねています。実に息の長い1曲です。
映画「探偵物語」
主題歌も映画も大ヒット!
映画「探偵物語」は1983年7月16日公開。薬師丸ひろ子と、同じく角川映画のトップスター・松田優作のW主演。角川の宣伝戦略も功を奏し、公開前からすでに話題沸騰でした。
松田優作は70年代~80年代を代表するビッグスター。「松田龍平・翔太兄弟のお父さん」と言ったほうが、若い皆さんにはわかりやすいかもしれません。
結果的に映画は主題歌と同様大ヒット。配給収入28億円はこの年の邦画第2位で、興行収入は51億円にも上りました。
映画予告を観てみよう
ここでストーリーをご説明…といきたいところですが、予告編をごらんいただくとある程度の内容はつかめます。
角川映画配信の公式動画を観てもらうことにしましょう。もちろん主題歌もバッチリ聴けますよ!

尾行するはずが尾行され…
いやぁ~。ドジな松田優作がカッコイイ!この感覚、わかるかなぁ~。
「探偵物語」のドジな探偵さん・松田優作は、お嬢様女子大生・薬師丸ひろ子の尾行と身辺警護を仰せつかるわけです。悪い虫がつかないようにってヤツですね。
ところがドジなものだから、自分が尾行していたはずが、うっかり尾行を許してしまい、私生活をのぞき見られてしまう。やもめ暮らしの三十男は、お嬢様の旺盛な好奇心をくすぐるようです…