「オウムアムア」は天体の名前

タイトルの「オウムアムア」

一般的にあまり聞き馴染みのない言葉ですが、その正体は宇宙にある天体の名前です。

地球など太陽の周りを回っている惑星とはちがい、何者にも縛られず自由に銀河を漂っているとてもめずらしい天体です。

太陽系の外からやってきた、あらたな天体ということからその名がつけられました。

ハワイの言葉で、Ou(遠くから) mua(はじめて、最初の)で「Oumuamua(遠くからはじめてやってきた者)」という意味が込められています。

自由への憧れ

「オウムアムアに幸運を」は、「恋しちゃってるかも」という歌詞から、一見恋心を歌っているように読み取れます。

しかし、タイトルのオウムアムアが天体の名前であることを考慮すると、他の解釈が浮かびます。

そう、女性から男性への恋心の意味だけではなく、自由に動き回っているオウムアムアへの憧れ

つまり、自由への憧れを表しているのかもしれないことが考えられます。

とはいえ、「恋しちゃってる」かもしれないこの歌の主人公。

一体、何に恋をしているのでしょうか。

さまざまな側面から、歌詞の意味をより深く読み解いていきましょう。

愛で解き放たれる

完熟の世界はどっかモノクロのまま 記憶の中に据わるプリズム
拘束は赤に染まって溶かされていく 愛を以って 目を覚ました

出典: オウムアムアに幸運を/作詞:広川恵一(MONACA) 作曲:広川恵一(MONACA)

完全に熟しているはずの世界。

しかし、主人公にとって、世界はあざやかな色がなくモノクロに見えています。

まるで白黒映画のような世界の中で「ただ生きる」ことは、あきらめにも似たような気持ちだったのかもしれません。

そんな今の世界とは対照的に、記憶の中にあるのは光輝くプリズム。

過去の光に縛られて現状に満足していない、どこか退屈な様子が想像できます。

しかしあるとき、主人公のモノクロだった世界にも色がやってきました。

によって、情熱的な赤に染まった世界は、これまでのしがらみから身体と心を解き放ち、目覚めのときをむかえます。

旅に出る

「Light Years 旅の合図」という歌詞からはじまるこの物語。

一体どこへ旅に出ようとしているのでしょう。

先ほど紹介したように、主人公は「自由にあこがれて」いるようです。

目的はない、自由な旅なのでしょうか?

続きの歌詞に注目して、この旅の行く末を考えてみましょう。

新たな世界へ

飛び交う速度はマイナス(後方に撒く) 追い越す窓際さらさら(余所見しないで)
快速 轟くエンジン(連れて行って) 進むんだ たどり着くんだ 後悔できない

出典: オウムアムアに幸運を/作詞:広川恵一(MONACA) 作曲:広川恵一(MONACA)

宇宙船に乗って銀河を走り抜けているのでしょう。

エンジンを轟かせぐんぐんと加速していき、窓の外にはかわるがわる新しい景色が見えてきます。

しかし、余所見している暇はありません

まっすぐ先へ進む宇宙船は、新しい世界へ向かっています。

「進む」、「着く」というワードから、この旅への力強い意志まだ見ぬ世界への期待で弾む心情が推察できます。

プライドを探して

ねぇ 探しているのは あぁ 一粒のダイヤ 輝くプライド

出典: オウムアムアに幸運を/作詞:広川恵一(MONACA) 作曲:広川恵一(MONACA)

「一粒のダイヤ」はプライドのことだと考えられます。

旅の合図を聞いた主人公は、銀河に飛び立ってプライドという一粒のダイヤを探しに行きました。

広大な宇宙の中できらめくダイヤを手に入れるため。

モノクロの世界で失ってしまった誇りという輝きを取り戻すために。

旅の先にあるものは