君がいないと本当に退屈だね
寂しいと言えば笑われてしまうけど
残されたもの 何度も確かめるよ
消えることなく輝いている
出典: オレンジ/作詞:MICHIRU 作曲:MICHIRU
公生にとって、かつては「かをり」が隣にいることが当たり前でした。
ピアノを遠ざけたいと思っていたころ、どこまでも追いかけてきて公生をピアノの前に連行した「かをり」。
落ち込んでいるときも、いつの間にか目の前にいて公生を叱咤激励した「かをり」。
「かをり」との日々は少し騒がしく、とてもカラフルなものでした。
だから公生は、「かをり」がいない時間を物足りなく感じているのです。
しかし「かをり」は、何も残さずにいなくなったわけではありません。
公生の中に「かをり」はたくさんのものを残してくれました。
そのひとつひとつの輝きを、公生は確かめているようです。
何度も思い出す笑顔
雨上がりの空のような 心が晴れるような
君の笑顔を憶えている 思い出して笑顔になる
きっと二人はあの日のまま 無邪気な子供のまま
巡る季節を駆け抜けていく それぞれの明日を見て
出典: オレンジ/作詞:MICHIRU 作曲:MICHIRU
「かをり」の笑顔はいつもきらきらと輝いていました。
1行目の歌詞には、そんな「かをり」の笑顔が表現されています。
公生は「かをり」の笑顔を思い出し、自分も表情をほころばせているようです。
もう2人で演奏することは叶わないけれど、あのかけがえのない日々は忘れない。
これからも変わらずに音楽に向かいあっていこう。
そう思っているのは、公生だけではないはずです。
きっと「かをり」も、天国で同じことを考えているでしょう。
最後の行の歌詞には、お互いに音楽に向かい続ける公生と「かをり」の姿が描かれているように思えます。
「かをり」を失った喪失感を抱きながらも、前に進み続ける。
そんな成長した公生の姿が目に浮かびます。
これからもきっと大丈夫
「オレンジ」の1番は、公生から「かをり」に向けた言葉のように感じました。
2番では「かをり」から公生に向けた言葉がつづられています。
それぞれの場所で見る景色
一人になれば不安になると
眠りたくない夜は 話し続けていた
君はこれから何を見ていくんだろう
私はここで何を見ていくのだろう
沈む夕焼け オレンジに染まる街に
そっと涙を預けてみる
出典: オレンジ/作詞:MICHIRU 作曲:MICHIRU
「オレンジ」の2番で指している「君」は、公生のことでしょう。
音楽と再び向かい合い、前に進み始めた公生。
それとは対照的に、「かをり」の症状はどんどんと悪化していき、病院で一人で眠る夜が続きます。
「かをり」は一人きりの部屋で、不安を感じていたことでしょう。
その不安を紛らわすために、心の中でおしゃべりをしていたのかもしれません。
「かをり」は2人の未来に考えを巡らせます。
公生が将来目にする光景。それを「かをり」と共有することは難しいでしょう。
そして「かをり」が残された時間で見る景色。
窓の外に目を向けると、ちょうど日が沈むところでした。
そのオレンジ色のまぶしさに涙が出てしまったのかもしれません。
君なら大丈夫
何億もの光の中 生まれた一つの愛
変わらなくても 変わってしまっても 君は君だよ 心配無いよ
いつか二人が大人になって 素敵な人に出会って
かけがえのない家族を連れて この場所で逢えるといいな
出典: オレンジ/作詞:MICHIRU 作曲:MICHIRU
「かをり」と公生の日々は、奇跡のような偶然から始まりました。
たとえ「かをり」がいなくなっても、2人の心の中に芽生えた感情に変わりはないでしょう。
もし心が変わってしまったとしても、「かをり」はあまり気にしていないようです。
公生が公生らしくあればそれでいい。そう思っていることが2行目の歌詞からうかがえます。
特に2行目の歌詞を見ていると、本編内での「かをり」のセリフを思い出すのではないでしょうか。
物語の後半で、「かをり」はもう一度公生と同じ舞台に立つために手術を受けることを決意します。
もし手術が成功して大人になれたら。未来でもう一度公生に会えたら。
そんな「かをり」の切実な想いが、3行目と4行目の歌詞に表れています。
公生と「かをり」の想いに満ちたラスト
お互いに大切な存在でありながら、一緒に生きることは叶わなかった公生と「かをり」。
「オレンジ」のラストでは、そんな2人が選んだ道が示されます。